爆煙が晴れていき二人の姿が確認された後恵比寿が再び興奮気味にマイクを取り実況を開始する
「さて!爆煙が晴れ!二人の姿が見えてきました!!
倒れているのは、立っているのはどっちだぁ!?」
そして、二人を包んでいた爆煙が晴れ姿を見た瞬間佐渡は眉間にシワを寄せエアは口を押さえ古鷹達はその結果に慌てる
一方同じく水上で見ていた磯風達は安堵のため息を付き唐澤もふぅと溜め息を付いていると再び恵比寿の実況が始まる
「何と!立っているのは長門だぁぁぁぁぁぁ!」
爆煙が晴れた中長門は呆然と立ち尽くしそれに対する叢雲は水面に倒れており動いていない
その結果に会場が盛り上がり歓声と共に長門コール一色に染まっていると元帥達も安堵のため息と共にその場に座り込む
「何だ……結局長門か…」
「驚かせやがって……
さてこの大会も終わりだ終わり
長門の勝利で小笠原は解体だ」
元帥達が長門の勝利を確信すると東雲が立ち上がり会場を見下ろすと高らかに笑い声を上げる
「大元帥?」
「一体どうしましたか?」
「見ていれば分かるさ
もう少しだけ見ておけ馬鹿共」
長門の勝利が確定すると阿武隈達はガクンと腰を落とし瑞鶴は悔しそうに手すりを叩く
「叢雲……!」
「仕方ないさ……相手が悪すぎたんだ…
あの戦艦長門をあそこまでボロボロにしたんだ素晴らしいよ叢雲は……」
石澤が二人を慰めていると北上は手すりを思い切り握りしめると悔しそうに唇を噛んでおりそれを葛城が慰める
「北上ちゃん仕方無いわよ……
叢雲ちゃんは良くやったわ…」
「うん……そうだね…提督…」
全員が叢雲の敗北を確信していると猿橋だけが首をかしげながらその結果に疑問を抱いていると大和が隣で聞く
「提督?どうされましたか?」
「…嫌な…何か長門全く動かないなと思ってな?」
猿橋の言葉を聞くと確かに長門は息すらしていないように呆然と立ち尽くしていた
「そんな……叢雲……」
「嘘デース!叢雲が負けるなんて!!」
「だが、これが結果だ諦めろ小笠原者達よ」
古鷹達が叢雲の敗北を悲しんでいる頃磯風が近付いてきながら残酷な結果だけを伝えに来る
「黙るデース!!叢雲が負けるわけないんデース!」
「辞めなさい!金剛!」
「そうよ!叢雲……負けたのよ!!」
暴れる金剛を取り押さえると磯風は自らが勝ったかの様に嬉しそうにしていると長門を迎えにいこうと前に出ると長門に話しかける
「流石だ長門!あの雷撃に耐えるなんて!!」
だが、長門からは一切の返事も言葉も動きすら無くただ呆然と立ち尽くし艤装だけが火花を上げている
「……長門?」
その様子に疑問に思いながらも先程の雷撃で少し耳が遠くなっただけだと思い大淀の判定を待つ
「勝負あったな佐渡よ」
対面する唐澤からインカムに声が入り佐渡もそれに答えるようにインカムの電源を入れる
「そうですね」
「お前達の負けだ、叢雲達は貰っていく
安心しろ悪いようにはーーー」
「何を言ってるんですか唐澤大将、負けは貴殿方ですよ?」
「……何だと?」
「ちょっと佐渡!何言ってるのよ!!
これはどうみてもーー」
「良いから、叢雲を信じろ」
佐渡は微笑んでいるとエアもそれ以上は詮索を辞めると最後の審判を待つ
「やはり、長門さんでしたか……
流石ですね、正義の戦艦の名は伊達ではないと言うことでしょうか?」
大淀が判定の為に両者を見ると叢雲は倒れているが艤装が爆発しておらず長門も立ち尽くしているため判定が取り辛いが手を上げ二人の戦いに決着を付ける
(正直、叢雲さんならやれると思ったのですが残念です)
「叢雲!戦闘不能!!
勝者!正義の戦艦長門!よって優勝は舞ーー」
と言い掛けた瞬間会場のコールを裂くような爆発音が響き渡り全員の目がその音の主に集中する
そして会場全体がざわめきと混乱していた
その爆発音を出した主と言うのは
「な、な、な、な、な!?
何と!!長門の艤装が爆発したぁぁぁぁぁ!?」
その爆発音の主は長門の艤装であり長門は白目を向きながらその爆発によりゆっくりと倒れていく
次回
勝者
勝利していたはずの長門の艤装が爆発により大破し勝敗が決まらない
次回、長門戦決着となります!