時間は再びの夜
古鷹と共に小笠原へ来て二週間が立った
だが何故かは分からないがあの真実を知った夜から古鷹の様子が可笑しくなってしまった
それまで普通に話せていたのにまた塞ぎ込み頭を抱えながら部屋の隅に居ることが増えており佐渡達は混乱していた
特に前兆があった訳ではない
古鷹に誰かが何かをしたわけでもない
だが彼女はあの時から苦しんでいる
何かを彼女を縛り笑顔を許さないかの様に
「ねぇ!司令官何とかならないの!?」
「俺に言うなよ……何とかしたいがあれは俺達にどうにか出来る問題じゃない
多分…彼女の心が問題だ…何であぁなったのか俺にも分からないんだよ…」
佐渡と叢雲は屋上で言い合っておりその声を聞いてなのか妖精達も隠れてしまっていた
「だがご飯は食べれてるからそこはまだ良いんじゃないか?」
「良くないわよ!あの娘私から話しても最近は返事位しかしてくれないし!話も聞いてないし!あんた何とかしてよ!!」
「無茶言ってくれるな……
それと落ち着け叢雲、焦っても何も解決しない」
「焦りもするわよ!何でよ!何で……やっと彼女に笑顔が戻ったのに…また振り出しに戻るなんて……」
叢雲は確かに焦っていた
古鷹に言った期限が迫っていること
そしてやっと心が交わせると思った相手がまた落ち込んでしまっていること
助けたいのに何も出来てない自分への焦り
「ねぇ!どうすれば良い!?私は何をすれば良いの!?
あの娘に!古鷹さんに何をすれば良いの!?
教えてよ!佐渡!!」
「落ち着け!俺達が焦ってたら彼女も困るだろ!」
その言葉と共に佐渡に抱き付きながら殴っているが痛くはなく佐渡も頭を撫でる
「何でよ……!何で!私はこんなに無力なのよ……
私は……」
叢雲は焦り混乱しており佐渡も抱き締めながら叢雲の頭を撫でていた
「安心しろ前には進んでいる
今ちょっと大きな壁に当たってるだけだ」
「うん……分かったわ……」
佐渡に胸の内を明け叢雲はしぶしぶ一人で戻っていくとポケットにしまってあった手紙を見返す
「……拷問…心を壊された……確かに拷問の一つにはその情報を吐かせるために過剰な事をすることもあるが
心を壊して何の意味があるんだ?」
密告者に教えられた真実を考えながら佐渡は屋上を後にし外へと歩みを続ける
佐渡と別れた叢雲は部屋に戻ると先に古鷹が寝ており何かうなされており直ぐ様手を握り頭を撫でる
「助けて……誰か……」
「大丈夫よ…私達が居るわ…大丈夫よ」
悪夢を見ているらしく叢雲は頭を撫でながらあやしているのだが途中で睡魔に襲われゆっくりと眠りへと落ちていく
叢雲が眠りに付いた後一人の艦娘がゆっくりとベッドから起き上がり繋がれた手を振り払うと頭を抱えながら呟く
「私……何デ生きテるノ?」
「と言うわけ何ですよ、何かご存知無いですか?」
佐渡は鎮守府を出てある人へ電話で話しておりその相手も唸りながら返答する
『うーん………そこまで酷いとは……ですが彼女は確かに前の鎮守府ではしっかり者だったと聞いております
大本宮の資料にも彼女にそんなことをしたと言う記録がありません
それに艦娘を意図的に傷付けるのは駄目ですからね
拷問なんてそんな……』
密告者に教えられた拷問や彼女が罪のない事を伝えるのだが相手訳が分からずに返答しようがない
「何でも良いんです!何かありませんか!?」
『……そうですね、一つだけあるとしたら彼女が所属していた鎮守府から彼女の返還願いが来てるだけですかね?』
「確か、藤谷提督の?」
『えぇ、どうやら古鷹さんが必要だとかで
まぁそれは流石に通せないですけどね
彼女は仮にも犯罪者として扱われてるだけですから貴方の鎮守府にしか置けません
何せ仮にも死刑囚
貴方が無理矢理助け出した様な物ですから不可能です』
「アハハ…まぁ、そうですよね
となるとやっぱり元鎮守府の………」
と佐渡が不意に鎮守府を見ると電話をそっちのけで唖然とする
『……佐渡提督?どうされました?』
「あ……いえ…」
鎮守府はまだ幾つかの大穴が空いており古鷹や叢雲が寝ている二階は廊下が見えるほどである
故に外に出ていても廊下を歩いていればすぐに見える
「……何で古鷹が起きてるんだ?」
そう、佐渡が唖然としていたのは古鷹が起きて廊下を歩いていたのだ
しかも叢雲を連れてない状態でフラフラとどこかに向かうように
それだけなら別に何でもない
トイレか何か下に用があるなら分かるだが
「あの先って確か上に行ける階段しか無かったよな?」
そう彼女が向かっていたのは上へ向かう階段のある方角で流石の佐渡も驚いていた
(上に何か用がある?何でだ?あの娘が上の階に用なんて……)
『佐渡提督?どうかされましたか?』
「あぁ!いえすみませんちょっと……」
電話をしていたのを忘れており慌てて返事をするがそれと同時にあることを思い出す
『死にたいんです、死ねば私は楽になれる
皆が嬉しがる、喜ぶ、死こそ私が望む物何ですだから死なせてください
もう生きていたくないんです』
「おい……あいつまさか!?」
初めて会話したときを思いだし佐渡は急いで古鷹を迎えにいこうとする
『佐渡提督!どうかされたんですか!?』
「ごめん!大淀さん!ちょっと用事が出来た!!
明日かけ直します!!」
『ちょ、ちょっと佐渡提とーーー』
大淀との電話を切り急いで佐渡は携帯を別の奴に掛けるのだがその相手は全く出る様子が無く舌打ちをしながら走りだし古鷹の後を追う
(勘弁してくれよ!!間に合ってくれ!!)
途中廊下を走ってるとき何度か床が抜けこけそうになるが何とか耐え走る
そして屋上まで登ると思い切り扉を蹴飛ばし外を見る
「古鷹!!!」
屋上に行くと案の定古鷹が居た
フラフラと歩みを進めながらある場所に止まると佐渡へ振り返る
「………何ですか?佐渡提督」
「何ですかじゃねぇ!!何してやがる!!」
「…………決まってるじゃないですか」
「……………死ぬんですよ
ここから飛び降りて」
古鷹は屋上の端に立ちながら佐渡を見ておりそれが月明かりと共に二人を照らしていた
次回
この手を離さない
悪夢と絶望が彼女を取り込みとうとうそれが爆発する
死に向かおうとする古鷹を佐渡は救うことが出来るのか?
やっと遠征で東京急行がでて回してますがこれは良いですねぇ……
資材が貯まる貯まる