艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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提督(佐渡)艦娘(叢雲) 二

「だから私じゃなくて長門を選んで

私の事はどうでも良いからさ?」

 

 

「何で…そんなことを…」

 

 

すると叢雲は微笑みながら立ち上がると佐渡に向き合うように再び座ると顔を近付けて話し出す

 

 

「ごめん、これも私のわがまま

私が長門と一緒に生活すればいつかアイツを殺したくなる

それほど私はアイツが憎い

多分これは変わらない

だから一緒には居れない」

 

 

「………」

 

 

その気持ちは佐渡も一緒だった正直に言えば佐渡は海軍が嫌いでありその象徴でもある長門を嫌っているのだ

それでも助けたいと思ってしまっている

 

 

「アイツと居るなら私は出ていく

貴方にこれ以上迷惑はかけられない

大丈夫よ私はどこでもやっていける

貴方に教えてもらった戦い方も生きる術もね

貴方に救われた(・・・・)のだから私を捨てて」

 

 

叢雲の思いを佐渡はじっと聞く自らの相棒(バディ)が願う最後のわがままを

 

 

「だから次は私じゃなくてアイツを救ってあげて?

私はもう充分よ、貴方と古鷹と過ごし

親方、大井、金剛、イムヤ、グラーフ、エアと過ごし

仲間にも出逢えた

私はもう満足なの

何せ出来ないと思った事を貴方は成してくれた」

 

 

「そんなことないさ……

これも全てお前が居たから出来たんだ……」

 

 

佐渡の言葉に再び微笑むと叢雲は佐渡に抱き付くと次は耳元で囁く

 

 

「違うわ、全て貴方の人望と貴方の技量よ

私は兵器として貴方の邪魔する者を排除しただけ

だからね」

 

 

叢雲は力を込めて佐渡を抱き締めると悔しそうではあるが我慢しながら佐渡に願う

 

 

「私じゃなくて長門を選んで

貴方が救うべき相手は私じゃないアイツよ」

 

 

その言葉と共に叢雲は立ち上がり佐渡の元を去ろうとする

 

 

「あんたの事は忘れないわ

多分これからも一生

じゃあね、司令官」

 

 

歩いていく叢雲は少し涙ぐみながら歩いていこうとするがその瞳は決意と共にこれから佐渡が長門達と歩む事を考え応援すると決めていた

(これでいい……そうよ、私はもう何もないんだから

貴方が救える艦娘を救ってあげてほしい

それが私の願いなんだから…)

 

 

「待て、叢雲」

 

 

すると佐渡は立ち上がり叢雲の手を取ると無理矢理にでも自分の元に引き寄せると抱き付く

 

 

「……何よ?司令官、お別れだからって寂しくなった?」

 

 

「いや、すまん

どうやら俺はお前が思うほど出来た人間じゃないみたいだ」

 

 

「は?どういう意味よそれ」

 

 

叢雲が不思議がりながら聞くと佐渡は満面の笑みを浮かべながら叢雲に思いを告げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いがお前の願いは聞けない

長門は捨てる、お前を選ぶよ

叢雲」

 

 

「………………は?」

 

 

自分の思ってる事とは別の解答に流石の叢雲も驚き唖然とする

 

 

 

 

 

 




次回

佐渡の思い

叢雲の思いを聞きながら佐渡は思い出す
昔、叢雲と出逢い誓ったことを


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