艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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VS 長門 十一

「リスク…?でもあんたが使っても特に何もないわよね?」

 

 

「いんや、あるさ

俺も使うときはリスクを背負ってる

と言っても軽く使う程度なら問題ない

使いすぎたり連続して使えばそれが蝕む

だからこそ、ここぞって時にしか使わないし叢雲だけにしか教えてない」

 

 

「そのリスクって?」

 

 

エアが恐る恐る聞くと佐渡は頭を人差し指で指しながらその先読み(未来予知)の説明を始める

 

 

「俺の先読みには三つの発動条件がある

一つ、近接戦か目に見えている相手に対してのみ使えると言うこと

二つ、相手の持つ武器を理解すること

三つ、自らの身体がどこまで動けるのかを理解することそして戦いを幾つも重ねていること

これが条件だ

正直、スナイパーとか遠距離砲撃には使えない近接戦闘のみで使える先手読み見たいなもんだ

どっかのラスボス見たいに時間は飛ばせないけどな」

 

 

「それなら普通の相手には使えるのね

それで?」

 

 

「この先読みの正体は簡単に言えば

集中力と想像力の応用なんだ

戦闘馴れした熟練者には使えないわけではない

ま、完全な物は俺しか使えないが

……だがこれには大きな…リスクを伴う」

 

 

佐渡から言われた大きなリスクにエアは背筋を凍らせているが佐渡はそのリスクを話だす

 

 

「あの先読みはかなりの集中力と想像力を消費することで脳にかなり大きな負担がかかる

激しい頭痛、手足の痺れ、目眩吐き気、視力低下

一時的ではあるがそれを発生させる

それに加え自らが動いてその先を潰して更にその先を読み続けなくてはいけない

どんなに集中力が長けていても使えない

どんなに想像力が長けていても使えない

この二つを完璧に使いこなし更に自らの動きをそれに合わせていく

しかも一度歯車が狂えば恐らくその戦闘では二度と使えない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正に諸刃の剣…何です」

 

 

「嘘……」

 

 

「提督のあれには……そんなリスクが…」

 

 

「む、叢雲……」

 

 

古鷹から同じ説明を受けた金剛達も心配そうに今戦っている叢雲を見ているが確かに苦しそうに頭を押さえている

 

 

「貴様……そこまでして戦うのか?」

 

 

流石の長門も先程よりボロボロになりつつある叢雲を見て恐れを感じる

目の光は消えず真っ直ぐに長門を捉え睨み付け戦うその姿に誇りすら感じながら

 

 

「これは……私のわがまま…だから…よ」

 

 

叢雲は痛む頭とボロボロの全身を無理矢理にでも動かしながら長門と対峙する

 

 

「わがまま…だと?」

 

 

「そうよ……正直…古鷹とかを捨てさえすれば確かに今の状況を抜け出せるわ…

普通に考えれば分かることなのよ…

佐渡もそれを理解している……

でもね、私は失いたくない……今の仲間を…鎮守府の仲間を…絶対に…

佐渡には迷惑をかけてると思う、でもあいつは私のわがままにいつだって付き合ってくれる

自分の気持ちを抑えてでも絶対に……」

 

 

艤装を振り回すと水面に叩き付けると長門を差し向けると声を振り絞る

 

 

「だから……私は今の仲間を助けるの!!

その為なら何だって犠牲にしてやる!声も!目も!味覚も!耳も!犠牲にするだけで助けられるなら私は何でもするわ!!」

 

 

叢雲の言葉はしっかりと古鷹達に届き微笑みながらも応援を始めると長門は唇を噛み締めながら叢雲を睨み付ける

(これが……最強の駆逐艦の覚悟か……

成る程な…素晴らしいな……

だが!私も負けられないのだ!!正義を通すために)

 

 

「行くわよ!!戦艦長門!!」

 

 

「来い!駆逐艦叢雲!!」

 

 

叢雲は悲鳴を上げると全身に鞭を打ちながら長門に突っ込んでいき右の主砲と艤装を振り回す

(後……少しで追い込める!!

それまで持ちなさいよ!私の身体!!)

 

 

 

 

 





次回

謀略

次回、佐渡が叢雲達に与えた作戦が発動し長門を追い込みます
雷撃姫の真骨頂が垣間見えます

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