艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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ふるタカ  1三

「バカ野郎!なんでそうなるんだよ!!」

 

 

「……死にたいんです

死ねば私は役に立てるんですよ

死なないと役に立てないんですよ提督や皆さんの役に!

だから死ぬんですよ!!何で分からないんですか!?」

 

 

「分かるわけ無いだろうが!

お前が死んで喜ぶ者はここには居ない!!

分からねぇのか!?」

 

 

「分からないですよ!!私は…私は所詮兵器何ですよ!!

人の形をした深海棲艦を殺す為の人間によって作られた兵器!!」

 

 

古鷹は頭を抱えながら叫び苦しんでいた

佐渡には何故そうなったのか全く分からなかった

彼女が何故そこまで兵器であること死に執着することが

 

 

「ならここで分かっていけ!!俺達はお前の死を望んでいない!!」

 

 

「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!

二人とも私が居なければこんな目に合わなかったんだ!!

こんな捨てられた場所に来なかったんだ!!」

 

 

「あぁ!そうだよ!お前を助けなければ俺達はここに来なかった!

だが俺達は進んでお前を助けるためにここに来た!!

君を救いたい!助けたい!その言葉は本物だ!!」

 

 

「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!

どうせ貴方達もあの人と同じ何だ!加古も衣笠も日向さんも木曾さんも提督も私を捨てたんだ!!

 

私が要らなくなったから必要じゃなくなったから!!

重巡ですもんね!!私は戦艦でも空母でもない!

特別強いわけでもない!!

皆に優しくしても皆の為に尽くしても私を助けてはくれなかった!!

貴方達もそうだ!!どうせ要らなくなったら私を捨てるんだ!ゴミ見たいに!見捨てるんだ!」

 

 

今まで溜め込んでいたその思いを古鷹は吐いていく

そして佐渡を睨み付けるその瞳に佐渡は異変を感じる

少しずつだが古鷹の瞳が赤く染まり瞳の奥には怒りそして憎しみに溢れていた

だが佐渡はそれを全て否定する

 

 

「違う!俺達はそんなことはしない!!

もし!俺達がお前を見捨てたりしたら殺してもらっても構わない!だから最後にチャンスを!

俺達を信じてくれ!!」

 

 

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!

もうあんな思いはしたくないの!!

皆の為に心を磨り減らして!助けるために命も張って!それでも皆は私を助けてくれなかったの!

もう嫌なの!生きていたくないの!だったら死んで皆の役に立つなら死なせてよ!!

戦いたくない!なにもしたくない!優しくしたくない!死にたいの!!」

 

 

 

 

彼女は私達を守り、私達の為に動いてくれた優しいお方です

 

古鷹さんは藤谷提督と海軍上層部によって殺された艦娘何です

 

毎日拷問を受け心を磨り減らされそして心を壊された人なんです

 

 

佐渡の頭にその手紙内容が思い浮かぶ

あれは真実だった

古鷹は犯罪なんて犯していない、彼女はただの被害者だ

皆を助けるために命を張りそして藤谷に裏切られ仲間にも見捨てられた艦娘

そんなのが実在するなんて佐渡は信じられなかった

だがそれが目の前に居る

だからこそ佐渡は古鷹をこの哀れな被害者である少女を助けたいと思う

 

 

「なら!俺が殺してやる!!」

 

 

「…………ぇ?」

 

 

佐渡は歩みを進めながら古鷹に近付いていく

 

 

「こ、来ないで!!」

 

 

「断る!死にたいんだろ!?

良いだろう!俺が殺してやる!!

艦娘を殺すのは初めてだがやってやるよ!!」

 

 

佐渡はある程度近付いていくと懐から銃を取り出すとセーフティを外し古鷹へ向け引き金に指を掛ける

 

 

「この引き金を引けばお前は死ぬ

どうだ!目の前に自分の死があるってのは!!」

 

 

「はやく……早く撃ってよ!!

私は死にたいの!!もう何も見たくない!聞きたくない!!」

 

 

だが佐渡はその時異変に気付く古鷹の容姿が変わっていることに古鷹の髪が少しずつ白くなり左目の艤装である義眼が真っ赤に染まり右目も赤く染まりつつある

それでも佐渡は引き金を引かない

 

 

「引いてよ……早く…はヤく撃テ!!」

 

 

「引いてやる!!だが古鷹!

お前が俺達に会ってお前は何を見てきた聞いてきた!?

答えろ!!」

 

 

「何ヲ…言ッてルの?」

 

 

「良いから答えろ!!艦娘古鷹!!」

 

 

 

 

佐渡の言葉に古鷹は佐渡達と過ごしてきた事を思い出す

 

 

 

 

 

大丈夫!しっかりして!?

