夜、草木が眠る二時を回り消灯時間が過ぎた頃ある部屋で艦娘と深海棲艦が二人で寝ていると深海棲艦が何かの音を探知し起き上がりベッドから飛び降り部屋を出ると一人の艦娘が壁を伝いながら廊下を歩いていた
「逃げなきゃ……逃げなきゃ……」
そう呟きながら一人のふらふらとした足取りとこの時間に外に居る人何てのは珍しく疑問に感じ部屋に戻ると一緒に寝ていた艦娘を起こそうとする
「むにゃ……司令官…ご飯美味しいね…」
その艦娘の上に乗りそのまま飛びはねると艦娘は苦しそうに呻きだす
「う……やめて…金剛さん…苦しい…」
何度も同じようにやっても艦娘が起きずに居ると深海棲艦は痺れを切らし耳元に移動し思い切り吠える
「ワン!!ワン!!ワン!!」
「んんー……イーちゃんご飯ー?
それとも抱っこ~?」
まだ艦娘は寝ぼけており深海棲艦もといイーちゃんを抱き締めるがそれでも起きない彼女に怒りを覚え口を思い切り開けると腕に噛みつく
「いったぁぁ!!!何!敵襲!?」
「ワン!」
あまりの痛みに流石に飛び起きると辺りを見るとイーちゃんが覗き込んでおり時間を見ると針が二時を指しており機嫌が悪くなる
「イーちゃん!何でこんな時間に起こすのよ!」
「ワン!ワン!!」
イーちゃんは吠えながらベットから降りると部屋の扉を開け艦娘を見上げる
「……うん?何か廊下にあるの?」
「ワン!」
艦娘は恐る恐る部屋から外にみる
廊下を見渡すと誰も居らず溜め息をつく
「ちょっとイーちゃん?誰も居ないわよ?」
「ワン!」
すると部屋からイーちゃんが飛び出しそのまま廊下を走っていく
「ちょ、ちょっとイーちゃん!?
待って!!」
部屋から飛び出したイーちゃんを追い掛けていくと目の前に壁を伝ってふらふらと歩いている艦娘を確認するとイーちゃんが吠える
「ワン!ワン!!」
「うん?あの後ろ姿って……古鷹さん?」
廊下の壁に身体を預けながらふらふらと歩いており疑問に思い声をかける
「古鷹さん?どうかしたの?体調でもわるーーー」
声をかけ古鷹の肩を叩こうとすると身体がビクンっと跳ねる
「触らないで!!!」
「えっ…?」
「来ないで…触らないで…やめて…私は違う…」
「え?え、古鷹さん?
どうしたの?私は違うって……」
明らかにいつもの古鷹と様子が違いイーちゃんも心配するように古鷹の足に顔を擦ろうとした瞬間
「触らないでよぉ!!!」
「キャンっ!」
突然古鷹がイーちゃんを蹴飛ばすとそのまま壁に激突し倒れてしまう
「イーちゃん!
ちょっと古鷹さん!何するの!イーちゃんは……」
艦娘が怒ろうとした瞬間古鷹の顔を見ることが出来たが明らかに可笑しい
月明かりに照らされた彼女は顔が真っ青に染まり目が左右に動いており頭を抱えながらうわ言の様に謝り続けている
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「古……鷹…さん…?」
その姿はいつもの明るく優しい
「ごめんなさい……ごめんなさい
許してください…もう……死にますから」
「…………え?古鷹さん今なんて」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!」
そう叫びながら廊下を走りだし追い掛けようとするがそれよりも先にイーちゃんが走り出し古鷹を追い掛ける
イムヤに頷くとまるで任せてと言わんばかりに全速力で走っていく
その姿を見ていた艦娘もといイムヤはハッとすると直ぐ様ある場所に走り出す
「司令官に伝えなくちゃ!!」
次回
過去に蝕まれた者
突然様子が可笑しくなってしまった古鷹
今までそんな素振りも何も無かったのに彼女は次第に狂い始める