艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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小笠原鎮守府

佐渡はボートを再び防波堤に付けると小笠原鎮守府へと戻っていくのだが小笠原鎮守府の前に叢雲が体育座りをしながらこじんまりとしていた

 

 

「どうした、叢雲」

 

 

「………何でも…ないわよ…」

 

 

叢雲を良く見ると肩を小刻みに震わせており佐渡は頭を撫でながら励ます

 

 

「安心しろ、お前には俺がいる

絶対に沈ませないし死なせやしない

信じろ」

 

 

「……えぇ、信じてるわよ

あんただけを

でもごめん、やっぱり少し怖いわ」

 

 

叢雲はそう言うと佐渡に抱き付くと佐渡は頭を撫でながら落ち着かせる

 

 

「あの時見たいな化け物は居ない

ここには俺達だけだ

二度とあんなことは起こさせないからな」

 

 

「うん……うん…

ごめん佐渡…」

 

 

叢雲はあるトラウマを思い出しながら佐渡に抱き付いていると水平線から太陽が登りだす

 

 

「……朝だな」

 

 

「……そうね綺麗だわ」

 

 

朝日を二人で見ていると佐渡は叢雲の頭をぐしゃぐしゃにすると鎮守府へ向けて歩き始める

 

 

「よし!叢雲やんぞ!

まずは鎮守府の状態確認と泊まれる部屋の確認!

俺は二階三階を見る!一階は任せた!!」

 

 

「…分かったわ、電話は私の電探にかけてね?

古鷹さんは取り敢えず別の綺麗そうな部屋に寝かせておくわ」

 

 

佐渡と叢雲はお互い別れながら鎮守府内を探索する

誰も住んでおらず二年と言う月日放置されていたこの鎮守府には問題ばかりがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二階に着いたが酷いな、かなり酷い臭いだし階段はボロボロ床には穴だらけか

やっぱり叢雲に来させなくて正解だったな」

 

 

武器を構えながら佐渡は二階に上がり叢雲と別れて捜索するその光景には見覚えがあった

 

 

「……確か、インドネシアだっけか?

いきなり始まった戦争に逃げ遅れた奴等のアパートみたいだな」

 

 

その廊下には血がベットリと染み付いた壁に穴だらけの部屋

そして湿気か雨で軋む廊下

しかも廊下の端には幾つかの白骨

既に肉は無く骨だけになっているがそれが人骨であることは明白だった

 

 

「想像より酷いな……

壁には血の後、廊下は軋んでるし、白骨まである

本当にここへ辿り着いた奴が居るのか?」

 

 

佐渡は幾つかの部屋を見るが悲惨そのものだった

ある部屋は大穴が空いており四つの白骨遺体

ある部屋は全焼しており二つの白骨遺体

ある部屋はベッドに寝たままの白骨遺体

ある部屋は扉によりかかるように死んでいる白骨遺体

どれもどこかの部位が欠けており当時の状況を物語っている

 

 

「……どうやらかなりの人数がここには居たみたいだな

それに誰も逃げられてないところを見ると奇襲か

しかも鎮守府の構造を理解し狙って撃ってきたのか

…やり手だな南方棲戦姫め」

 

 

佐渡が敵を褒めながら部屋を探索しているとある部屋に辿り着く

 

 

「……ん?開かないな?

仕方ない、蹴り破るか」

 

 

佐渡は武器をしまうと思い切りドアを蹴り破ろうとするがかなり硬く全くびくともしない

 

 

「あぁ?……あぁこれ引くのか

んん?びくともしないな

仕方ない撃つか」

 

 

めんどくさくなりながらも銃を取り出し何発か鍵穴に撃ち込むと鍵穴が破壊され部屋が開く

 

 

「……うん?やけに綺麗だし何もないな?」

 

 

その部屋は閉ざされていたためかかなり小綺麗だった

白骨遺体もなく部屋も臭くは無くソファーとベッドがあるだけだった

 

 

「ここだけ砲撃されなかった?

だがどこかで逃げたはず………うん?何かあるな」

 

 

佐渡は部屋を探索しているとベッドの側に違和感を感じ調べて行くと全く床と同じ色でほとんど見分けが付かない引き戸を見付ける

 

 

「……隠し扉?何でこんなところに?」

 

 

その引き戸を持ち上げると真っ暗だが部屋がある

しかもそこからも何の匂いもせずこの部屋に設置された抜け穴だと分かる

 

 

「万が一の為の奴か、どうやら役にはたったらしいな」

 

 

それだけを確認すると佐渡はその隠し部屋の探索はせずに廊下に出ると三階へと向かう

相変わらず階段はボロボロだが何とか辿り着くのだが部屋がかなり少ない

 

 

「確か、構造的にはここらへんに……あった

提督室」

 

 

少し廊下を歩いていると佐渡は執務室兼提督室と書かれた部屋にたどり着きゆっくりと扉を開ける

 

 

「……骨は無いな

恐らく逃げたんだろ

意外と小綺麗だな」

 

 

部屋にはソファーと本棚があるが窓があったであろう壁には大穴が空いておりそこから海が見える

 

 

「……綺麗だが壁に大穴はヤバいな

書類とかはほとんどないな

風で飛ばされたとかか?」

 

 

部屋を探索すると机と椅子があり触ると苔が生えており座れる状態ではなかった

 

 

「丸々二年放置されてるな

部屋から雨も入ったんだろう

機材もほとんどやられてるな」

 

 

部屋にある機材はほとんど使えないほどに痛んでおり何か書類を探すべく本棚を見ていると気になる本が一冊あった

 

 

「ん…?何でこいつだけ痛んでないんだ?」

 

 

本棚の一つだけ傷んでいない本があり取り出すとその意味を理解する

 

 

「こいつ……ダミーか?

だが何で…」

 

 

佐渡はその本を取り出し開くと中には紙がなく空洞になっており一枚の手紙が入っていた

 

 

「えっと何々?

『ここの後任者にこれを託す

君の好きにするがいい

殺すも生かすも君が選べ』

何だこれ?」

 

 

佐渡がその手紙を読むと中に一つの錆び付いた鍵があり不思議に思う

 

 

「鍵か……?どこのだよ…

まぁ良いか

安全は確認できた、叢雲を迎えにいくか」

 

 

そう言うと錆び付いた鍵をしまうと提督室を後にしのんびりと探索をしているはずの叢雲を迎えにいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回

爪痕

二年の歳月と当時の状態をそのまま残した小笠原鎮守府
壊滅したその鎮守府は酷い有り様だった


大発を確保しようと阿武隈や他の艦娘を育成してますが中々に……
夏イベまでに間に合うかな…



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