艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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重巡(古鷹)の記憶 十

突然の言葉に困惑しながらも主砲を構えている腕を下ろし呆然とする

ただ、このタ級が言ってる言葉が理解できなかった

 

 

「何を言って!」

 

 

「別二私達モ一枚岩ジャナイッテコトヨ

私達ニモ色々トアルノ

貴女達ヲ全滅サセタイ奴等

貴女達ト共二生キテイキタイ奴等

貴女達ト関ワリタクナイ奴等

ソレゾレネ

デ、私ハ戦イタク無イノヨ

ホットイテホシイ」

 

 

「だったら!どうして艦娘を殺すの!?

人間を襲うの!?何でー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何言ッテルノ?貴女達ガ始メニ攻撃シテキタンジャナイ?」

 

 

「…………え?」

 

 

私達が先に攻撃してきた?このタ級は何を言ってるの?

嫌、もしかしたらこのタ級は真実を知っているの?私より長く生きこの戦争の始まりを見たとでも言うの?

 

 

困惑する私を尻目にタ級はため息をつく

 

 

「フゥン?ヤッパリ知ラナインダ?

人間達ガ隠シテルノカナ?」

 

 

「どういうこと!?」

 

 

「オット、コレ以上ノ質問ハ駄目ヨ

私ガ質問シタノハ一度ダケ貴女モ一度ヨ

本当ハモット貴女達ヲ知リタインダケドネ」

 

 

その瞬間鎮守府が更に強く炎上し退路の向こう側の天井が崩れる音が聞こえる

 

 

「コンナ状態ジャアネェ……今日ハ退散スルワ」

 

 

「ま、待って!!」

 

 

私が声をかけるとタ級は脚を止め振り返る

 

 

「貴女の目的は何?これぐらいは聞かせてよ」

 

 

「私?私ノ目的ハ貴女達ヲ知リタイダケ

ア、答エチャッタコレハ貸シニシトクワヨ

ソレト私ニハ名前ガアルノヨソレデ呼ンデ頂戴?」

 

 

「……分かりました名前は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私ノ名前ハ『ツバキ』アル姫様ノオ付キ人ニシテ艦隊ノ最高責任者

ツマリ貴女達デ言ウflag改カシラネ?

ジャアネ古鷹」

 

 

その言葉と共にタ級ツバキは私の隣に主砲を向け放つと柱が同時に倒れてきて真上でそれがぶつかり私の傘になる

 

 

「マ、生キテイタラダケドネ?」

 

 

「ま、待って!話はまだーーーー」

 

 

ツバキはそれだけを言い私もその姿を追いかけようとするが次の瞬間目の前に焼け落ちた瓦礫が降ってきておりツバキを追えなくなると同時に鎮守府が崩壊していく

 

 

(ツバキ……一体何者なの!?

それよりもこの状況は不味い!!)

 

 

私は目の前のタ級ツバキと話をし過ぎたせいで崩壊する鎮守府を気にかけておらずどんどん回りが崩壊していく

 

 

『古鷹!応答しろ!』

 

 

「提督!はい、古鷹です!」

 

 

『大丈夫か!脱出したか!?』

 

 

「……すみません、逃げ遅れました…

今一応安全な所に居ます

そちらはどうですか?」

 

 

『なんだって!?

こっちは味方の援軍のお陰で深海棲艦は撤退した!

そっちに日向をーーー』

 

 

それと同時にインカムの電池が無くなってしまい提督の声が途中で途絶える

 

 

「……ごめんなさい、提督

ここまでですかね…」

 

 

崩れいく鎮守府を見ながら今までの事を思い出していた

(色々あったなぁ……皆無事かな…

それなら本望かな?)

 

 

そして、私は静かに瓦礫に埋もれていくのだが途端にあることを思い出す

 

 

「そうだ!艤装を使って!!」

 

 

私は艤装を解除すると全身が焼けるように熱いが我慢して何とか自らの体を守ろうと主砲や部品を使ってシェルターを作る

 

 

「お願い!!間に合って!!」

 

 

そして、少しすると目の前の瓦礫が倒れてくるが何とかその前にシェルターが完成し瓦礫から自らを守ると伏せてやり過ごす

(提督……後はお願いします…

私を見つけて……!)

