「じゃあ!この話は終わり!
長門は明日本島に送り届けるからな
くれぐれもエアや深海棲艦については口外するなよ?」
「あぁ、それはな
事情も聞いているからな」
「私は言っても構わないけど言ったらどうなるか分かるかしら~?」
エアがニヤニヤしながら長門に恐喝していると佐渡が溜め息混じりに話し出す
「やめんかエア!んまぁ、取り敢えず晩飯にするか?
長門、嫌いな物とかは無いよな?」
「あ、あぁ、特にはない」
「オッケーそれなら作りやすいってもんだ
お前達、準備しろー」
「「「「「「はーい!」」」」」」
全員が晩御飯の準備をする最中長門だけはその場に座っていると動こうとする
「はいはい、あんたは座ってる!」
「だが!私も何か……」
「大丈夫デースよ?特にやるといっても食器等を並べるだけですからね」
「む……そうなのか…?」
佐渡は厨房に入り全員を見渡すとある異変に気付く
「……おい、古鷹
なんで花瓶なんて持ってるんだ?」
「……え?」
そう古鷹が自分の所に花瓶を置きそこに箸などを置いておりまるで花瓶を食べようとするように置いていた
「あ、あれ?ごめんなさい!提督!
すぐに戻します!」
「お、おう?何だ、考え事か?」
「もう!古鷹さん花瓶なんて食べれないわよ!
しかもそれこっちのじゃない、頂戴?」
「う、うんごめんねイムヤさん……」
古鷹が珍しくぼーとしていたらしく佐渡は疑問に思っているとエアがその様子を見て叢雲に囁く
「彼女、長門が来てから明らかに可笑しいわ
気をつけて」
「………ありがとうエア」
叢雲に囁くとその場を離れ佐渡の居る厨房に入っていくと佐渡が料理を覗きこむ
「今日の晩御飯は何かしら~?」
「あ!こらエア!厨房に入ってくるな!!」
佐渡が料理しているとその耳元に近寄ると先程叢雲に言った通りの事を言う
「古鷹がちょっと危険かも知れないわよ
あの娘、長門が来てからかなり可笑しいわ」
「何だと?」
「さっきも牛乳とハチミツ間違えてたしずっとぼーっとしてるのよ
気を付けなさい」
「………そうなのか分かった」
エアはそれだけを言うと古鷹を気遣うように背中を押す
「古鷹は疲れてるだけなのよ!
もう、おっちょこちょい何だからさ!」
「ご、ごめんねエアさん!
ありがとう」
エアは古鷹をかなり気遣っておりその姿を他の艦娘も疑問に思いながら見ているが気紛れだと思い自分達の事に集中していた
(……何か、彼女危ない気がするわね)
だがエアは気付いていた彼女の異変に
今まで幾度と無く人間達を観察してきた彼女位にしか分からない変化にそれを佐渡達に伝えるか迷っていた
その迷い自体がエアが犯した間違いだったとも気付かずに
(違う……ここはあの鎮守府じゃない……
深海棲艦も居る…仲間も違う……
だから違う……違うの……
『あの悪夢は終わったのだから忘れなきゃ』……)
古鷹は自分に言い聞かせながら静かに壊れ始めていた
昔見た自らの過去を必死に忘れようとしながら
だが、今日起きた数々の出来事が彼女を蝕む
次回
古き記憶
無理矢理にでも忘れようとする記憶
だがそれでも彼女にそれは付きまとう