艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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今回は少し長いです
ごめんなさい!!!





小笠原へ 三

「おいおい、マジかいな……」

 

 

佐渡は正面からこちらに来る深海棲艦に驚きを隠せずに居ると叢雲、大和が艤装を構える

 

 

「撤退は……出来なさそう?」

 

 

「はい……恐らくこのまま後ろに下がれば奴等は攻撃してこないでしょう

ですが、時間がよろしくありません

今日撤退を許せば貴方達を送り届ける事自体が出来ない可能性が高いです

この送り自体が大本営に逆らってる状態ですからね……」

 

 

「やるしかないんでしょ、結局」

 

 

叢雲が艤装を取り出し構えるとヲ級が艦載機を飛ばし先制でこちらの制空権を狙ってきており応戦しようとするが

 

 

「任せてください!

三式弾砲撃開始!!」

 

 

敵艦載機に向けて大和が三式弾を砲撃すると見事に直撃しほとんどの艦載機を撃墜するが何機かは残ってしまいこちらに向け突っ込んでくる

 

 

「叢雲!」

 

 

「分かってるわ!!」

 

 

突っ込んでくる艦載機に向けて叢雲は機銃を使い一つずつ撃墜するがやはり全ては破壊出来ずに何機からか爆撃を受けてしまい辺りに水柱が上がる

 

 

「佐渡提督!」

 

 

「大丈夫だ!どうやら外したらしい!」

 

 

だが次の瞬間ル級が佐渡に対し砲撃を行いすぐそばの海面に着弾させ更に大きな水柱を起こす

 

 

「……外した?わざとか?」

 

 

「はい!恐らく警告と言う意味でしょうか……

ですがこちらも下がれません!皆さん!行きましょう!!」

 

 

「分かったわ!」

 

 

「了解です!!」

 

 

「待ってくれ!!」

 

 

大淀が二人を連れて走り出そうとすると佐渡がそれを止める

 

 

「佐渡提督!どうしてーー」

 

 

「ここで無闇に奴等を撃沈したところでそのあとに周りの艦隊に袋叩きされるだけだ!」

 

 

「で、でもどうするんですか!?この戦わずしてこの状況を……」

 

 

「任せておけ、こっちも武器はたんまり持ってきてるんだ何とかしてやるさ!」

 

 

佐渡は腰に付けたいくつかの武器を取り出すと微笑みながら深海棲艦と対峙する

大淀を筆頭に叢雲、大和が敵深海棲艦とぶつかり佐渡は奥で三人に指示を出しながら敵の動きを分析していた

 

 

「大淀さん!左の重巡リ級と雷巡チ級を!

大和さん!戦艦ル級と空母ヲ級を!

叢雲、真ん中の重巡リ級を頼む!」

 

 

「「「了解!」」」

 

 

佐渡の指示に三人が動き始めるとリーダー格らしい旗艦リ級は全員に指で合図を出すと全員が頷き動き始める

(やっぱりアイツか

指で合図、まさか馴れてるのか?)

 

 

旗艦リ級の合図にチ級が大和に雷撃を放ちそれと同時にリ級が突っ込んでいく

 

 

「大淀さん!魚雷四発!右側に少し避けて主砲左側に!!」

 

 

「了解!」

 

 

大淀が避けると魚雷が大淀の側を掠り主砲を向けると丁度リ級の頭部を捉える

 

 

「!!」

 

 

「貰った!!」

 

 

大淀が主砲を撃とうとした瞬間旗艦リ級が大淀の足下を撃ち抜き体制を崩した大淀の主砲は空を切り外してしまう

 

 

「なっ!」

 

 

すると旗艦リ級はまた指で指示を出すとリ級とチ級は頷き後ろにバックステップを取りながら後退していく

 

 

「大和さん!ヲ級の飛行甲板を撃ち抜ける!?」

 

 

「やって見せます!

撃てぇ!!」

 

 

大和が主砲を放つと真っ直ぐヲ級を捉えるがその間にル級が立ち塞がり艤装を使い大和の主砲を流すように受けながす

 

 

「嘘!?」

 

 

その瞬間ル級が大和に突っ込んできており慌てて対処しようとする

 

 

「大和さん!落ち着いて!

奴の足下を撃ち抜きそのまま前進!近距離で撃ち抜いてやれ!!」

 

 

「りょ、了解!」

 

 

大和は深く息を吐くと主砲をル級の足下に放ち水柱を上げさせる

ル級は自らの顔を押さえながら海水を取ると大和が近距離に迫り主砲を向ける

 

 

「今!吹き飛べぇ!!!」

 

 

大和が主砲を放つとル級は慌てて避けようとするが旗艦リ級がル級の足下を撃ち抜き体制を崩させると大和の主砲がル級の頭部を掠り髪だけを撃ち抜かせる

(アイツ……やはり戦い馴れてやがる!!)