 

 

 

 

 

この言葉は私が死ぬ寸前処刑される時に叢雲さんに言われた言葉

 

 

 

 

 

 

悪いけどこの艦娘の処刑は今この時を持って中止だ!!

 

こいつは俺達が貰っていくぜ!!

 

 

 

 

 

 

この言葉は私の処刑を中止させた佐渡さんの言葉

 

 

 

特に理由は無いわ

 

私は貴女を知らなかったし、でも助けたいって思ったの

 

 

 

 

 

この言葉は叢雲さんが私を助けてくれた理由

 

 

言葉を思い出す度に私を縛り付けている鎖が壊れていく音がする

一つずつ一つずつ、確実に千切れていく

 

 

 

君が命を捨てると言うのであれば

 

俺達は君の命を拾うよ

 

絶対に君を死なせやしない

 

今は信じてくれなくてもいい

 

いつか、俺達を信じてくれ

 

嘘を付いてないことを君に知って欲しいんだ

 

 

 

 

 

 

この言葉は私が死にたいと言ったときくれた言葉

 

 

 

 

 

 

大丈夫、安心しろここには俺達しか居ない

 

君を傷付ける者は居ないからな

 

怯えなくて良い、恐がらなくて良い

 

俺達は君を大切にする前任よりな!

 

それだけはどんなものにも誓って言えるからな!

 

 

 

 

 

 

 

この言葉は私が恐がってる時にくれた言葉

 

 

 

大丈夫よ、ここには私と司令官だけ

 

貴女は私達だけを信じなさい

 

二週間で良いわその期間だけ私達と共に居てほしい

 

もし、それでも信じられなかったら何時でも出ていって良いわ

 

でも後悔はさせない

 

約束よ

 

 

 

この言葉は私が信じられないと言ったときくれた言葉

 

 

佐渡達に貰った言葉が頭の中を反響する

その言葉達が私の中に残っている死への言葉を消していく

 

 

 

俺達にはそれを和らげる位しか出来ない

 

君の心にあるその『何か』は俺達にはどうしようもない

 

だから俺達は君がその何かに立ち向かえるまで君を支える

 

どんな形でもどういったやり方でも君を支えるよ

 

 

 

佐渡と叢雲から貰った言葉を思い出しながら古鷹は

 

 

「あ………アァ………私は……ずっと…」

 

 

泣いていた

ここに来て佐渡に初めて涙を見せ佐渡はため息を付く

 

 

「……やっと分かったかバーカ

俺達がいつお前に死ね何て言った

その逆だ

お前は死ぬには早い

俺達と共にこの鎮守府で生きろ

お前に命令をだす、古鷹

『生きろ』」

 

 

「あ……あぁ…私は……私は……」

 

 

止めどなく古鷹は涙を流し次第に古鷹の髪色が栗色に戻り真っ赤に染まっていた瞳も元の黄土色に戻っていた

だが彼女は

 

 

「でも私は死なないといけないの!!!!」

 

 

その言葉と共に古鷹は屋上から身を投げる

 

 

「辞めろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

佐渡は全速力で落ちる古鷹の手を掴み何とか耐えるのだが古鷹の身体は下に落ちてしまい佐渡の手にぶら下がっている状態になる

 

 

「バカ野郎!命令すら守れないのか!お前は!!」

 

 

「放してください!私は!!」

 

 

「誰が命令違反した奴の言葉をーーー」

 

 

だが、ここで佐渡は気づけなかった

屋上はほとんど手付かずのままであり苔等が生えており滑りやすくなっていたことに

古鷹を片手で掴みもう片手を屋上の縁に付けており体重によって片手を滑らせてしまう

 

 

「しまっーーー」

 

 

その瞬間佐渡と古鷹は屋上から落ちそうになるのだが何とか滑った手で屋上の滑った縁を掴み直し古鷹を片手で支えるのだがかなり危険な状態になってしまった

 

 

「やば……これ……流石にキッツ……」

 

 

片手で古鷹と自分の体重を支えており何とかギリギリでぶら下がっているが流石の佐渡も余裕がない

 

 

「放してください!貴方が死ぬ必要は無いんですよ!!」

 

 

「うるせぇ!絶対にこの手を放さないからな!!

俺は君を助けるって決めたんだからな!!」

 

 

 

 

 

 

 





次回

堕ちた天使は果てで何を見る?

古鷹の身投げを何とか止められた佐渡
だが自分の身体も落ちてしまい絶対絶命に陥る

佐渡は古鷹の絶望から助け出すことは出来るのか!?


次回も長くなります
あ、ネタバレですが佐渡が艦隊を動かさない理由と小笠原の方針そして真の意味が次回明らかになります!
この鎮守府は古鷹と叢雲の為に彼は作り出した


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