「……ふーんあんたがあの娘の『提督だった』人か」
二人は足を止め藤谷と対する様に立つが叢雲がため息をつく
「へぇ、古鷹さんの提督ね
もしかしてお見舞い?」
叢雲は警戒こそしているものの特に興味無さそうに話しておりため息もついている
「い、いやそうではなくてね……」
「古鷹に会わせてくれよ!!」
藤谷がその話をしている最中後ろの女性がそれを遮るように話し始めてしまう
「無理よ、彼女は今治療中だもの
意識すらないわ」
「な、ならせめて古鷹さんがどこにいるか位は!」
「それも無理よ、彼女は大本営から狙われている身
貴女達においそれと教えるわけにはいかないわ
と言うかあんたたち名前ぐらい名乗りなさいよ」
ため息混じりに話す叢雲は二人を睨み付けると自己紹介を始める
「……加古、古鷹二番艦の加古って言うんだ」
「衣笠よ、青葉型二番艦の衣笠」
「ふーん、まぁ良いわ
私は叢雲 吹雪型五番艦の叢雲よ
と言うかあんたたちまさかとは思うけど古鷹さんの知り合い?」
叢雲が話している中佐渡は黙ってその話を聞いており不思議にも思うが佐渡の代理として話を続ける
「そうよ!古鷹さんが所属してた佐世保鎮守府の仲間よ!」
「仲間……ねぇ?」
「そうだよ!古鷹と会わせてくれよ!!
私達だって心配でーーー」
「ねぇ、貴女達何でお礼の一つもないの?」
「「……え?」」
叢雲はうで組をしながら睨み付けると続けるがその声は怒りに満ちていた
「私達が助けた後、貴方達が現れてお礼の一つもない
それよりも古鷹さんに会わせろやら心配やら言ってるけど何なの?
そんな奴等に会わせるわけないでしょ?」
「なっ!あんたたちに頼んだ覚えは無いし!助けたのもだって戦力が欲しいからだろ!
古鷹は強いから!」
「そうよ!そんな人達に古鷹さんは任せられないわ!!
やっぱり奪い返してやるわ!!」
「あんたたち言わせておけば!!!」
「落ち着け叢雲」
怒る叢雲に手を出し後ろに下がらせると佐渡が前に出る
「叢雲の言う通りだ、何故今俺達に接触した?
お前達がもし彼女の事が大切だから鎮守府の仲間だからと言われても意味が分からない
説明してもらおうか藤谷さん」
「だから!古鷹は!!」
「黙れ艦娘、お前に聞いてない
俺はその提督に聞いてるんだ口出しするな」
佐渡は冷たく言い放つと加古は黙り込んでしまい藤谷が重い口を開き始める
「彼女が私達の鎮守府に所属していた仲間だと言う事は事実です
それで私達が貴方達に接触したのは……」
「古鷹ちゃんの返却ですか?」
「…その通りです
彼女は私達の鎮守府の仲間です
だから!」
「そうかそうだなぁ別に返しても良いとは思うんですけど……」
「本当か!やったな!衣笠!」
「うん!分かってくれる人で良かったね!」
三人が安堵の溜め息と喜んでいると叢雲が佐渡を睨み付けるがその顔の影に怒りが見えているのが叢雲には、分かってしまった
「ただし一つだけ質問に答えてください
それで決めさせてください」
「質問……?」
「えぇ、簡単な質問です
それに答えてくれれば構いませんよ」
佐渡は笑顔になりながらも藤谷に問いかける
「どうして古鷹ちゃんを助けずに処刑を傍観していたんだ?お前なら俺達よりも先に助け出せたよな?」
「それは………その……」
質問の意味を理解した藤谷は黙り込んでしまいそれに慌てて加古と衣笠がフォローを入れる
「し、仕方無いだろ!あんな状況じゃ助けるなんて無理だ!!」
「そうよ!あんな!長門さんが処刑担当してて他の提督やお偉いさんが見ている中助けるなんて無謀よ!」
衣笠も加古がそう言うと同時に藤谷もその返答に答えを言う
「……彼女を助ける事が出来なかった
俺は佐世保鎮守府の提督で他の艦娘の命を預かる身としてあの状況で彼女を助ければ佐世保鎮守府の仲間が危険に晒される!!
だから!助けられなかったんだ!本当は助けたかったよ!!だって彼女はーーー」
藤谷の話を聞いていた佐渡は目を細め冷たく言い放つ
「嘘を付いたな貴様、この話は無しだ」
「…………え?」
佐渡はそれだけを言うと藤谷に背を向け歩き始める
「ま、待ってくれ!俺は嘘なんて!!」
「他の鎮守府の仲間を助けるため?命を預かる身だから?
違うだろ、お前はお前の保身の為に彼女を捨てたんだろ?」
その言葉が藤谷の心に大きく突き刺さる
佐渡にはそんな話をしてないのにも関わらず
「そ!そんなこと!」
「何人もお前の様な奴を見てきた戦場でな
戦争だから、指揮官だから、リーダーだから
そうやって言い訳をするやつの特徴があるんだ
それは自らの守るものがあるから一人を捨てたって言う
悪いが貴様と俺は違う
お前が一を捨てて百を救うと言うのであれば
俺は一も助けて百も救う
お前はその立場だからと言う理由で古鷹ちゃんを捨てた
違うか?」
「そ……そんなこと……」
「無いと言いきれるのか?」
そして藤谷は黙ってしまう
その通りだったからだ
佐渡に言われて改めて理解させられる
古鷹を捨てたのは鎮守府の仲間を守るため
……自分の立場を守るため
だって彼女は
「それの……それの何が悪いんだよ!!
艦娘は兵器だろ!それなら!あの娘を解体して新しく作れば!!」
その瞬間叢雲が怒りの余り艤装を藤谷に向け放とうとするが佐渡がそれを辞めさせる
「……退いて司令官
こいつを殺すわ」
「辞めろ、分かるけど抑えろ
とりあえずこの話は終わりだ藤谷さん
古鷹ちゃんは渡さない」
佐渡は叢雲を宥めるとその背中を押しながら無理矢理場を離れようとすると藤谷が叫ぶ
「頼む!彼女を返してくれ!!」
その言葉に叢雲は更に怒りを増すが佐渡は冷たく言い放つ
「断る、彼女は私が貰っていく
あの娘は俺の物だ、誰にも渡さない」
藤谷はそれ以上こちらに言ってこなかったが叢雲がかなり機嫌を損ねていた
「アイツ、クズね
いつか殺してやる」
「辞めろ、殺すのは敵深海棲艦だけだ」
だが、佐渡も怒りを隠せずに廊下を歩き曲がり角を曲がると一人の少女が居た
「………ぁ」
「うん?あれ君はあの時の……」
「知り合い?司令官」
「ご、ごめんなさい!!」
ポニーテールの少女はそれだけを言うと佐渡達から駆け足で逃げていきポケットからハンカチを落とす
「あ、ちょっとお嬢さんハンカチ……」
佐渡が声をかけようとするが既にその姿が無く仕方無く諦める
「行っちゃったわね……」
「あの娘……誰なんだろうか?」
次回
出立そしてもう一人の協力者
藤谷との話が終わり時が流れ佐渡達は小笠原へ旅立とうとする
だがその後ろから一人の艦娘が現れる
長くなってしまいもうしわけありません……
やっと過去小笠原に向かい始めます
今とは比べ物にならないほどですけどね