艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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彼女の選択 ー大井ー 四

しばらくして、提督室

部屋の中に、変な空気が流れていた

それはそうだ、さっきまで大の大人が高校生位の女の子を抱きながら、泣いていたんだから

 

 

「あー、うん何だその大井」

 

 

「……何」

 

 

「さっきのは見なかったことにしてくれ

その代わりお前の言うこと一つ聞くから」

 

 

「……別に良いですよ

……気にしないでください」

 

 

佐渡は、恥ずかしそうに頬をポリポリ掻いているが、大井はそっぽを向いている

さっきの佐渡の涙を考えながら

 

 

「とにかくだ!!ここではお前は自由だ!好きにやれっといててて……」

 

 

佐渡が立ち上がると、横腹を押さえながら大井の頭を優しく撫でる

 

 

「良く頑張ったな

辛かったろ?もう我慢しなくて良いんだからな」

 

 

大井はその言葉に、うっすらと涙を浮かべるが強気になり佐渡の手を払いのける

 

 

「……触らないで」

 

 

 

「お、悪い悪い」

 

 

それだけ、言うと佐渡は提督室を後にする

大井一人だけ残された提督室には静けさが残る

先程から言われた佐渡からの言葉を思い出しながら

 

 

「……何なのあいつ

ワケわかんない……」

 

 

 

『ごめん…ごめんな……』

 

 

「何で泣くのよ、こんなこと普通でしょ……?」

 

 

 

『とにかくだ!!ここではお前は自由だ!!ってて』

 

 

「…………蹴ったこと…怒りなさいよ…」

 

 

大井は、両手で頭を抱えながら、下を向き

ガシガシと頭を掻きながら、意味が分からずどうすれば良いか悩むが最後の一言に限界を迎えてしまった

 

 

 

『良く頑張ったな

辛かったろ?もう我慢しなくて良いんだからな』

 

 

「………グスッ

優しくするなぁ………

私は……私は……」

 

 

ソファーに倒れこみ、両手で顔を押さえながら、声を押し殺しながら泣いていた

今までの事とは全く違う扱いを受ける戸惑いと、やっと終った悪夢から解放された喜びと、あの男にした暴力への罪悪感の入り交じった感情と共に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてて、流石だなあいつ……」

 

 

佐渡は、横腹を押さえながら、廊下を歩いていた

そして、スマホを取り出し、ある人物に電話をかける

 

 

 

「あー、もしもし、大淀さん?

ちょっとお願いがあるんですけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは?どこ……?

私はさっきまで……

 

 

 

少女は見たことある、ベッドに寝ていた

分かっていた、でも分かりたくなかった

あぁ、さっきのは自分が夢見ていた事だと思いながら、ベッドから起きる

二段ベッド上からは、愛しの女の子の寝息が聞こえる中服を制服に整え

起こさないように、部屋の扉を締め

ある部屋に向かう

忌々しい、部屋に

 

 

しばらく歩くと、そこにたどり着くそこには提督の自室と書かれた看板がある

 

そして、理解する先程まで見ていた世界が夢で今が現実なのだと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐世保鎮守府

大井が居た、木原淳也(きはらしゅんや)が運営する

駆逐艦と軽巡を不当に扱う

ブラック鎮守府




果たしてこれは夢か
それとも現実か

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