艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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対談 二

「え?今聞き間違いかな?

長門をうちに置いてくれとか言いませんでしたか?」

 

 

「聞き間違いではない佐渡司令」

 

 

磯風が直ぐ様それが嘘でもなく聞き間違いでもない事を伝えると佐渡は二人を見ると真面目な面持ちをしている

 

 

「話は既に大元帥に通してあるし長門にも伝え納得して貰っている

いつでも彼女を君の元へーー」

 

 

「嫌!ちょっと待ってくださいよ!?

何で彼女をこっちへ?だって彼女そっちのエースだし居ないと大変じゃないんですか!?」

 

 

「まぁなだがそれよりも彼女はもう戦わせることが出来ないんだ」

 

 

「は?また一体どうして?」

 

 

「佐渡司令、今回の大会ラストに長門がどうなったか見ていただろ?」

 

 

磯風に言われると確かに最後長門が立ち上がった時様子が可笑しかったのを思い出す

言葉使いも声も少し変わっており仲間も判別出来てなかった

 

 

「そう言えば、彼女は大丈夫なのですか?

あんな状態で艤装なんて動かしたら……」

 

 

「…君は長門の心配までしてくれるのか…

大丈夫だ、今はベッドでゆっくりしているよ

その説は私の戦艦が君達にご迷惑をお掛けしまして申し訳ありませんでした」

 

 

唐澤は立ち上がり佐渡に頭を下げると陸奥と磯風も同時に立ち上がり頭を下げる

 

 

「別に良いですよ

と言うかそれは古鷹に言ってあげてください

アイツが居なかったら彼女止まりませんでしたよ?」

 

 

「あぁ、彼女にはまた別の機会に話すつもりだ

それでだ長門だが実はあれが初めてではないのだ」

 

 

「え?じゃあ、何度かあったのですか?

あれが」

 

 

「あぁ、これで三回目だ

一度目は磯風が確認し、二度目は陸奥も確認した

そして今回だ」

 

 

長門の暴走は今回が初めてではないと聞き佐渡は疑問に思う

 

 

「あれは何なんですか?」

 

 

「……明石にこの前精密検査を受けて貰った時に言われたんだ

彼女はこれ以上戦えば深海に堕ちる(・・・)とな」

 

 

「…深海に堕ちる?」

 

 

「あぁ、彼女は自らの信念の為に戦い

たった一人で何体もの深海棲艦を沈めてきた

それが影響してるのかそれとも彼女自信の問題なのかは分からない

だが彼女はこれ以上戦えばいずれ仲間も敵も関係なく殺す化け物に成り果てると…な」

 

 

「わーお、そりゃまた

とんでもない話」

 

 

佐渡は他人事の様に言いながらも珈琲を飲んでいると唐澤が頼み込んでくる

 

 

「だから長門をそっちでーーー」

 

 

「でもそれって俺には関係ないですよね?」

 

 

「………え?」

 

 

佐渡は珈琲を飲み終えるとその場に立ち上がり立ち去ろうとする

 

 

「俺には関係ない

俺は確かに色んな艦娘からお願いされたり流されてきた艦娘の世話をしてきています

でも現状これ以上世話できるほど余裕は無いんですよ

と言うわけです失礼します」

 

 

「貴方は長門がどうなっても良いのか!?」

 

 

「あぁ、それは俺の問題じゃない

貴方達の問題だ

安心してくださいもしも長門がその深海堕ちしたときはーーー」

 

 

唐澤を睨み付けると怒りが混じった声で話す

 

 

「俺の艦娘達が必ず殺してやる(沈めてやる)

では」

 

 

その場を去ろうと上着を着ると歩いていこうとすると陸奥が立ち上がり佐渡の行く手を遮る

 

 

「……退いてくれないか?

陸奥さん」

 

 

「お願いします佐渡提督

長門を 私の姉を助けてください」

 

 

するとその場に膝を付くと土下座をしており佐渡は頬を掻きながらその横を通り過ぎようとすると

 

 

「何でもします!!私に出来ることなら何でもしますから!!

だから長門を助けてください!!」

 

 

「……あのねぇ、陸奥さん

それは俺じゃなくてそっちの提督唐澤さんに頼んでくれないか?」

 

 

「駄目なんです!

私の提督は長門に甘いんです!!

