艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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重巡(古鷹)の記憶 十二

「そう言えば!浜風さんは!?」

 

 

私が気になり聞いてみると木曾さんが頭を横に振るう

 

 

「今、集中治療室だ

他にも川内、初春、若葉、秋雲、が同じく

だが一人だけ何とか大丈夫だった清霜から聞いたんだけど今回姫が居なかったらしいんだ」

 

 

「何だと?じゃあ、誰があんな大艦隊を指揮してたんだ?」

 

 

提督が疑問に思いながら聞いているけど私には心当たりがあった

『ン?何ヨ『アナザー』

(彼女はツバキが呼んでいたアナザーと呼ばれる存在

恐らくそれが今回の首謀者…でも姫じゃない?

可笑しい…一体誰なの?)

 

 

「その事なんだが提督、少し今回の事で報告がある」

 

 

不意に日向さんが話だしその言葉に全員の視線が集中する

 

 

「何だ?報告って?」

 

 

「実は今回の襲撃はある戦艦ル級が絡んでるかもしれない」

 

 

「……例の個体に限りなく近いやつか?」

 

 

「あぁ、一体だけやけに強い奴が居てな

それに加えその一体を守ろうと何体かがカバーしていたのを見てなもしかしてと思ってな」

 

 

「何だよ提督例の個体って?」

 

 

木曾さんが質問すると提督は少し険しい顔をするがため息混じりに話し出す

 

 

「……歴戦種、それも姫ではない奴等だ

前に大本営がその疑いがある個体を見つけていてな

もしかして…」

 

 

「間違いないだろうな、奴が手引きしたんだろう

こちらの砲撃を受けてもほとんど傷を負った様子は無かったからな」

 

 

「提督!その事で私からも!」

 

 

私はやっぱり隠しておくのは不味いと思い焼け落ちていく鎮守府であったことを包み隠さずに話していくと皆の顔がひきつる

 

 

「……戦艦タ級flag改…ツバキだと?」

 

 

「……しかも自らの名前を名乗りこちらを調べてきている深海棲艦…」

 

 

「…もしかして、ル級が?」

 

 

「はい、彼女が通話していたアナザーだと思われます!」

 

 

その言葉と同時に提督が椅子に座りため息をつきながら頭を抱える

 

 

「……歴戦種戦艦ル級アナザーに

戦艦タ級flag改ツバキ…しかも会話が出来こちらと友好を結ぼうとして来ている深海棲艦…

何て事だ…何でそんな奴等が…

だが、それで今回の襲撃は納得が行く

アナザーはツバキの対話の為にうちを襲ったのか…対話をするためだけに!!クソ!!」

 

 

提督が悔しそうに話していると不知火さんと五月雨さんが提督を宥めている

 

 

「ですが、司令これで奴等の戦力も分かったんです

良しとしましょう」

 

 

「そ、そうですよ!被害も鎮守府が壊されただけですし!」

 

 

しばらく考えたのち提督が頬を叩くと「良し!」と気合いを入れ直す

 

 

「後で全て大本営に話す!今回の襲撃目的も分かったわけだしな」

 

 

「そのいきです司令」

 

 

「そうだぜ!提督がそんなんだとこっちも辛気くさくなるじゃねぇかよ!」

 

 

「おい待て木曾それはどういう意味だ?」

 

 

 

とツッコミが入り全員で笑っていると病室をノックされ二人の憲兵が入ってくる

 

 

「失礼する、こちらに古鷹は居るか?」

 

 

「え?あ、はい!私が古鷹です!」

 

 

私はベッドから降りると敬礼し他の艦娘達も敬礼している中提督が憲兵を見ると首を傾げる

 

 

「憲兵さん…?何か古鷹に用ですか?」

 

 

「あぁ、藤谷提督すみません急を要する用でしたのでお話がまだ貴方に届いて無かったのかもしれませんね」

 

 

「それよりもお前達入ってこい」

 

 

一人の憲兵が指示をすると武装した他の憲兵も続々と入ってきており全く意味が分からなくなる

 

 

「お、おい!お前達何なんだよ!!」

 

 

「何で武装した憲兵さんが!?

ここにはそんな危ない人なんかーー」

 

 

そして一人の憲兵が書類を取り出しその発言に全員言葉を失う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「古鷹一番艦古鷹 佐世保鎮守府に深海棲艦を招き入れ佐世保鎮守府提督 藤谷 大地(だいち)を殺害を目論み他の艦娘を同時に殺害しようとした

よって貴君を内乱罪及び反逆罪で逮捕する」

 

 

 

「………………え?」

 

 

全く意味がわからないその言葉に私の思考は停止した

 

 

 

 

 





次回

強制連行

仲間を救い、一人戦った彼女に待っていたのは謎の疑い
その裏で暗躍する者達とは?



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