 

 

疑惑から確信に変わった佐渡は自らの所持してる火薬武器を見ると突破口を見付ける

 

 

「叢雲!気を付けろソイツ戦い馴れてるぞ!!」

 

 

「分かったわ!!」

 

 

叢雲は旗艦リ級に近寄り近接戦闘を仕掛けようとすると旗艦リ級も叢雲に近付き右手の主砲で叢雲を殴りかかってくる

 

 

「私に近接戦を仕掛けるつもり!?

悪くないわね!!」

 

 

旗艦リ級の攻撃を交わし叢雲は腰の主砲を当てようとするが旗艦リ級は直後に跳躍し足に付いた魚雷を叢雲に放つ

 

 

「近距離で撃ってくるわね!!」

 

 

旗艦リ級の魚雷を避けると取り出した艤装で思い切り腹を貫こうとすると旗艦リ級はその艤装を主砲で叩き落とすと同時に叢雲にかかと落としをしてくる

 

 

「こんのぉ!」

 

叢雲は何とか片手で防ぐがその次に主砲を叢雲に突き付け砲撃を放つと叢雲が意図も簡単に吹き飛ばされる

 

 

「ガハッ……やるじゃないの!!」

 

 

少しお互いに距離を取ると旗艦リ級の強さを佐渡は改めて実感する

自分以外の四人カバーしながら自らの戦闘能力も高い彼女に叢雲達は苦戦を強いられる

 

 

「叢雲!大和さん!大淀さん!

ちょっと来てくれ!この艦隊を突破する!!」

 

 

佐渡の声に反応した三人は戦闘を中断し少し下がるのだが向こうがそれを許してくれるわけがなく叢雲と大和だけは戦闘を続けて大淀だけが佐渡へ向かう

 

 

「私が聞きます!教えてください佐渡提督!」

 

 

「オッケー!少し耳を貸して!」

 

 

佐渡はこれから起こす作戦内容を耳打ちすると大淀は目を丸くしながらそれを聞く

 

 

「正気ですか!?

危険すぎます!」

 

 

「それでもやるしかない!一度限りだが間違いなく突破出来る!!」

(それに確認もしたいしな)

 

 

大淀は躊躇っていたが仕方ないと思いながら作戦を大和と叢雲に伝えると大和も驚くが叢雲はニヤリと笑う

 

 

「ほ、本気ですか!?」

 

 

「アイツらしいわ、やるしかないわね!!」

 

 

作戦を聞いた叢雲は直ぐ様その立ち位置に移動すると大和も渋々移動し大淀も構える

 

叢雲を前方に大淀、大和がその後ろに構えるその後ろから佐渡がボートで突っ込みボート操縦しながら片手で武器を構える

 

 

「全員!やるぞ!!」

 

 

「「「了解!」」」

 

 

「食らいな!!」

 

 

ボートを操作しオートモードにすると腰に付けたベルトから手榴弾を取り出し何個か前方のリ級達に投げ付けると目の前で爆発を起こし爆煙に包まれ一瞬見えなくなるがヲ級の艦載機がその爆煙を消し去ると佐渡達の陣形が変わっていることに気付く

 

 

「強硬突破!行くぞ!!

ほらよ!お次を食らいな!!」

 

 

佐渡のボートを真ん中に後ろに大和

前に大淀、叢雲と言った変な陣形ではあるが佐渡は続けて別の手榴弾を投げ付けると、どんどんリ級達に突っ込んでいく

その姿に呆れた旗艦リ級はル級に指示を出すとル級は正確に投げられた手榴弾を狙い撃ち破壊するとその手榴弾は爆発を起こすのだがお次は真っ白な爆煙だけになり佐渡達の姿を隠す

 

 

「!!」

 

 

その手榴弾に驚いた旗艦リ級は直ぐ様ヲ級に指示を出し艦載機達を飛ばさると爆煙を晴らすように指示を出す

ヲ級の艦載機で白煙を消そうとするとその中から全速力で叢雲と大淀が突っ走って来ており旗艦リ級は驚きながらも応戦しようとする

 

 

「叢雲!大淀さん!頼むぞ!!」

 

 

「「了解!」」

 

 

叢雲は魚雷を放ち大淀は旗艦リ級達の足下を狙い砲撃すると旗艦リ級達はその衝撃に体制を崩し更に叢雲の雷撃が直撃し旗リ級達はその場に座り込んでしまう

 

 

「いっくぜぇ!大和さん!!」

 

 

「はい!!!」

 

 

白煙の中から佐渡と大和さんが走り抜けてくると佐渡は再び別の手榴弾を取り出すと全速力で旗艦リ級達に突っ込んでいく

それに苛ついた旗艦リ級達は佐渡達に砲撃をするが叢雲が弾いたり大淀が庇ったり等して何とか耐える

(もう少し!もう少しだ!!)

