「~♪」
佐渡はシチューを作り終え別の料理も軽くこしらえていると隣でその姿を見ていた親方がふと疑問に思う
「なぁ、あんた
何でこんな鎮守府に来たんだ?
あんたみたいな奴が来る場所じゃねぇだろここは」
「んまぁ、成り行きですよ」
「そんなわけあるか
ここの鎮守府が『今は』こんな酷い状態でどんな奴が来るか位は知ってる
確かにお前達が来るまで隠れていたが来た奴がろくでもない奴等ばかりだったしな」
「……ま、今はそんなことより料理食べましょ?」
佐渡は笑顔になりながら親方に話しかけるがその顔は詮索するなと言う意味を込めていることに気付いた親方それ以上言わなかった
しばらくすると食堂の扉が開き叢雲があくびをしながら入ってくる
「おはよ~司令官~
ご飯かしら~?」
「おはようってもう夜だよお馬鹿
もう少しで出来るから古鷹ちゃんを連れてきてくれ」
「分かったわ~」
叢雲は眠そうにしながら手を振ると食堂を後にする
のだがしばらくしても叢雲が姿を現さずに全てを完成させてしまい
テーブルに並べ終えると流石に疑問に思い探しに行こうとすると
「司令官!ちょっと手伝って!!」
「………何してるの廊下で」
古鷹は毛布にくるまり叢雲は無理矢理連れてきたのかズルズルと引きずっている
「え、えっと古鷹ちゃん?ご飯食べよっか?」
「………………いりません」
「今食べないと今晩夜ご飯抜きだよ?」
「……………構いません」
その返答に叢雲を見ると首を振るい佐渡は溜め息を付くと古鷹をお姫様だっこで持ち上げる
「は!放して!!」
持ち上げた瞬間古鷹が暴れるが佐渡はそんなこと気にせず古鷹を強制的に連れていく
「だーめ、ご飯食べるよ」
「いりません!!いりませんから!!」
「駄目よ、食べてもらうわ
コイツの腕なら私が保証するから心配しないで?」
古鷹の拒絶を何とかしつつ椅子に座らせると毛布を剥ぎ取り三人は椅子に座る
「んじゃ、食べますかね」
「………ねぇ、司令官この小さな小人って?」
「あぁ、うん妖精さん達」
「「「「こんばんわー!」」」」
テーブルに既に居た妖精達に少し叢雲は驚きながらも妖精に挨拶をする
「叢雲よ、よろしくね」
「よろしくー!」
「初期艦も居るのか、やはりお前達がよく分からんな」
親方が叢雲を見上げながら見ていると佐渡は食事の挨拶をする
「んじゃ、手を合わせて頂きます」
「「「「「頂きます!!」」」」」
挨拶と同時に叢雲と妖精達が勢いよく食べ始め流石の佐渡も驚く
「…えっとそんなにがっつかなくても…まだあるからゆっくり食べなよ皆…」
「おいしいー!」
「まろやかー!」
「…ほほぅ?こいつは…さっきより濃厚だし野菜も柔らかい…旨いなこりゃ」
「コイツの料理は外れなしよ
基本的に美味しいからね、司令官おかわり」
「あはは、ありがとうって早すぎだろ叢雲!?」
「シチューなんて飲み物よ
でも味は最高よ司令官?」
あっという間に叢雲がシチューを食べ終わると皿を受け取りよそいに行くと次は妖精達も佐渡の元へおかわりを貰いに行く
「提督さんおかわりー!」
「はいよ、お皿貰うね」
妖精達にもおかわりをよそうとやっと大人しく料理を食べてくれゆっくりとした晩御飯になった
「と言うか親方さん達は何食べてたのさ?
ここじゃまともな食べ物何て……」
「そうだなぁ、適当に食べれそうな木の実とかを食べてたぜ」
「木の実あきたー」
「シチューおいしいー!」
「な、成る程……」
確かにここまで酷い状態で更に人が居ない状態なのだから仕方無いとは言えど何故ここから離れないのかと疑問に思い佐渡は聞こうとすると
「お腹いたいのー?」
「艦娘さん大丈夫ー?」
妖精達からそんな声が聞こえ叢雲と佐渡はその声がする方へと顔を向けると古鷹が一切食事を取っていなかった
「もしかしてシチュー嫌い?」
「古鷹さん?食べましょ?」
「………………いりません
お腹空いてません」
「おいおい、艦娘よちゃんと食べないと駄目だぞ
お前達は出撃もあるんだ
食べないとやっていけないぞ?」
「いりません……食べたくないんです……」
古鷹はそのまま立ち上がり逃げようとすると妖精達がそれを捕まえ無理矢理椅子に座らせる
「だめー!」
「食べないともったいないよー!」
「いや!いらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらない!!!」
そのただならぬ様子に佐渡は異変を感じ妖精達を止めようとするのだがそれよりも先に妖精は連携し古鷹の口に無理矢理シチューの中身を入れようとする
「待ってくれ!彼女はもしかしてーーー」
「食べないとだめー!」
「いや!!辞めて辞めて辞めて辞めて辞めて辞めて辞めて辞めて辞めて辞めて!!!!」
「おい!お前ら待て!嫌がる娘に無理矢理食べさせるな!!」
親方の指示も聞かずに妖精達は古鷹の口に具材を入れるとはいタッチをし古鷹も口を閉じるのだが入れた途端古鷹の顔が口に手を押さえながら真っ青になる
「叢雲!ゴミ箱あるか!?」
「え?あ、あそこにあるわよ?」
佐渡は急いで立ち上がりゴミ箱を取ると古鷹へ駆け込み席から立たせるとゆっくりと廊下へと歩かせていくと
「ごめんね、廊下に出るまで耐えてね?」
佐渡の言葉に古鷹は頷くとゆっくりと歩いていき廊下へ出ると食堂の扉を締め切ると背中をさする
「良いよ…無理しないで吐き出して良いからね?」
その言葉に古鷹は甘え口に含んでいたシチューの具材と共に胃酸をゴミ箱に戻していく
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「大丈夫だよ、俺が無理矢理食べさせたのが悪いんだ
疲れてないか?お風呂行くかい?」
古鷹は静か頷くとゴミ箱を廊下に置き食堂の引き戸を開ける
「叢雲、悪いんだが古鷹ちゃんをお風呂に連れてってくれるか?」
「分かったわ、後でまだ食べるから私のは残しといて」
「あぁ、すまないな」
叢雲はそう言うと佐渡から古鷹を受け取りお風呂へと向かっていく
その後ろを姿を見ながら佐渡は呟く
「………拒食症だっけかな確か」
次回
傷だらけの心
古鷹の状態がかなり酷く早急に何とかしないといけないと判断した佐渡
一方で古鷹は唯一の艦娘である叢雲に自分の思いを吐露していく