艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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小笠原鎮守府 二

「…ん、この部屋なら大丈夫そうね」

 

 

叢雲は鎮守府内に入るとある部屋にたどり着きそこに古鷹の医療ポッドを置くと周りを警戒する

 

 

「この部屋……なにかしら?

別に艦娘の部屋って訳じゃないわよね?」

 

 

部屋は何一つとして物が無く家具すら置かれていない

だが、床には物が置いてあったかのような後がありもしかしたら倉庫や武器庫だったのかもしれない

 

 

「…佐渡がいつも言ってる通りなら何かの資材庫かしら?

まぁ良いわ医療ポッドは……安全に起動してる

探索しようかしらね」

 

 

医療ポッドの中にいる古鷹の安全を確認すると叢雲は外に出ていき一階の探索を始める

佐渡から渡された地図によると一階には

 

入渠施設

大浴場

食堂

トイレ

 

があるらしく取り敢えず近い食堂から叢雲は探索を始める

 

 

「……にしても酷い状態ね…」

 

 

廊下を歩いているがやはりここも酷い状態だった

二階程に白骨遺体とかは無いもの二年も放置されてきた鎮守府

苔や草が生えており動物の足跡すらある

 

 

「ここが、食堂かしら?」

 

 

叢雲はネームプレートに食堂と書かれた場所を見付け中に入ると意外と小綺麗だった

 

 

「…意外と綺麗ね?

でも掃除とかはされてないわね」

 

 

砲撃による大穴や破壊された後は無いが全ての家具に埃が被っており叢雲は厨房へと向かう

 

 

「……使われた形跡はない…か

でも使えそうね、問題はガスが通ってるかだけど

確かガス缶はあったから問題なさそうね

目ぼしい物も無い…か」

 

 

食堂の安全を確認した叢雲は扉を締め食堂を後にすると次にお風呂へと向かうのだがここで一つ異変に気付く

 

 

「…………妙ね、ここから綺麗にされてる」

 

 

叢雲が廊下を歩いていると大浴場へ行く廊下が綺麗に清掃されていた

それこそ大浴場へ行く廊下だけが清掃されておりそこから先は何も手をつけられていない

 

 

「誰かが掃除した?まさか……

でも警戒はしておこうかしら」

 

 

叢雲が大浴場に入ると更に警戒する

その光景に驚きと恐怖を覚えたからである

 

 

「……………何で、ここだけやけに綺麗なのかしら?」

 

 

大浴場は綺麗に掃除してあったのだ

床は汚れておらず服を入れる籠も全て綺麗であっま

だがここに来るまで誰かとすれ違っても居ないし気配も全くない

むしろこの鎮守府に来てお風呂に入る余裕があるほどの『何か』がここにいると言う事

 

 

「………誰か居るの!?居るなら返事しなさい!!」

 

 

叢雲は叫びながら戸棚を背にしながら大浴場の扉に歩いていくと艤装でゆっくりと大浴場を開けると艤装を大浴場に突き付けるが

 

 

「………誰も居ないわね

でも、使用された形跡は残ってる…」

 

 

案の定大浴場は綺麗に掃除してあった

つい最近まで使われてた形跡も残っている

 

 

「……まぁ、今は居ないから良いかしら…?」

 

 

下手に探索をすると不味いと感じた叢雲はすぐに大浴場を去っていくと次に最後となる入渠施設に向かう

 

 

「…こっちには来てないみたいね…」

 

 

入渠施設へと向かっていく廊下は綺麗にされておらず泥やゴミが溜まっており二年も放置されてきた鎮守府と言う面影を残していた

 

 

そして入渠施設を見て叢雲は絶句する

 

 

「…何よ……これ!?」

 

 

それは酷い有り様だった

個室の湯船は破壊され天井も穴が空いておりバケツがぶら下がり

至るところに白骨化した艦娘の死体

壁も穴が空いており服置き場にはまだ服が残っている

しかも皆全て動けなかったか逃げられなかったのか骨が至るところに有り叢雲はあわてふためく

 

 

「何よ……この骨の数……何で…嘘……」

 

 

叢雲は次第に息苦しくなりその場に倒れそうになるが何とか立ち直り目を伏せながら自分にいい聞かせる

(違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!

あの時とは違う!私には私には!!)

 

 

トラウマ

そう彼女にもトラウマがありそれをまだ克復は出来ていなかった

乗り越えては居るもののまだそれは彼女に付きまといながら心の奥底で彼女を縛り付ける

 

 

「…大丈夫よ……もう負けない…誰も…失わない…!!」

 

 

叢雲は胸を叩くと深呼吸をしその場を去ろうとすると

 

 

「お、叢雲ここに居たのか?」

 

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「ワッショイィィィィィ!?!?」

 

 

叢雲の後ろに立っていた佐渡を反射的に殴ってしまい佐渡は後ろの壁に激突しながらその場に倒れる

 

 

「あ………ご、ごめん!司令官!

大丈夫かしら!?」

 

 

「う……ワザまえ………でござ……る…グフ」

 

 

「ちょ!司令官しっかりしなさいよ!?」

 

 

流石に駆逐艦と言えど艤装を付けた叢雲に殴られたのだから無事ではおらず佐渡はそのまま倒れると気を失ってしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、それと同じくしてある部屋にあった医療ポッドが解除モードに移行しゆっくりとその蓋が開く

 

 

「ん……ここ…は?」

 

 

 

 





次回

目覚め

佐渡と叢雲がある程度の探索を終えたあと静かに古鷹が目を覚ます
その目覚めは絶望からの目覚めか
あるいは希望への目覚めか

やっと浜風を乙改に出来ました……
彼女のお陰で駆逐対空カットインは大丈夫ですかね!(慢心)



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