艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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古鷹 四

「よっこいしょっと!」

 

叢雲は鎮守府の外で薪を燃やしながら佐渡が持ってきたビニール袋を燃やしながら他のカビていた家具などを燃やしていた

 

 

「ふう……艤装を付けた状態なら意外と平気ね

ねぇ!古鷹さんも暖まる!?

そこ寒くないの!?」

 

 

「…………」

 

 

縁側に古鷹を連れ出し一緒に燃やしては居るのだが燃やしている叢雲を見てるだけで何もせずに居た

 

 

「…もう!そんな姿じゃ寒いだろうから…」

 

 

叢雲はふとバッグから毛布を取り出すと古鷹の隣に下ろし再びゴミを燃やそうとするのだが古鷹が動かない

 

 

「ほら、寒いでしょ?

冬なんだし少しは暖まって?風邪なんて引かれてもここでは治せないんだし……」

 

 

「…………」

 

 

古鷹は叢雲に毛布を掛けてもらうとその毛布にくるまりながら顔を伏せてしまう

溜め息を付きながら叢雲は再びゴミを燃やしていると佐渡の心配をする

 

 

「アイツ、大丈夫かしら…

工廠に行くとか行ってたけど鎮守府がこんな状態じゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと地図によるとここかな?」

 

 

一方佐渡はのんびりと廊下を歩きながら工廠へと向かっていた

工廠は鎮守府とは別に作られておりほぼ隔絶されていた

 

 

「…にしても外から見ても酷かったけど無事なのか工廠は」

 

 

しばらく歩くと外廊下に繋がりその先に扉が見える

 

 

「……あれか工廠」

 

 

工廠の扉横には【親方工廠】と書かれた看板が置いてあり佐渡は扉を開こうとするが

 

 

「…開かねぇな…引き戸っぽいが…ふん!!」

 

 

佐渡は思い切り扉を開くとギギギギギギと鈍い音がしながら開き中を覗く

 

 

「やっと開いた……うん?意外に綺麗だな?」

 

 

工廠の中に入ると屋根は破壊されている物のその下には物が無くそれ以外の機材は完璧に整備されている様に見える

 

 

「へぇ……驚いた、まだ妖精が居るってことかそれとも…ん?」

 

 

ピチャッ

工廠内に入ると足下に何かの水を踏んだことを確認すると佐渡は下を向くと驚愕する

 

 

「………………血?まて、何で工廠に血なんてーーー」

 

 

その瞬間佐渡の真横から巨大なハンマーが振り下ろされそれに一瞬早く気付いた佐渡は前に倒れこみ何とか避ける

 

 

「あっぶね!!何だいきなり!!」

 

 

だがそれだけで終わらずにハンマーが振り下ろされた後何かのスイッチが押され次に佐渡の頭から竹で作られた槍が落ちてくる

 

 

「わーお!こりゃまた!!」

 

 

佐渡は下手に動くと不味いと警戒し腰から二丁の銃を取り出すと落ちてくる槍を幾つか撃ち抜き自らの身を守る

 

 

「せーの!」

 

 

自らの守りきった佐渡に次は何かの声と共に今度は真横から何かが佐渡へ振り下ろされるが前に転がり何とか避ける

 

 

「一体何だよ!このトラップは!

俺を殺す気か!?」

 

 

「ほう?やるじゃねぇかお前」

 

 

その言葉が真後ろから聞こえ佐渡は急いで振り返り銃を構えるとその声の主は見当たらない

 

 

「どこだ!?姿を見せろ!!」

 

 

「見せてるよバーカ

目の前だ」

 

 

その声は下の方から聞こえ佐渡はゆっくりとそこを向くとそこには小さな小人、もとい妖精がうで組をしながら仁王立ちしていた

頭にはハッピをつけ加え煙草をしているその姿は人間そのものだった

 

 

「………妖精か?」

 

 

「ほう?俺のことが分かるって事はあんた海軍の人間だな?」

 

 

思わず佐渡はその妖精に向けて銃を構えるが妖精は全く気にも止めずに手を振り上げると工廠の至るところから艦娘の主砲が佐渡へ向けられる

 

 

「!!艦娘の生き残りが居るのか!?」

 

 

「動くな人間、ここは『俺の工廠』だ」

 

 

その言葉に佐渡はこの妖精の正体に気付き銃をしまう

 

 

「もしかして…貴方が親方さん?」

 

 

「あぁ、俺が親方妖精だ

この工廠全責任者にして管理人のな

んであんたは?」

 

 

「あ!申し遅れました私はーーー」

 

 

「親方ー」

 

 

「提督が鎮守府に来てるよー!」

 

 

「あぁ、来てるよコイツだろ?

さてとそんじゃあんたの事を聞かせてもらおうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成る程、と言うとあんたはここに来た新人なのか」

 

 

「は、はい!そうなります!」

 

 

親方に言われるまま佐渡は正座をしながら今の状況を説明したのだが親方は苦しそうな顔をしながら背を向ける

 

 

「……悪いが俺達は今お前達に協力は出来ない」

 

 

「な!何故ですか!?」

 

 

「……実はなここの機材はほとんど使い物にならないんだ

あの天井の大穴のせいで雨が入り込んで居てな

機材の中にある電線や他の端子がイカれててな

直しようが無いんだ」

 

 

「そんな……」

 

 

佐渡が落ち込んでいると親方はこちらを振り向くと可能性だけを話してくれる

 

 

「もし、お前があの大穴を塞ぐのを手伝い資材を提供してくれるなら使えるようになるかもしれないぞ」

 

 

「ほ、ほんとですか!?」

 

 

「かもしれないだ、覚えとけよ

いつになっても良い

もし、ここを使いたいならそれぐらいはやってみてくれ」

 

 

「分かりました!

今は少し難しいですが落ち着いてきたら必ずやります!」

 

 

佐渡はそれだけを言うと親方や妖精達に頭を下げると工廠を後にする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねー?親方ー?本当にここを再開するのー?」

 

 

「ふん、嘘に決まってるだろ?

資材と大穴程度じゃここは使い物にならん

機材も駄目になってるからなせめて内部の錆を落とすか新しいのじゃないと不可能だ

ま、奴へのただの課題として出してやっただけだ」

 

 

親方はそう言うと機材を殴り付け怒りを露にする

 

 

「……どうせやらないさ

提督なんてそんなもんだ

俺達を酷使するだけのクズだ」

 

 

 

 

 




次回

心閉ざす艦娘(古鷹)

ひとまず工廠の確認を済ませた佐渡は再び叢雲達の所に戻り食事を取ろうとする
だが、そう簡単には古鷹は心を開いてくれない



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