艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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二度目の選択 ー選べ歩む道をー

「……夢?」

 

 

大井は起き上がると、部屋を見渡すとそこは提督室でもなく、佐世保の自分の部屋でない

誰か女性の部屋である

結構広く、恐らく畳8畳分はある

二段ベッドの下に寝かされており、ベッドから出て部屋を見渡すと机にカーペットがあり、大井は脚をかける

 

 

「起きた?大井さん」

 

 

不意に、二段ベッドの上から声がする為ベッドから出るとそこには叢雲が座っており、大井を見下ろしていた

 

 

「随分とうなされてたわね?それともあいつに泣かされた?大丈夫?」

 

 

叢雲は飛び降りると大井を心配するように覗き込む

だが大井はいつも通りに猫かぶりを使い、叢雲に心配をかけないようにする

 

 

「いえ!大丈夫ですよ、ありがとうございます!」

 

 

「ふーん……」

 

 

大井は作り笑いをしていると叢雲は大井の顔をじっと見つめ言い放つ

 

 

「その言葉は、嘘ね間違いないわ」

 

 

「…え?」

 

 

叢雲は、大井の脚を払うと大井は倒れそうになるが叢雲がそれを掴みそのままベッドに座らせ、ブランケットをソファーから取り大井に渡す

 

 

「貴女、嘘が下手ね?

しかもかなり」

 

 

「え?え?」

 

 

不意を付かれた、大井は困惑しながらも叢雲の持ってきたブランケットを羽織る

 

 

「んで、いーつまで猫被ってるの?」

 

 

 

「!?ど、どうして……」

 

 

驚きの連続で大井は、先程より混乱しっぱなしだ

叢雲は微笑むと、ソファーに座りゆっくりとする

 

 

「だって、分かりやすいんだもん貴女

あ、これから私も大井って呼ぶからそっちも叢雲って呼んでね?

私、敬語とか苦手なのよ」

 

 

叢雲は、そう言うと資料を手に取りゴロンとしながら、ソファーに寝転ぶ

大井は、ブランケットを顔に当てながらそんなに分かりやすいかな?と思いながら顔を伏せる

 

 

「にしても、貴女凄いのね

ここまでやるなんて中々よ?」

 

 

「……え?」

 

 

 

転がりながら資料を見ている叢雲は、微笑みながら大井に向き直る

叢雲が見ている資料と言うのは、大井が起こした事件の全容だ

 

 

「み、見ないで!!」

 

 

大井は直ぐ様それを叢雲から奪うと、叢雲は面白いのに……と言いながら再び転がる

 

 

 

「私がどれだけの事をしたか

何をしてきたかを知ったんですね」

 

 

「えぇ」

 

 

「……どう思いますか?こんな兵器」

 

 

大井は感想を恐る恐る聞くが、叢雲は顎に手を当て考え込む

そして、暇そうに転がりながら答える

 

 

「良いんじゃない?」

 

 

「……え?」

 

 

叢雲から返ってくる予想外の発言に、大井は拍子抜けをくらう

そして、大井を見つめながら叢雲は大井に続ける

 

 

「別に?間違ってないと思うわよ?

友人が襲われていて、それを助けた

それの何が悪いの?

私だって古鷹が襲われていたら同じことをしていたわ」

 

 

叢雲の堂々とした発言に大井は唖然とする

自分がしたことを間違ってないと言う人は初めてだった

友人を助けるとは言えど、海軍の上層部と提督に暴力を振るう

これがどれ程のことか

 

 

叢雲は不意に立ち上がり、座っている大井を軽く抱き締める

 

 

「ここでは大丈夫よ

もう、何があっても私達が貴女を守るわ

任せなさい」

 

 

その言葉と行動に、一瞬佐渡を思い出す

今まで見てきた人間達や艦娘達とは大違いすぎて、大井の思考は追い付かない

少し、何か裏があるんじゃないかとも思う

でも、何故かその叢雲の包容に安心感がある

 

 

大井は再び涙ぐむと部屋の扉が開き大声でもう一人の艦娘の声が聞こえる

 

 

 

「あ、大井さん!起きても大丈夫ですか?

うなされていましたが?どこか悪いところがありますか?」

 

 

 


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