「ここだ、入れ」
「はい……」
私は案内されるがままに入るとそこは独房と言っても変わらない
冷たいベッドだけで全く物が無い
普通なら洗面台やトイレなどあっても可笑しくないのだがそれがない
「あ、あのトイレとか洗面台は……」
「あぁ、それなら私達がずっと居るからすぐに言ってくれれば良い
近くに隣接はしている」
「どうして無いんですか?」
「………昔、それを使って自殺しようとした奴が居てな
それなら全て撤去したんだ」
「…………え?」
「時期に分かる、君がここに来たと言うことの意味が」
憲兵さんはそれだけを言うと鍵を締め一冊の本を渡してくれる
「だがこれくらいは許されている
暇だしな、読んでいると良い『自殺にも使えない』しな」
すると憲兵さんが渡してくれた本を手に取るとゆっくりとその場を去っていく
(自殺にも使えない……確かに部屋には自殺しようにもそんなものは一つとして無いけど何で……?)
この時私がここに送られてきた意味が理解できずただ疑問に思うだけだった
確かにやることがなく憲兵さんに渡された本を見ようとしたけど身体が疲れていたのかベッドに横になると睡魔に襲われゆっくりと意識を手放していく
(……大丈夫だよね私は何もしてないんだもん…きっと提督が何とかしてくれるよね…)
ここはうってかわりある豪邸の門の前に藤谷は来ていた
だが、藤谷にとっては嫌な思い出しかない辛い場所ではあるがチャイムを鳴らす
『はい、どちら様でしょうか?』
「俺だ、親父は居るか?」
『ぼ、坊っちゃん!?すいません今すぐ開けます!!』
坊っちゃんと呼ばれた藤谷
そう、ここは藤谷の実家でありもっとも藤谷が嫌う場所である
すると門が開かれ奥から使用人と執事がこちらに走って来る
「ぼ、坊っちゃん!お帰りになるのでしたら一言お声をーーーー」
「帰ってきたんじゃない!親父は何処だ!?」
「信吾様でしたらデスクに……」
すると藤谷は走りだし勢いよく家の扉を開きドンドンと音を立てて二階に上がると自らの父親の居る部屋の前にたどり着くと再び執事が声をかけてくる
「坊っちゃん!今信吾様は……」
「うるせぇ!急ぎの用事なんだよ!」
藤谷は扉を蹴り飛ばすと奥では藤谷の父親 藤谷信吾がデスクに座りながら仕事をしていた
「何だ騒がしいぞ帰ってくるなら一言連絡を入れろ馬鹿息子」
「てめぇ!何をしやがった!!
俺のやることにはもう何も手を出さないし言わないって約束したよなぁ!?」
藤谷は机を思い切り叩くとため息をつくように信吾は藤谷を睨み付ける
「あぁ、貴様の不祥事の事か
本当に馬鹿な息子だ、深海棲艦ごときに遅れを取るとは藤谷家の恥さらしめ
安心しろ貴様の愚行は無かったことにしといたからな」
「無かったことにした!?
やっぱりあんたが絡んでやがったか!!」
「まぁな、それと先に言うのを忘れていたよ馬鹿息子」
「古鷹とか言う艦娘を犯罪者にし処刑させろ
そうすれば貴様の不祥事は綺麗さっぱり無くなる」
次回
親子
古鷹を犯罪者にしたてたのは藤谷の父親であった
藤谷は何とかして古鷹を助けようと試みる