艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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古鷹 九

佐渡達が小笠原鎮守府に来て三日後

時刻は夕飯より少し前の時間夕暮れ

厨房にて佐渡は苦悩していた

 

 

「はぁ………どうすれば良いんだろうか…」

 

 

それも古鷹の事である

彼女が拒食症であることが発覚し彼女への料理を作るのだがことごとく撃沈されていた

 

 

「うどん駄目…素麺駄目…お米駄目…パン駄目…お粥も駄目………

どうしよう…お粥なら行けると思ったんだけどな……

うーん……」

 

 

厨房の食材とにらめっこしながら今日の晩御飯を考えながら悩んでいると不意に妖精が顔を出す

 

 

「提督ー?どうしたのー?」

 

 

「んー?ちょっとねー……

ねぇ、妖精さんここって何があるの?」

 

 

何となく佐渡は今ある食材と小笠原にある食材が気になり妖精に聞く

 

 

「えっとねー

野菜ー

魚の頭ー

果物ー

木の実ー

イノシシー

熊ー」

 

 

「お、おうふ何か後半とんでもない物を聞いたような………

あぁ!そうだ!あれを作ろう!」

 

 

佐渡は何かを思い付くと早速料理に手を出していくと妖精は頭を傾げる

 

 

「何作るのー?」

 

 

「それは秘密!あ、妖精さんちょっとお願いがあるんだけどさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして外は暗くなり古鷹と叢雲が鎮守府に帰ってきていた

二人はお風呂の一件以来ずっと二人で行動しており佐渡も微笑ましく思っていた

 

 

「さてと、今日もアイツを試す時間よ!古鷹さん!」

 

 

「ご、ごめんなさい……私何も食べれなくて…」

 

 

「違うわ古鷹さん、アイツが下手なだけよ作るのが

病人食も作れないとは司令官失格ね

今日も駄目だったら私が殴るわ任せておいてね!」

 

 

古鷹の口数も増えており叢雲との会話を普通にこなせるようになるまで回復していた

三日前のアレから佐渡は古鷹への食事を何とか作ろうとしているのだが全て戻してしまい叢雲もイラついていた

 

 

「ごめんなさい…ごめんなさい」

 

 

「だから古鷹さんは悪くないってば!」

 

 

夕食の時間になり叢雲と古鷹が食堂に着くと丁度親方達と鉢合わせる

 

 

「あら、親方さん奇遇ね?」

 

 

「おう、叢雲ちゃん外はどうだった?」

 

 

「相変わらず酷い状態よ

夏じゃなくて良かったわ、熊や野生動物が冬眠してるから出掛けられるけど危ないわよねあれは」

 

 

叢雲と古鷹が出掛けていたのは理由があった

散歩兼体力作り、そして周囲の偵察である

二年も放置されていた島には人が居なくなった事で生態系が変化していると佐渡は危険視していた為叢雲達に任せていたのだ

 

 

「さてと今日は成功すると思うか?」

 

 

「さぁね?成功するとは思いたいけどね」

 

 

二人が食堂に入ると佐渡がエプロン姿で調理しておりそれぞれ自分達の席に座ると皿を妖精達が持ってきてくれる

 

 

「どうぞー!」

 

 

「はいお皿ー!」

 

 

「ん、ありがとうね

って今日はこれだけなの?」

 

 

「そうだよー!今日はスープなんだってー」

 

 

しばらくすると佐渡が厨房から鍋を持ってきており皆の前にそれを出し机に置く

 

 

「ほい!今日の晩御飯やぞ!

今日こそは古鷹ちゃんに食べさせちゃうぞぉ!!」

 

 

「こりゃ今日も無理だな」

 

 

「そうね」

 

 

「二人ともひでぇ!!」

 

 

佐渡が蓋を開けると香ばしい香りが食堂内に漂いだし親方と叢雲はその香りを堪能する

 

 

「へぇ………旨そうだな…」

 

 

「…そうね……何かしら…これ…」

 

 

「さ、古鷹ちゃんお皿頂戴な?」

 

 

「は、はい!」

 

 

佐渡は古鷹からお皿を受け取るとそのお皿にスープをよそいその中身を古鷹へと渡すのだがその中身に疑問を抱く

 

 

「……なぁ提督、何で具材無しなんだ?」

 

 

「そうよ、司令官具材無しなの?今日は?」

 

 

そう、そのスープには一切の具材が入っておらず真っ白なスープだけであり油すら浮いておらずに古鷹も驚く

 

 

「おう!これなら行けるんじゃないかな?

