「…………何の用だお前達」
佐渡は風呂から上がり工廠の掃除へと向かおうとしたとき工廠から来たであろう金剛達に止められていた
「提督、聞きたいことがありマース」
「何だ?こんな夜中に聞くことか?」
「古鷹の事だ
何故彼女はあんな風に暴れたんだ?
教えてくれアトミラール」
佐渡は予想通りの言葉に溜め息をつきながら二人の間を通り抜けようとする
「後にしてくれ今は工廠が先ーー」
「悪いが今話してもらうぞ、提督」
通り抜ける瞬間佐渡の目の前に艦載機が空中で止まり行く手を阻む
「親方……」
「悪いな、工廠は他の妖精に任せてある
話してもらおうか古鷹ちゃんの過去とやらを」
「……………今日は遅い明日でもーーー」
「そうは行かない佐渡提督」
その奥から長門が歩いてくると親方の後ろに立ち止まり佐渡を睨み付ける
「どうやら私の知らない真実があるらしいな?
私が知っていることと貴方の知っていることを話してくれ
私も知りたいのだ自らの犯した罪を」
気丈に振る舞っているがやはり震えており佐渡は反対側に回り逃げようとするのだが
「提督、少しよろしいですか?」
「古鷹について教えてよ!司令官!」
「………何だ?お前達は裏で俺を取り囲む練習でもしてたのか?」
後ろに大井とイムヤが立ち塞がり佐渡の退路を断つと溜め息を付きながら両方を見る
「お前達には関係ない話だ
だから今日は寝ろ」
「嫌デース、今聞きたいです」
「だから夜遅いだろ?
お前達には悪いことをしたな」
「構わない、古鷹の為ならどんな時でも助けになるさ」
「……明日話してやるからさ」
「駄目だ今話せ
お前はそうやってはぐらかすだろ?」
「…………寝ろよ、お前ら」
「嫌ですよ、今日こそは聞かせてもらいます」
「…………怒るぞ?
俺も眠いんだ」
「私達も眠い、それでも聞きたいの古鷹さんの仲間として真実を」
全員が佐渡から古鷹の事を聞き出そうと詰め寄るが佐渡は頭を掻きながら全員を睨み付ける
「お前達には関係ない
それだけだ」
「どうしてよ!私達仲間じゃーーー」
「仲間でもな!話せる事と話せないこと位あるんだよ!!!
失せろ!!!」
佐渡の怒号に全員が怯みその隙に去ろうとするが全員で佐渡の退路を断つ
「お願いします!提督!!私達はあの人を
私達を救ってくれたあの人を知りたい!!」
「古鷹さんは私にずっと優しくしてくれた!!
いつも笑顔で色々教えてくれてそんなあの人が悲しんで苦しんでる姿は見たくないの!!お願いします司令官!!」
「駄目だ!!アイツの過去はそう簡単に話せるもんじゃない!!!」
「お願いデース!提督!
話してください!二人が背負ってる物を私達にも背負わせてください!!」
「そうだ!アトミラール!貴方達だけが苦しむ必要は無いんだ!私達の事も頼ってくれ!!」
「うるせぇ!頼れたら頼ってるわ!!それでもな!!」
「提督、もう良いですよ」
その声に全員が振り返ると古鷹と叢雲が大井達の後ろから現れ微笑みながら全員を見る
「古鷹……だが!」
佐渡が何かを言おうとすると古鷹は首を横に振り少しずつ佐渡に近寄っていく
「ずっと考えていました
ここに来てから私はこんな所に居て良いのかって
初めはほんの三人と親方さん達だけでとても楽しかったです
でも、他の罪を背負った艦娘や心に傷を持った方々が来てここはとても騒がしくなりました
実はそれが恐かったんです
いつかこれがまたなくなるんじゃないかって
それでも皆は私を思ってくれていると再確認出来ました」
「古鷹……」
「古鷹さん……」
古鷹は大井とイムヤの間を抜けると佐渡を見上げここに居る全員を見回すと微笑み目を閉じる
「…提督…いえ、佐渡さん
私はまた仲間を信じてみます
貴方と叢雲を信じられるようになったように
だから話そうと思います」
「皆が慕う
次回
真実
古鷹は語り出す自らの過去とその心の傷を