艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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彼女の選択 ー大井ー 九

執務室に着くと、書類が山盛りな状態で放置されてあり大井はいつも通りだなと思いながら、席に着き執務を始める

 

 

ここでの執務は基本的に、この鎮守府より上の階級の人達の後処理が主であり、正直辛くはない

しかも、出撃がやたら少ない

遠征はある程度メンバーが固定されているが、基本的には帰ってくるのは二日に一度

だが、帰ってきてはすぐにまた出かける

まともな補給もせずに 

 

 

 

「今日は……

北方海域の攻略位か…」

 

 

北方海域、実のところ危険度が低く、轟沈する確率が最も低く安全な海域

良くわからないが、あそこに姫級が二人居るらしいのだがその姫級や深海艦隊は艦娘を轟沈させることが少ないらしい

あそこでの轟沈は、精々帰投する際に運が悪くはぐれ艦隊と遭遇し、戦艦達が駆逐艦達を盾にしなければ大丈夫と言うこと

それに、あそこは場所は限られるが、漁業が出来ることから攻略する優先度は低いとされる

 

 

 

だからと言って、その二人は弱いわけではない

ここ最近、戦艦1空母2駆逐艦2軽巡1の艦隊と戦艦2装甲空母1軽巡3を送り込んでいるのに全く戦果が取れないのだ

 

 

 

戦艦達が言うには、あそこの一人の姫級がかなり強く、歯が立たないらしい

それでも、あそこに木原が艦隊を向かわせるのはある目撃情報かららしい

そこにはごく稀にある、深海棲艦が見付かるらしい

 

 

 

 

歴戦の空母棲姫である

何故かは分からない、だが四ヶ月程前にある鎮守府の艦隊が帰投途中に遭遇したらしく、その時は何とかして逃げたらしい

その後、数回位北方海域に居ることが確認されている

だが、どれも戦闘をしたことが無いらしく実力は不明

それを聞いた木原はそれを撃破するために艦隊を送り込んでいるのだ

 

 

「……どうせ今回も駄目なんだろうな」

 

 

大井はそんなことを呟きながら、執務に取りかかる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー……今日の分は終わりかしら?」

 

 

大井は執務の大半を終わらせ、時間を見るといつの間にか20時を回っていた

そろそろお風呂入ろうかなと考えていると、執務室の扉が開き見たくもない奴が顔を見せ、大井は敬礼をする

 

 

「大井、執務ご苦労様

戻って明日のために寝ろ」

 

 

「はい」

 

 

木原は、制服を見にまとい先程まで大井が仕事をしていた書類を見る

それを横目に大井は、執務室を後にする

大井は、その脚でそのままお風呂に向かい

服を脱ぐと湯船に浸かり

今日の疲れを癒す

 

 

「ふぅ……今日も終わりかぁ……」

 

 

この鎮守府は、終わりが他の鎮守府より早く幸い夜遅くまでは運営しておらず、夜7時には全員お風呂を終わらせているため風呂には大井だけしか居ない

 

 

「……北上さんへのお土産もあるし、今日は早く戻りましょう」

 

 

大井は湯船から上がり、髪を乾かしていると廊下に人の気配を感じて静かにする

廊下からは二人の男の声が聞こえる

 

 

『今晩ですかぁ、楽しみですなぁ』

 

 

『あぁ、久しぶりの女だからなぁ』

 

 

恐らく、海軍上層部の誰かだろうと思いながら、怪訝そうな顔をしながら静かに風呂の扉を開ける

二人の人影は、真っ直ぐ執務室に向かっており、再び脱衣場に、戻り髪を乾かす

 

 

『二一○○に、執務室にGOよ』

 

 

ふと、今日アイオワに言われた言葉が頭をよぎり時計を確認する

時計は20時50分を指しており、そろそろか……

と思いながら、髪を乾かし終わると脱衣場を後にする

 

 

自室の前に着くと、扉の音を立てないように開き中に居るはずの愛しの友人を起こさないようにするが、少し異変に気付く

気配がない、いや勘違いかな?と思いながら二段ベッドの上を覗く

 

 

「北上さーん?居ますかぁ~?」

 

 

だが、居ない

朝起きて動いた様に、布団が乱雑になっており、どうしてと思いながらもトイレかしらと思い

艤装から佃煮を取り出すとそれと一緒に艦娘携帯食を取り出し

大井は、艦娘携帯食を食べる

艦娘携帯食は、見た目はカロリー○イト見たいな感じの携帯食で味はない

 

 

 

「……相変わらず味がないなぁ…

北上さん、まだかなぁ……」

 

 

電気を付け、佃煮の香りを楽しみながら艦娘携帯食を食べ終わり時間を気にする

時刻は21時を越えており、布団に転がる

 

 

「……何だろう胸騒ぎがするわ」

 

 

 

アイオワの言葉を気にしながら、大井は部屋を後にし、北上を探しに鎮守府内を歩き回る

 

 

すると、執務室の扉から光が見える

大井は、足音を消すように忍び足で歩いていると部屋から声が聞こえる

 

 

『やっぱり、若い女は良い身体ですなぁ?』

 

 

『張りのある肌、これが兵器かぁ…

惜しいなぁ、うちに一人欲しいですなぁ』

 

 

『良ければ、駆逐艦でしたら密かにお譲りしましょうか?』

 

 

『本当かね木原君!?では、この子が欲しいねぇ』

 

 

相変わらず、胸糞悪い連中ね

と大井は思いながら、通りすぎようとするが中から聞こえたもう一つの声に足が止まる

 

 

「や、やだ!!やめてよ!!」

 

 

「……え?北上さん?」

 

 

 

 

 

 

 


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