艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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壊された心 二

「お!!やっと話してくれる気になったか!

いやー、苦労した甲斐があったなぁ!!

ねぇ!先輩!」

 

 

「……あぁ」

 

 

尋問官が嬉しそうに私の嘘の告白を聞いていると色々と尋問を開始する

 

 

「じゃあどうやって彼女達深海棲艦と連絡を取ったの?」

 

 

「……出撃の時全員撤退した時に接触しました

それで…」

 

 

「ほうほう?それでも深海棲艦と共謀したんだね?」

 

 

「……はい」

 

 

今までめんどくさそうにしていた彼等が必死にパソコンや筆記をしながら私の供述を書いていく

全く見に覚えの無いことも言わされそれを記入していくと満足したのか満面の笑みを浮かべている

 

 

「はいはい!ありがとうね!

さぁてと君の処遇だけどやっぱり死刑又は解体は免れないだろうね!

何か要望はあるかい?」

 

 

「…………何も」

 

 

「そうか!じゃあ今日はもう少しだけ俺と話そうか?

先輩すいませんが良いですか?」

 

 

「………わかった」

 

 

そう言うと初老の尋問官は静かに部屋を出ていくと若い尋問官が私に話し掛けてくる

 

 

「さてと話そうか?君がやったことは大罪だ

絶対に許されない事だ

海軍を敵に回し国家を陥れようとした君にも唯一許されていることがある

それは『自ら死ぬことだ』」

 

 

「………自沈?」

 

 

「そうそう君はまだ希望が無いわけではない

そう君が死ねば皆喜ぶ

君の仲間や提督や海軍の人達が喜ぶのさ

素晴らしい事じゃないか?」

 

 

私はこの時この人の言葉に最後の希望だと思い込んでしまったそれが最後の罠だと気付かずに

皆が喜ぶ、私を見捨てた提督も衣笠も加古も木曾さんも日向さんも喜ぶと聞いて私は嬉しくなってしまった

 

 

「死ねば……皆喜ぶ…」

 

 

「そうだとも!君が死ねば皆喜ぶ!

だから君は必ず死ななくてはならない!

どんな手を使っても必ず死になさい?」

 

 

「……皆…提督も喜びますか?」

 

 

「あぁ!喜ぶともむしろ死んでくれたら君を一生忘れないさ!

何せ自分の為に死んでくれるなんてこんなに喜ばしい事はないんだからね!!」

 

 

提督がまた振り向いてくれる

私を忘れないで居てくれる

その言葉が私の壊された心の最後の支えになってしまった

 

 

「いつ死ねば良いですか?」

 

 

「いつでもさ!死にたいと思ったら死になさい!

誰も止めないし皆が喜ぶんだ!

さぁ、今日の話は終わりだ

自分の独房にお帰り?」

 

 

私はそれだけを言われると自らの足で独房に戻っていくとその後ろで若い尋問官が笑っていた

 

 

「いやー!希望を失った奴を自殺に追い込むなんて我ながら酷いよなぁ!!」

 

 

「……楽しそうだな?」

 

 

「えぇ!これで俺達の仕事は終わりですからね!

さぁてと上に連絡してこよっと!」

 

 

そう言うと若い尋問官と初老の尋問官は部屋を後にすると大本営に居る藤谷元帥の元へと行く

 

 

私は一人で独房に帰ってくるとベッドに倒れると辺りを見渡しながら自殺出来そうな物が無いか探すが何もない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…私が死ねば喜ぶんだ……

皆が……だから…死なないと…皆の為に」

 

 

私は頬を吊り上げながら笑う

瞳を濁らせながら

 

 

 

 





次回 

救われない艦娘(古鷹)

裏切られ捨てられ何もかもが失くなってしまった彼女は死にすがるものを
救われないとも知らずに


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