艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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執念 二

古鷹は単身長門に対峙するとその状態を理解した

恐らく長門の限界は既に越えており彼女に意識はない

あるのはただ一つ自らの正義の敵である叢雲を倒す

それだけなのだろう

艤装が破壊されているのが幸いしており主砲や副砲は使えずに近接攻撃のみとなっている

 

 

「正直、通常の貴女なら勝てるのは叢雲だけ…

でも今の貴女なら私でも勝てる!!」

 

 

「退けェェェェェ!!!

私の邪魔ヲするナァァァァァ!!」

 

 

長門の拳が古鷹に襲い掛かるが何とか避け長門の攻撃を受け流すようにやりつつ相手の気力を削いでいく

 

 

「もっと……削らないと!」

 

 

「死ねェェェェェ!!

犯罪者共ォォォォォ!!!」

 

 

だが、長門は先程叢雲に与えた連続攻撃の構えを取り恐らくそれが最後の攻撃だと察した古鷹は深く深呼吸をすると佐渡を見上げるとお辞儀をする

(ごめんなさい提督、貴方のお力お借りします)

 

 

その姿を見ていた佐渡は疑問に思っているとその意味を理解し手すりに掴まる

 

 

「アイツ!まさか!だが俺は教えていないはずだ!!

辞めろ!古鷹!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ以上!仲間を傷付けさせない!!

もう守られるだけは嫌なんだから!!

今度は私が守るんだ!

貴女の行動を先読み(未来予知)します!!」

 

 

古鷹は叢雲と同じ先読みを使い長門の行動を全て予測すると連続攻撃を全て受け流しその先を読んでいく

 

 

「馬鹿な!長門の連続攻撃を全て受け流した!?」

 

 

「あれは……先読み…?

でも、あれは叢雲しか使えないんじゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でだ!古鷹には教えてないはずだぞ!!」

 

 

佐渡は今現在古鷹が使用している先読みに驚いていると一つの答えに辿り着く

 

 

「叢雲!あんの馬鹿!古鷹にこっそり教えてやがったな!?」

 

 

「ちょっと!佐渡落ち着きなさいよ!

今の古鷹なら大丈夫でしょ!?

さっきの叢雲より身体は治ってるんだから!」

 

 

「馬鹿!それだから更に良くないんだよ!!

身体は治っていても体力は治らない!

下手に使えば身体を壊すぞ!!」

 

 

「!!!

まさか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古鷹は叢雲から密かに教わっていた先読みを使い長門の攻撃を寸前で交わし時には受け流したりしながら観察する

(周りが全く分からない…音も聞こえない…

でも長門さんの行動は分かる!!

少しずつ身体が悲鳴を上げ動きが鈍くなってる

もう少し受け流せば!!)

 

 

じっと長門の残っている体力を消耗させているといらついた長門が止めの攻撃を仕掛けてくる

 

 

「沈めェェェェェ!!!」

 

 

「今だ!!」

 

 

長門の左ストレートを交わし懐に入ると次に回し蹴りが来るがそれをしゃがんで避けそのまま逆の軸足を引っ張ると長門は体制を崩し水面に叩きつけられる

 

 

「ガハッ!!」

 

 

「よし!このまーーー」

 

 

と古鷹がトドメの一撃を与えようとした瞬間に先読みが切れ同時に全身の力が抜け視界が歪む

(………ぇ?何で?

…まだ三分も立って……)

 

 

そのまま古鷹は水面に座り込み頭に激痛が走り頭を押さえながら苦しむ

 

 

「うぅ………

痛い……これが…リスク……なんだ…」

 

 

苦しんでいると上に気配を感じ重い頭を持ち上げると長門が踵を振り上げていた

 

 

「まず…い……」

 

 

「くたバレェェェェェ!!!」

 

 

古鷹は何とか避けようとするが全身に全く力が入らず目を閉じてその痛みに耐えようとすると

 

 

「そこまでよ!!長門!!」

 

 

振り上げる長門に陸奥が突っ込みそのまま水面に倒れると押さえ込む

 

 

「放せェェェ!!

私ハ!!」

 

 

「磯風!!」

 

 

「分かっている!!」

 

 

磯風は艤装から鎮静剤を取り出すと長門の首に向けて差し込むとゆっくりと長門は動きを止めていく

 

 

「私……ハ…負け…ナ…い

正義…ヲ………」

 

 

全身に鎮静剤が回ると長門は動かなくなり艤装が自動的に解除され水面に浮かぶ

 

 

「はぁ、はぁ……ごめんなさい…

私の姉が…ご迷惑をおかけしました…」

 

 

「いえ……大丈夫ーーー」

 

 

と古鷹が言いかける時に身体から力が抜け水面に倒れると更に視界が歪み頭痛が激しく声が出せないほど痛みに見舞われる

 

 

「古鷹!!」

 

 

その様子を心配しながらこちらに向かって来ていた金剛達が見えるが声が出せずに居ると首に強い打撲を感じると一瞬だけ磯風が見える

 

 

「…無理に意識があるより一度手放せば良い

ありがとう貴女のおかげで長門は救われた

ゆっくりと休んでくれ古鷹さん」

 

 

その感謝の言葉に嬉しさを感じ古鷹はゆっくりと意識を手放すと磯風が古鷹を抱え金剛達に差し出す

 

 

「すまなかった我々の問題に彼女を加担させてしまい

苦しんでいた為気絶させた

外傷は無いからゆっくり休ませてくれ」

 

 

「ありがとうデース……」

 

 

金剛は磯風から古鷹を預かると陸奥と磯風は気絶した長門を抱え去っていく

 

 

「後でそちらの提督を踏まえて謝罪に行く

今はすまない」

 

 

そう呟くと二つの鎮守府は気を失った三人を運ぶためにそれぞれの出口へと向かっていく

 

 

「えぇー、今回の大演習!

大変な盛り上がりを見せましたが両者ともにかなりの大きな傷を負っているため表彰は後日行いたいと思います!!

では皆さん、本日はここまで!お気を付けてお帰りください!!」

 

 

こうして、大演習会による大決戦は幕を閉じある男はその様子を満足そうに見ていた

 

 

 

 

 

 




次回

大演習会の目的

暴走した長門を止め大演習会は閉幕した
ある男の思惑を叶えながら


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