艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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大演習会 後日談 三

しばらくして大井と佐渡はベンチに座りながら珈琲を片手に溜め息を付いていた

 

 

「あー、疲れた

めんどくせー!!」

 

 

「頑張ってください

これも仕事です」

 

 

大井は隣でアイスを食べながら今日の日程を見ており佐渡はその姿に見惚れる

 

 

「……なんですか?」

 

 

「いんや、変わったなお前」

 

 

「は?」

 

 

珈琲を飲み干し別の飲料水を買おうと自販機から新しくペットボトルを買うと飲み始めながら大井を見る

 

 

「初めの頃はさ

いつも俺に魚雷とか投げてきたり殴ってきたりしてきたからさ?

最近じゃ減ったじゃねぇか?」

 

 

「まぁ、初めの頃は男なんて敵だと思ってましたから

今も変わりませんが」

 

 

「はは!やっぱり変わってないか!

だが普通にお前と話が出来ることは嬉しいよ大井」

 

 

大井は「ふーん」と小さく呟くとアイスを食べきりそのゴミを捨てると眼鏡を取り出し歩き始める

 

 

「さ、休憩は終わりですよ

このあと表彰式を行った後に羽田元帥と東雲大元帥に呼ばれているんですよね?

行きますよ?」

 

 

「へいへい、相変わらず厳しい秘書艦様だこと」

 

 

佐渡は立ち上がりのんびりと大井の隣を歩いているとボソボソと声が聞こえる

 

 

「貴方との話は楽しいですからね」

 

 

「ん?何だ大井?」

 

 

「別に私は変わってませんよ

私は貴方以外の男性はやはり嫌いですし今でも殴ります

それにもし変わっていたとしたらそれは貴女と皆のおかげですよ」

 

 

「お、嬉しいこと言ってくれるねぇ!!」

 

 

佐渡は大井の頭をぐしゃぐしゃと撫でるとイラついた大井に横腹を思い切り蹴られその場にうずくまる

 

 

「子供扱いするな!!」

 

 

「ゴフォ!?」

 

 

うずくまる佐渡を置いていきながら大井は耳まで紅くしていると佐渡はゆっくりとそのあとを着いていこうとする

 

 

「佐渡提督」

 

 

不意に後ろから声が聞こえると大井と佐渡は振り返りその姿を見るとそこには唐澤と磯風と陸奥が立っており驚く

 

 

「何か御用ですか、唐澤大将」

 

 

「……すまない、少し時間を頂けないか?」

 

 

「大井、まだ表彰式には時間があるか?」

 

 

「はい、表彰式は十時からですから二時間ほど……」

 

 

「分かりました、良いでしょう」

 

 

佐渡は唐澤に着いていこうとすると大井が袖を掴み心配そうに見上げているが微笑みながら頭を優しく撫でる

 

 

「心配すんな、そう言えば北上さんが確か今頃朝ご飯何じゃないか?

行ってきな?」

 

 

「……分かりました、お気を付けて」

 

 

 

大井は佐渡を信じるとゆっくりとした足取りで離れていくと唐澤達と向かい合う

 

 

「すまない、秘書艦との貴重な時間を裂いて貰い」

 

 

「いいえ、で何の話ですか?

うちの叢雲が何か?」

 

 

「いや、そうではない

ここで話せる内容ではないのだ

すまないが、着いてきて貰えないか?」

 

 

「艦娘を交えてですか?

なら私もーーーー」

 

 

「頼む、佐渡提督」

 

 

「お願いします佐渡提督」

 

 

佐渡の声を遮るように二人が頭を下げると溜め息をつきながら何となく状況を理解する

 

 

 

 

「成る程、そういう話ですか

分かりました、聞きましょう」

 

 

「本当にすまない

君以外の人間にこの話を聞かれるわけにはいかないんだ

こっちだ」

 

 

佐渡は先行して歩いていく唐澤の後ろを付いていきながら深いため息を付く

 

 

 

(あーあ、何か最近面倒事ばかり起きる気がするぜ……)

 

 

 





次回

怒り

その怒りは果たして誰の為なのか
自分の為かそれとも他の誰かの為なのか



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