眠るように目を閉じるとインカムの電源を付けたまま小さくまるまる

それと同時に周りの瓦礫等が崩壊し私を隠していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツ大丈夫カ?」

 

 

鎮守府から離れた場所にて戦艦ル級が遠目に鎮守府を見ながら呟く

他の艦隊は既に撤退しル級だけある深海棲艦を待っていると鎮守府から一人の深海棲艦がこちらに向かってくる

 

 

 

「オ待タセー」

 

 

「遅イゾツバキ、何シテタ?」

 

 

「艦娘ト話シテタ!」

 

 

「オイオイ大丈夫ナノカソレ?」

 

 

「ドウセアノ崩壊カラハ助カラナイワヨ」

 

 

ツバキは崩壊する鎮守府を尻目にル級と共に航行していきながら去っていく

 

 

「ソッチハドウナノ?『アナザー』」

 

 

「フェンリルノ回収ハ終ワッタ問題ナイワ」

 

 

アナザーと呼ばれたル級は自慢げに話すがツバキは「アッソ」とだけ言うとその前を航行していく

 

 

「ト言ウカオ前ノ目的ハ何ダッタンダ?

イイ加減教エテクレナイカ?」

 

 

「ンー?特二無イワヨ?デモ一ツアルト言ウノナラーーー」

 

 

ツバキは頬を吊り上げながら笑い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「簡単ニ殺シテ終ワリナンテハツマラナイジャナイ?

ダカラ奴等ノ事ヲ知ッタ上デ

痛メ付ケ、苦シメ、心ヲ破壊スルノヨ

知リタイワドウヤッテ絶望シテ苦シムカヲネ」

 

 

その言葉にアナザーは背筋を凍らせるそう話すツバキは身体をくねらせながら楽しそうに話していたのだから

 

 

「アァ!知リタイ!アイツラノ大切ナ物!

技術!艤装!思考!内蔵ノ作リ!記憶!ドウヤッテ作ラレタノカ!

知ッテソノ上デ殺スカ決メタイ!拷問シタイ!苦痛ニ歪ム顔ヲ見タイ!!

アァ!艦娘ッテ面白イ!!」

 

 

(相変ワラズ狂ッテル……化ケ物メ……)

 

 

「マァダカラ『今ハ手ヲ出サナイ』

アレガ私達ニ近イラシイシネェ?戦イモ敵ガ分カラナイ事ニモネェ

デモ平和協定ヲ結ベバアイツラヲ調ベ放題ナノガ楽シミ!!

アァ!話シタイワ!知リタイワ!艦娘!人間!

モット声ヲ聞キタイ!殺意ヲ感ジタイ!アァ!興味ガ好奇心ガ止メラレナイ!!」

 

 

「狂ッテルワヨ…貴女…」

 

 

「狂ッテル?何言ッテルノ?

私ハ知リタイダケヨ

我々ノ敵デアロウ人間ト艦娘ヲネ」

 

 

(コイツノ好奇心ハ狂気ニ近イ……前モ仲間ヲ解体シタッテ聞イタシ『アノオ方並ミダワ』

幸イナノガコイツニ悪気ガ無ク敵意モ無イトコロダケドネ……)

 

 

そう彼女は決して悪気も無く艦娘を殺したい訳ではないただ自らの知らない事を調べたいその好奇心だけであり全く敵意はない

 

 

「アァ……イツカモットユックリ話シタイワ……

貴女達ヲ知リタイワ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作ラレタ命達……私達ヲ唯一殺セル者達ヨ」

 

 

そんなことを呟きながらアナザーとツバキは海域を後にする

フェンリルの回収と言うメイン任務を終え鎮守府を破壊すると言うサブ任務も完了して

 

 

 

 

 




次回

深海棲艦強襲後

破壊された鎮守府、そして古鷹の安否はいかに!
因みにこのタ級、ツバキは近いうちに再登場しますよ!

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