古鷹ちゃん!ご賞味あれ」

 

 

「い、…頂き…ます…」

 

 

古鷹がスプーンを取りそのスープをよそうと近くの妖精達もゴミ箱やゴミ袋を持ってきており準備万端である

その様子を皆で唾を飲み込みながら見ており古鷹はゆっくりと口に運ぼうとする

一瞬口に入れるのを躊躇ったが勢い良く口の中にそのスープを入れる

 

 

「ど、どうだ?」

 

 

「どう?古鷹さん?」

 

 

「不味い…?吐き出しても良いんだよ!?」

 

 

スプーンを加えたまま古鷹はその味を堪能しているとゆっくりとスプーンを放していくと声を震わせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい………しい……」

 

 

「マジか!?とうとう食べれるものが出来たのか!?」

 

 

「本当!?古鷹さん美味しい!?

飲めるの!?」

 

 

 

「は、……はい……これなら…大丈夫です」

 

 

 

「よっっっっっっしゃあああぁ!!!!」

 

 

叢雲と親方も喜んでおり作った佐渡本人は思わずガッツポーズを取りながら喜んでいると古鷹はゆっくりとスープをよそい口へ運んでいく

 

 

「美味しい…飲める……!」

 

 

「おう!やったな提督!!流石だよ!!」

 

 

「やったわ!!流石ね!司令官!!」

 

 

「「「やったー!!」」」

 

 

 

古鷹がやっとことで食べれる物を作れた事の喜びに佐渡達が喜んでいると妖精達も嬉しそうにしておりゴミ箱やビニール袋を捨てては他の皆もスープを自分達でよそい飲み始める

 

 

 

「…ほう!これは旨いな!

味が凝縮されてて後味もさっぱりしてやがる!

しかもほどよく薄いからいくらでも飲める!」

 

 

「本当!何よこれ!

何かのダシ……?でもちゃんと野菜の味もするわよね?」

 

 

「美味しいー!」

 

 

「あぁ~……苦労したよ……

そいつはマグロや海産物のダシを取ってそのあとに野菜とかを細かく刻み煮込んで完全に溶かした物だ

味も濃すぎず薄めに作ったんだが古鷹ちゃんが食べれるなら良かったぁ……

いやー苦労した甲斐があったよ!!」

 

 

佐渡はゆっくりだがキチンと食事をしている古鷹を見ると安堵の溜め息を付くと椅子に倒れるように座ると一人の泣き声が聞こえてくる

 

 

「……美味じい……美味しいよぉ………」

 

 

その声の主は古鷹だった涙を流しながらそのスープを飲みしっかりとその味を噛み締めている

その涙する古鷹を見ると佐渡は笑い叢雲は優しく頭を撫でていた

 

 

親方も涙脆いのか目を擦っておりスープを飲み干す

 

 

「かぁ!ちょっとしょっぱいな!!

提督!!おかわり!!」

 

 

「はいはい、いくらでもありますからね」

 

 

「司令官私もよ!!」

 

 

「僕たちもー!」

 

 

「はいはい」

 

 

佐渡が皆のおかわりをよそっていると古鷹は泣き続けそのスープを飲み干す

おかわりこそしなかったが食べ終わってもしばらくの間泣き止むことは無かった

 

 

 

その涙はここに来て初めての食事を出来たことと

美味しい食事が皆と出来たこと

そして、佐渡や叢雲達の優しさを改めて理解させられた事への涙だった

 

 

 

「うぅ……私……私は……」

 

 

少しずつ古鷹の壊されていた心が治り始め

少しずつだが確実に古鷹は佐渡達を信用しようとしてきていた

だが彼女の心にはまだ藤谷達に傷つけられた傷が深く残っていた

このスープは彼女にとっての始まりである

ここでの生活をするにあたっての第一歩だった

 

 

 

 

 

 




次回

距離間

佐渡や叢雲のお陰で少しずつ古鷹も心を開きつつある
だがやはり彼女の問題はそう簡単ではない
そして佐渡は真実を知る

もう少しで古鷹さんの過去が終わります
果たして佐渡達は彼女を救う事は出来るのでしょうか?


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