 

 

佐渡のボートがある程度まで旗艦リ級達に近付くと最後の手榴弾のピンを抜き思い切り投げ付ける

 

 

「全員!!耳と眼を塞げ!!

大和さん!全速力で頼むぞ!!」

 

 

「は、はい!!」

 

 

大和は艤装の主砲をボートに押し付けると固定させ両耳を塞ぎ全速力でボートを押しながら航行する

それと同時に佐渡は体制を崩しかけるが何とか立て直しサングラスと耳栓をする

叢雲と大淀も耳と眼を閉じると全速力で走り出しその光景を見たル級達は呆れながら主砲を叢雲達に向け放とうとするのだが

 

 

「やっぱり、お前達は人間の武器を知らないみたいだな?」

 

 

佐渡が笑うと同時に手榴弾が爆発を起こし甲高い金属音と閃光が辺りを包みル級達もその光と音にやられ耳と眼を押さえながら苦しみだす

 

 

「ーーー!!!ー!!」

 

 

 

「今だ!!!全速力で駆け抜けろ!!!」

 

 

叢雲と大淀は目を瞑りながら苦しんでいるル級達の側を駆け抜け佐渡のボートも旗艦リ級の側を通り抜けるが瞬間佐渡の背筋が凍り付く

(コイツ!!マジかよ!!)

他の深海棲艦が混乱してる中旗艦リ級だけは艤装で光を防ぎ耳を塞いでおり通り過ぎる佐渡を睨んでいた

(不味い!この状況だとやられる!!)

大和も叢雲も大淀も閃光でやられてる中佐渡は一人旗艦リ級と対峙しようとするが

(………え?)

 

佐渡が動こうとした瞬間旗艦リ級は眼を瞑り佐渡を見逃す

 

その行動が一瞬だったが佐渡は確信を得ていた

(……見逃された?何でだ?)

旗艦リ級に見逃された佐渡達は全速力でその海域を後にし何とか突破していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウゥ……何ダ今ノハ……」

 

 

佐渡達が駆け抜けた後しばらくするとル級が眼を擦りながら周りを見始めると視力が戻ってきており状況を把握する

 

 

「居ナイ!奴等ハ!?」

 

 

辺りを見ると先程まで戦っていた艦娘と男が消えており焦っていると艦載機を飛ばしていたヲ級が呟く

 

 

「逃ゲラレタ、小笠原ニ向カッテル」

 

 

「ナッ!ナラスグニ追ワナイト!!」

 

 

ル級に続きリ級、チ級も追撃しようとするが

 

 

「待ちなさい、α、β、γ、Σ

これ以上の追撃は無しです」

 

 

突然旗艦リ級がそれを止めるとαと呼ばれたル級が意を唱える

 

 

「何故止メル!ソラ!!

奴等ハ姫様ノ島ヘノ侵入者ダゾ!?」

 

 

「ソウダ、ソラ止メナイト姫様ニ怒ラレル」

 

 

「これ以上あの艦隊と戦えば我々の方が被害を被ります

それに奴等は我々を殺す気配は無かったですからね

恐らく小笠原鎮守府への着任予定がある提督なのでしょう」

 

 

「ナラ尚更!!」

 

 

「向こうには戦艦大和が居ましたその気になれば我々何て簡単に倒せたでしょう

だが、それをしなかった

我々も無益な戦いはしません

今まで来ていた提督とは違うのでしょう

何かあれば私が直接手を下します

安心しなさい、貴女達は悪くない私が独断で決めたことです

何かありますか?」

 

 

「……ソラガ言ウナラ…」

 

 

「チッ分カッタワヨ!デモ私達モオ仕置キハ受ケテアゲル!!」

 

 

「意義無シ…デス!」

 

 

「ソラハイツモ正シイ、信ジヨウ」

 

 

「ありがとう皆

では哨戒を続けます

他の艦娘、艦隊が来た場合は殲滅するように

私は姫様に連絡を入れます」

 

 

「「「「了解」」」」

 

 

旗艦リ級改めソラは携帯を取り出すとある人へ電話をかける

(あの男……かなりのやり手だった

下手に戦えばこちらの損害が大きいからと判断したが、よかったのだろうか)

何回かコール音の後に相手が出る

 

 

『はあぃ何か用かしら?ソラ』

 

 

「姫様、誠に申し訳ありません

貴女様の島へ侵入者を許しました」

 

 

『………へぇ?貴女が?詳しく聞かせなさい?』

 

 

 

 

 

 

 

 





次回

ようこそ死の島へ

小笠原を防衛していた艦隊を振り切り佐渡達はようやく小笠原に到着した
だが島の状況は思ってたよりは酷かった


今回出てきたのは佐渡達と会う前のエアが仕切る艦隊の一つソラ艦隊の五人でした!



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