艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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協力者 二

軽い自己紹介を済ませた両方はとりあえずは古鷹の状態を話し合いたく向き合うように椅子へ座る

 

 

「それで彼女の容態は?」

 

 

「かなり酷いですね……両手足の骨折全身の火傷に喉をバーナー等で焼き切られ両目の欠損

ここまでやるかってほどに容赦なくやられてますね……

流石に完全に治るか……と言うほどですね……」

 

 

「そう……ですか…」

 

 

二人はポッドの中に入っている古鷹を見ると心配そうにしていると叢雲もずっと古鷹を心配している

 

 

「と言うより何故彼女はあんな目に?

処刑にしてもやりすぎではないのですか?」

 

 

「それは……」

 

 

明石は叢雲をチラッと見ると佐渡もその合図に気付く

 

 

「叢雲、すまないが席を外してくれないか?」

 

 

「……分かったわ」

 

 

佐渡の意図を理解した叢雲は静かに部屋を後にするとそれを追うように夕張も出ていくと明石が本題を話し始める

 

 

「…彼女は処刑される寸前まで拷問を受け続け心身とも壊されているんです」

 

 

「……今時拷問なんてやってるんですかこの海軍は」

 

 

「はい……しかも艦娘相手ですからその耐久性の高さと高速修復材を多量に使いかなり……酷く…」

 

 

その話を聞き古鷹が置かれている現状を理解する

そして明石からとんでもないことを言われる

 

 

「それとこれは貴方だけに話します

貴方は古鷹さんを処刑から救いだし自らの物にすると言いましたね?

普通、そんなことは許されません

ですが彼女は既に殺される前提の艦娘

なので、貴方が『引き取った』と言う形で処理されるでしょう

元々所属していた鎮守府からは転属と言う形で貴方の鎮守府への異動になります

 

そして、ここからが本題です

彼女を解体しませんか?」

 

 

「……なぜそんなことを?」

 

 

佐渡が疑問に思い明石に返すと明石は真面目な面持ちでありながら少し溜め息混じりに話す

 

 

「彼女がここまで痛め付けられてる時点で恐らく心も精神も殺られている可能性がかなり高いです

特に海軍の拷問や尋問は心を壊すのを目的にもしています

例え貴方が引き取ったとしても彼女は戦力としては使い物にならないでしょう

幸い私なら叢雲さんにバレないように直ぐ解体と建造を済ませることが出来ます

いかがですか?貴方の誠意次第でいくらでもーーーー」

 

 

「断る」

 

 

明石が説明している間に佐渡は即答で返すのだが明石は真顔になると佐渡に詰め寄る

 

 

「……本気ですか?艦娘は所詮兵器

私も変わりません

彼女達の壊された心を治すのはかなりの時間と労力が必要になります

貴女達の足枷にしかなりませんよ彼女は」

 

 

「それでもです、俺達は彼女だからこそ助けたんです

解体何かしたら意味がない

それに解体されたら彼女は死んでしまう

名前は残る、でも彼女と言う存在は消えてしまう

俺達は古鷹一番艦古鷹を助けたいんじゃない

古鷹という女性を助けたいんです」

 

 

佐渡の表情は真剣な面持ちであり明石も彼女を生かしておく意味の無さを説明する

 

 

「大変ですよ

艦娘は身体こそ丈夫ですが心はそうはいきません

これを断ればもう私は貴方を助けられない」

 

 

「構いません、俺達が選んだんです

責任は持ちます」

 

 

「…心が壊れた艦娘はもう戦場に立てないかも知れないのに?」

 

 

「それでも共に生きていくことは出来ます

それだけで充分です」

 

 

「……貴方を信じてくれませんよ?」

 

 

「信じてもらうように努力します

なんだってやりますよ」

 

 

明石は深い溜め息を付くと最後の言葉を返す

 

 

「彼女を……本気で救うつもりですか?

その道は辛く険しくそして何よりも貴方達を苦しめますよ?」

 

 

「愚問ですな、あの時古鷹を処刑から救いだした時に既に覚悟は出来てます

どんなことでも乗り越えて見せます

俺は提督何だ、艦娘の全てを受け止めて見せます

それが俺達が彼女達に出来ることなんですから」

 

 

二人の間に沈黙が流れるがその沈黙を破ったのは明石の笑い声だった

 

 

「プ、アハハハハ!!

貴方は凄いですね!いくら新人だからってそこまで言う人は居ませんよ!!

アハハハハ!!」

 

 

「えぇ……これが普通なんじゃないですかねぇ……」

 

 

明石はは一通り笑うと涙を手で拭いながら佐渡に再び手を出す

 

 

「やっぱり貴方に協力して正解ですね

良いでしょう!これから私達は貴方達を全面的に協力します!

古鷹さんの事は任せておいてください!完璧に直して見せます!」

 

 

「ありがとうございます!

明石さん!」

 

 

二人は手を取り合うとお互いに笑いあい今後の事について話し始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良い提督ですね、あの人」

 

 

「えぇ、私が唯一認めた人間よ」

 

その話が夕張と叢雲に聞かれているとも知らずに

 

 

 

 




次回

協力者達

古鷹を助け、その誠意を明石に見せ付けた佐渡
彼女達の信頼を勝ち取ると同時に今回佐渡達を助けるように仕向けた艦娘が現れる



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