会場では動かなくなった叢雲を他所にほぼ勝ちが確定した長門のコールが鳴り響き大淀は叢雲が起き上がらないか少しの間だけ待っていた
(……艤装は爆発していない…でも長門さんのあれを受けてはもう…
叢雲さんならもしかしたらと思ったのですが…)
倒れている叢雲を見ると長門がようやく動けるようになったのか息を整える
「大淀、判定を頼む
これ以上奴は動かないだろう
それに私の連続攻撃で動けるとしても戦艦クラスだ」
「……分かりました、ではジャッジをーーー」
と大淀が手を上げようと叢雲を見ると先程と明らかに違う点を見付け判定を中断する
「……大淀?どうした?」
「あ……いえ…」
「まぁ良い、私は戻らせてもらうぞ」
長門が叢雲に背を向け微笑んでいる陸奥達へ歩きながら大淀の判定を待っていると不意に長門コールが止み陸奥達も口を押さえたり驚いた表情をしている
水面を叩く何かの音が背後から聞こえると同時に長門は焦りゆっくりと振り返ろうと痛んでいる足の事を忘れるほどに冷や汗をかいていると会場全体からどよめきの声が聞こえるとそれを掻き消すように恵比寿の実況が会場に響き渡る
「な、な、な、な、何と!!叢雲立ちあがったぁぁぁぁぁぁ!?」
長門の目の前には全身ボロボロになりながら息を切らしながら艤装を片手に持ち左の主砲が破壊されているのにも関わらず叢雲はゆっくりとふらふらしながらも立ちあがっていた
「何だと!?」
「あの駆逐艦…立ち上がった!?」
元帥達は席から立ち上がり食い入る様にガラスに張り付き長門の攻撃を受けた立ち上がる叢雲を見ている
「馬鹿な!ありえん!
たかが駆逐艦が!あの戦艦長門の主砲に耐えたのか!?」
「上手く避けた?いや、そんなわけない!
長門のあれは確実に命中していた!」
他の元帥が困惑する中東雲だけはそのボロボロの姿を見ながらニヤリと口元を上げながら笑っていた
「ははは!やはりな!あの艦娘ただの駆逐艦ではないな!!
流石アイツの
見せてみろ貴様の力とやらを!!」
「嘘でしょ……雷撃姫あれを受けて立てるの?」
「おいおいおいおいおい!!マジかよ!長門の主砲を受けて立ち上がるのか!おい!」
北上と猿橋は手すりに掴まると立ち上がった叢雲を食い入る様に見ながら汗をかいていると同時に笑っていた
「ほら!やっぱり叢雲なら立ち上がるのよ!!
そうよ!アイツは絶対に諦めない!私が認めたんだもん!アイツは絶対に負けないわ!」
「叢雲ー!頑張れー!!」
阿武隈と瑞鶴が応援する中猿橋は唇を噛むとおもむろに携帯を取り出して佐渡へ電話しようとするがそれを大和に止められる
「大和!手を離せ!」
「駄目ですよ、提督
あの子の戦いの邪魔をしては」
「お前も分かるだろ!あれ以上戦ったらアイツは間違いなく!」
「それでもです
それに何を言っても戦いは止まりませんよ
叢雲さんは私の知ってる人達に似てますから……」
「叢雲ー!」
「嘘……本当に立ち上がった……」
「だが、あの傷不味いのではないか?」
「えぇ……あれ以上戦えば…下手をすれば命に関わりますよ」
金剛が立ち上がった叢雲を喜んでいると直ぐ様大井がボロボロになった叢雲を見ながらその状態で察する
艤装はほとんど破壊され主砲も右しか残っておらず全身からは艤装による黒煙を上げながら血だらけになっている
「それでもだよ……叢雲の戦いに口出しは駄目だよ…」
その姿を見ながら古鷹は唇と拳を握り締めながら悔しそうにしていると他の四人もそれ以上は何も言わなくなる
(そう……今の叢雲に口出ししていいのは提督だけだもん…)
「嘘でしょ……あの子…立ち上がっている?
無茶よ…あんなボロボロの状態で戦える相手じゃない!!」
会場に先程着きボロボロの状態でも何とか立ち上がるの叢雲を見ながらエアは心配そうにそれを見ていた
「佐渡!彼女を下げなさい!
あれ以上戦えばどう考えても彼女は死ぬわ!!
死なないとしても後遺症やトラウマは残る!!
