「ーー以上が私の過去であり提督と出会いこの鎮守府に来た理由です」
古鷹によって告げられた真実は全員を凍り付けさせ理解する
この鎮守府でどの誰よりも深く傷つき絶望した艦娘は古鷹だった
その真実は全員の言葉を失わせた
そして彼女が初期艦でも友人とかでもなく
この鎮守府に着任した最も最初の艦娘であり佐渡と叢雲が最初に出会った艦娘だったという事
あり得ないとその言葉を発しようとしても声が出ない
嫌、出せなかった
古鷹の手は震え佐渡を掴むその手に力を込めているのが分かるほどだったからである
だがその静寂を一人の尋常じゃないほどの怒りが消し飛ばす
「何です……か…それ……」
「金剛?」
その怒りの持ち主は金剛だった
身体は怒りに震え顔を真っ赤にしながら拳を握り締めながら思い切り床を叩き付ける
「何なんですか!!!それは!!!」
バァン!と大きな音にその場に居た全員がビクンと反応するが金剛の怒りは収まらない
「何ですか!何なんですかそれは!!
古鷹は何も悪くないじゃないですか!!
古鷹は仲間を助けただけなのに!何も!何も悪い事をしてないのに何で!!何でそんな目にあってるんですか!!」
「落ち着け金剛…」
「落ち着け!?
落ち着いてなんていられるわけ無いじゃないですか!!
仲間が!古鷹がそんな酷い目にあっているのに私達は!!何も出来てない!!
いつも優しく!私達を助けてくれているのに……
あんまりじゃないですか………何で古鷹が…そんな酷い目に……」
金剛はそこまで言うと怒りながりも古鷹の為に涙を流す
自分がここに流されてきたのにはしっかりとした理由があった
不幸でありそれを無意識伝染させる
それは仕方ないと思っていた
でも古鷹は違う
仲間を助け仲間の為に尽くし
見返りを求めた訳ではないが裏切られた彼女の為に
金剛は涙を溢していた
「金剛さん……」
「そうだったんだね……古鷹さん……ごめんなさい……
そうだと知らず私達は……」
不意にイムヤが古鷹を抱き締めると古鷹は優しくイムヤの頭を撫でるとイムヤも金剛と同じ様に涙を流す
「……意味がわかりません
何故古鷹さんがそんな酷い目に合わなくてはならないんですか?
ちょっと大本営に掛け合ってきます
我慢できません」
大井も冷静を装っているが拳を握り締めていた
「待て大井」
「…止めないでください、私達の仲間を大切な者を傷付けやがった奴等を始末するんです」
「辞めなさい大井、それは私の仕事よ
……でもまぁ分からなくは無いわよ
あいつらは私利私欲の為に古鷹を切り捨てたんだからね」
「辞めろエアこれ以上焚き付けるな」
「はいはい、分かってるわよ」
各々怒り悲しみ古鷹の境遇と自分達を重ねると同時に自分達は今まで彼女に何もできなかったと言う無力差に苦しむ
「……だからか、アトミラールが出撃をさせない理由と言うのは」
「あぁ、この鎮守府では出撃は極力しない
元々ここには艦娘が来ないと思ってたし古鷹や同じ様な艦娘の為に出撃をさせずに休息を取らせるために俺はこの鎮守府を作った」
「……そうか…すまなかった私は…」
「気にするな、俺がきちんと理由を言わなかったのも悪かったしな」
そう言うとグラーフの頭を撫でながら笑うのだがグラーフの表情は暗いままであった
「お前ら何だ?古鷹の過去を聞きたがってて聞いたらそんな態度なのか?」
「ご、ごめんなさい……」
「古鷹…ごめんね…」
「大丈夫ですよ、今は佐渡さんと叢雲も居ますし皆が居ます!
だから気にしないでください!」
古鷹が皆に笑いかけると各々暗い顔をしているのだが一人だけ後退りをしているものがいた
「嘘だ……そんなわけがない!そんな海軍が……」
「……長門」
次回
セイギって……?
古鷹の真実が長門を狂わせる
それは自らが信じてきたものが何だったのか分からなくなるほどに彼女は混乱する
このお話は古鷹の話であり長門の話になります!
同時に二人を助けようとする佐渡は何をしようとしているのでしょうか?