艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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VS 長門 十

二人がボロボロになりながら傷を隠し戦い続けているとそれを見ていた会場は静かになりながは戦いを見ていた

 

 

「…ねぇ、佐渡

お願いがあるの」

 

 

「何だ?」

 

 

不意に隣から声が聞こえるとエアが手すりを思い切り握り締めながら唇を噛んでいた

 

 

「……私も大声出して良い?」

 

 

「…良いぞ、好きにしろ」

 

 

「ありがと」

 

 

エアは思い切り息を吸うとボロボロになりながら戦い続ける叢雲に向けて精一杯の声援を送ろうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「叢雲……お願い勝って…!」

 

 

水上では目を閉じ古鷹が祈り他の金剛達もそれを落ち着かない様子で見ておりそわそわとしている

 

 

「お願い…叢雲!」

 

 

「心配ないさ…叢雲は強い…」

 

 

「でもさ…何か叢雲の背中を見ると安心するわよね?」

 

 

「「「え?」」」

 

 

不意に大井が言ったひと言に一同驚きながらも叢雲の背中を凝視すると確かにと納得する

 

 

「……確かにデース

いつも見馴れている背中デスけど何か安心しますよね」

 

 

「そうね……あの背中を見ていると任せても心配ない気がするのよね」

 

 

「……叢雲は、本当に凄い艦娘()だと思う

アトミラールの願いを聞き一人でも懸命に戦うその姿がな…」

 

 

「叢雲は…」

 

 

不意に願っていた古鷹が声を上げると四人はそれに集中すると目を開け目の前で戦い続ける叢雲を見る

 

 

「いつも一人で前に出て、誰よりも先に戦って、それで一番提督を信頼して、そして仲間を大事に思っている

だから私はあの子を信じてる

『私を地獄から救いだしてくれた人だから』」

 

 

古鷹達が声援を送ろうとした瞬間会場全体に再び声が響き渡る

 

 

「頑張れー!!叢雲ー!!

あんたならそんな戦艦一人倒せるわよ!!!

頑張れー!!」

 

 

その声の主はエアなのだが観客席の視線を集めながらも声援を上げているとポツポツと他の観客席からの叢雲への声援が送られる

 

 

「頑張れー!駆逐艦!」

 

 

「頑張れー!小さいお姉ちゃん!!」

 

 

会場の半分が叢雲の応援をしているとその中から長門を応援する声も出てくる

 

 

「いや!負けるな戦艦!

ビック7の実力見せつけてやれ!!」

 

 

「最強の艦娘に勝てるわけないだろ!!

そんな奴叩き潰せ!!」

 

 

真っ暗な中会場全体で今戦う二人の艦娘に向けて声援が送られると阿武隈達もそれに紛れて応援する

 

 

「負けるなー!叢雲ー!!」

 

 

「やっちゃえ!雷撃姫!」

 

 

「あんたなら誰にも負けないわよ!!

勝ちなさい!叢雲ー!」

 

 

皆が応援する中その様子を猿橋もそわそわとしながら見ていると背中からコソコソと大和が囁く

 

 

「提督、今ならこの声援に紛れることが出来ますよ?」

 

 

「!……やっちまえ!!雷撃姫!!」

 

 

猿橋も抑えていたが叢雲へ応援しているとその様子を見ていた恵比寿と羽田が実況を再開する

 

 

「さぁ!いよいよ戦いは大詰め!!

盛り上がってきましたねぇ!!

大演習会ラストバトル!!

正義の戦艦長門VS雷撃姫駆逐艦叢雲!

お互いかなりの損傷を受けているのにも関わらず戦い続けております!!」

 

 

「えぇ……これは本格的に分かりませんね…

どちらが勝っても可笑しくありません」

 

 

「そうですね!さて一体どちらに軍配が上がるのでしょうか!?

最強の戦艦と最強の駆逐艦、勝つのはどっちだぁ!!!?」

 

 

会場全体が盛り上がる中水上では叢雲がかなり押していた

それもそのはず叢雲は先読みが使っており長門の攻撃を全て交わすか弾いており押し続けていた

(くそ!何をしてもこいつに先読みされる!!

そろそろこちらも限界だと言うのに!!)

 

 

長門が叢雲の攻撃に押され後ろに後退していると足下に何かが当たるのを感じると不意に下を見てしまう

 

 

「何だ…?艤装か…?でも何故こんなところに…」

 

 

その姿を確認した叢雲は残っている魚雷を一発取り出すと長門に投げつけると咄嗟に長門は避けるが叢雲はそれを撃ち抜き側で爆発させる

 

 

「グハ……貴様っ!!」

 

 

長門の艤装が黒煙を上げ始め耐久がかなり減っていることを理解した叢雲はトドメの攻撃をしようと走り出す

 

 

「終わりよ!長門!

トド…メ………」

 

 

だが、叢雲は途中で全身から力が抜けてしまいその勢いのまま水面に突っ込んでしまうと何とか立ち上がろうとするが身体が言うことを聞かない

(不味…い…ちょっと…早い…わよ!……もう少し…なの…に!)

水上で悶える叢雲を不思議に見ているといきなり叢雲が頭を抱えだしながら絶叫する

 

 

「アアアァァァァァァ!!!

痛い!!痛い!!!頭ガァァァァ!」

 

 

頭を抱えながら水面を転がっており口と鼻から大量の出血をしている叢雲に驚きながらも長門は撃ち抜こうとしてくるがそれを先読みし何とか避ける

やはり頭痛は止まらない

 

 

その姿を見ていたエアが恐る恐る佐渡を見ると冷や汗をかいており不味いと言った表情をしており何故かを察してしまう

 

 

「佐渡…まさかあれって……」

 

 

「……あぁ、先読みの代償……

すなわちリスクの方だ」

 

 

 

 

 

 

 





次回

リスク

強すぎる力には必ずリスクがある
それが強ければ強いほどに


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