戦えなくなるわよ!!」
「……駄目だ、アイツは戦うことを選んだ
俺にはそれを止めることは出来ない」
エアの言葉に耳を貸さずに佐渡は真剣な面持ちになりながらも手すりに掴まると今にでも倒れそうな叢雲を見る
(…叢雲精一杯叫ぶぞお前に届いてくれるよな?
俺の片割れよ)
佐渡はそう思うと思い切り息を吸う
「………驚いた…
貴様、何故立ち上がれる?
私の連撃をまともに受けて立ち上がれる者を見たのは初めてだ」
長門は驚愕しながらも主砲を構えようとするが叢雲は返事を返さずに息を乱し全身の傷口からは血がしたたり落ち最早戦える状態ではない
「……倒れたらどうだ?
今ならこれ以上何もしない
貴様が立ち上がる理由は分かる
だが、その傷と艤装では私を倒すなど無理だぞ?」
長門が話しているが叢雲は一言も答えずに息を乱すだけではあるが瞳だけは長門を捉えその目はまだ負けを認めていない
「ぅ、うぇぇ……」
長門に受けた腹部への攻撃が効いているのか胃酸を口から吐き出し海面に落とすと再び膝を着くが片手には艤装が握られておりそれを杖代わりに再び立ち上がる
「……あまりやりたくはないがトドメと行こうか
これ以上は時間の無駄だ」
叢雲の状態を見ると主砲を構え放とうとするがやはり抵抗があり躊躇っていると会場から大声で声が聞こえる
「叢雲ぉぉぉ!!
てめぇぇぇ!!何してやがる!!」
会場に鳴り響くその声の主は佐渡であり会場全体の視線と艦娘達も佐渡に集中するとエアも驚きながら佐渡を見る
「な、何だ!?って!佐渡提督!
ちょっと!なんでそこに居るんですか!?
ここではなく控え室に!!」
あまりの大声に実況をしている恵比寿もマイク越しに話しかなり焦っている
その様子を見ているとエアは思わずそれを止めようとする
「佐渡!あんた何してんのよ!!」
エアが隣で佐渡を落ち着かせようとするがそれを押し退け手すりに捕まると再び息を吸い大声で叢雲に話し掛ける
「何で油断しやがった!!何で焦りやがった!!
てめぇ!!俺の教えを忘れやがって!!
てめぇ!負けてえのか!!このクソ餓鬼がぁぁぁぁ!!」
佐渡の怒号が響き渡ると叢雲の身体がピクンと動くと艤装を水面に突き刺しながら佐渡へ向き直る
「この戦いはてめぇが望んだんだろ!!
また失いたいのかてめぇは!!無茶はしていい!!だが死ぬことは許さねぇ!!
てめぇは俺の艦娘だ!!俺の所有物だ!!
負けることは許さねぇ!!」
会場に響き渡るその声を止めようとエアが手を出すが佐渡はそれすらも払い除けるとボロボロになった叢雲を睨むと再び息を吸う
「だから!!負けるな!!
お前が俺の
お前が俺の所有物でありたいのならば!!
そんな戦艦一人位叩き潰せ!!お前なら出来る!!
俺の全てを覚えたお前なら!!
信じてるぞ!!俺の駆逐艦叢雲!!」
会場に響き渡ると会場はどよめきながらも佐渡への視線が集中し恵比寿が会場をどよめきを制する様にマイクを手に取る
「え、えーと……佐渡提督?
熱い声援ありがとうございました、ですが控え室に戻ってーー」
恵比寿がそれを言おうとした瞬間主砲の砲撃音が会場に響き渡り遮ると再びそちらへ視線が集中する
「ふふ……久しぶりに…聞いたわ……あんたの怒号……」
今まで声を一切上げずにダウンしていた叢雲が笑いながら主砲を空に空撃ちしており顔をゆっくりと上げると佐渡を睨み付ける
「相変わらず……無茶ばっかり……
全く……何でこんな奴が司令官なのかしら?…はは……
でも届いたわよ……あんたの思い…」
叢雲は自分を支えていた艤装を再び持ち直すと横に振り回すと真っ直ぐに長門を捉えると同時に自らの左側艤装を切り捨てる
「任せなさい……貴方の思いを…
私の
貴方の
次回
二つの正義
六周年を記念してうちの秘書艦(叢雲)に指輪を渡しましたが……うん母港ボイス…良い…