昔の事がどうしても引っ掛かり長門に強く言えずいつもわがままを聞いてしまっている!

でもそれでも努力して長門の出撃禁止をしても彼女は無理矢理にでも出てしまう!!

だから!!」

 

 

「陸奥、良い後は私が話す」

 

 

唐澤は立ち上がると佐渡に近寄り頭を下げる

 

 

「お願いします、長門を助けてください」

 

 

「……あんたがどうにかしたらどうなんだ

自分の艦娘にここまでさせて」

 

 

「…何度も彼女の事を止めようとした

艤装を使えなくもした出撃禁止にもした

謹慎も言い渡した

 

だかな、長門を縛る鎖を断ち切れていない

艤装を使えなくしてもすぐに替えが届く

出撃禁止にすれば大本営から禁止を解けと言われる

謹慎にしても彼女は勝手に出撃する

 

彼女を罰を下そうとしても大本営が彼女の罪を消してしまう

何度も何度も彼女を戦場から遠ざけようとした

それをやろうとしても海軍と彼女自身がそれを防ぐ」

 

 

 

「司令…」

 

 

唐澤はそう語りながら頭を下げながら涙を溢す

その姿を見ながら磯風と陸奥は唖然とする

いつも厳格に涙等見せない男が目の前で泣いているのだから

 

 

「自分が情けないと思う……

だが、私には長門以外にも他の艦娘を預かっている

彼女達の命を名誉を守らないといけない!!

何度も長門にこの事を伝えても聞き入れてくれないんだ!思いが届かないんだ……」

 

 

そう語りながら佐渡はじっとその姿を見ているとゆっくりと唐澤は膝をつきその場に土下座する

 

 

「君に頼ることが間違っているのは分かるんだ

それでも私は君に頼ることしか出来ない!!

頼む!!長門を助けてくれ!!

私の愛しい女を!!頼む!!彼女を助けてくれるなら何でもする!!

私に出来ることなら!何でも!!

私はどうなっても良い!!だが!彼女だけは!彼女だけは救いたいんだ!頼む!!

死ねと言われれば死んでもやる!だからーー」

 

 

「……はぁ…全くどいつもこいつも…」

 

 

佐渡は溜め息をつくと更に唐澤の後ろから磯風が追撃をする

 

 

「私からも頼む佐渡司令!

長門を救ってくれ!もう貴方しか頼れる人もいないんだだからーー」

 

 

「だぁぁぁぁぁぁ!!!うるせぇぇぇ!!」

 

 

佐渡の叫びを聞くと三人はビクッとすると黙ってしまい深い溜め息をつく

 

 

「あのですね、唐澤さん、陸奥さん、磯風さん

俺は別にあいつらを救ってない

確かに救ったのは居る

だが、俺が救ったのは二人だけだ

それ以外は何もしてない

あいつらが勝手に救われたと言う気持ちになってるだけだ

だから俺には長門は救えない」

 

 

佐渡はそう言うと三人を置いてシークレットルームを後にしようとすると陸奥が震えており再び溜め息をつく

 

 

「だがまぁ、努力はしよう」

 

 

「!!」

 

 

「佐渡……提督?」

 

 

三人は頭を上げ佐渡を見るとめんどくさそうに頭を掻きながら振り返る

 

 

「そんな三人から必死の願いを見捨てるほど俺は出来た人間ではなくてね……

分かりましたよ、三人の願いを引き受けましょう」

 

 

「良い…のか?」

 

 

「良いですよ、どうせ戦艦一人増えた所で変わらないと思いますしね」

 

 

「…ありがとう…ありがとう…佐渡君…」

 

 

「全く、何で皆で泣いてるんですか

別に最初から三人の気持ちを教えてくれたら引き受けましたよ

ですが、その代わり貴方達にはある真実をお話します

それを聞いても尚彼女を私の所に送れますか?」

 

 

「真実…?」

 

 

佐渡は椅子に座り直すと唐澤達も涙を拭うと椅子に座り直し語りだす

真実を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これから貴方達に話す内容は私が知る海軍の闇だ

それを伝えます」

 

 

 

 

 





次回

不器用な戦艦

何度も戦い続け心すら擦り減らしてきた長門
ここで再び心を取り戻せるのか…?
……だが、そうは簡単事が運ぶほど優しくはない


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