艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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「……綺麗な月ですね

佐渡さん」

 

 

「そうだなぁ、冬は空や灯りが綺麗に見えるもんなぁ」

 

 

長門は先程まで古鷹の胸の中で泣いていたのだが途中で声が聞こえなくなり様子を見るといつの間にか寝ていた

ここに来るまでどうやら深海化の事を隠してきたり気を張っていたらしくその寝顔は安らかな物であった

 

 

そして今は長門をベッドに寝かせ叢雲とエアと別れた後佐渡と古鷹は二人だけで屋上に残り空を見上げていた

 

 

「悪いな、俺の服大きいだろ?」

 

 

「いえ、佐渡さんの服ですから問題ないですよ?」

 

 

古鷹の服は長門の涙と鼻水で濡れてしまい急いで洗濯機にかけておりその間だけ佐渡の制服を貸し出し古鷹は着ていた

 

 

「どうでしたか?私のやり方で長門さんを元気付けて見ましたが……」

 

 

「グッジョブ!最高でありパーフェクトだったぜ!

流石はうちの天使様だよ!全く!!」

 

 

「えへへ…嬉しいです!ありがとうございます!」

 

 

佐渡に頭を撫でられながら誉められていると古鷹は微笑みながら嬉しがりそれと共に手すりに手をかけながら空を見上げる

 

 

「なぁ古鷹、聞きたかったんだが俺はちゃんと約束を守れてるか?」

 

 

「はい?……あぁ、ここで約束してくれた事ですか?

…ふふ、守れてないかも知れませんね」

 

 

「マジかぁ……有言実行するのが俺なのに駄目なのかぁ……」

 

 

「ふふふ、冗談ですよ!ちゃんと守れてますよ!

私は毎日とっても楽しいですし笑顔で幸せですよ」

 

 

手すりに捕まりながら落ち込む佐渡の頭を撫でながら笑っていると古鷹は月に手を伸ばす

 

 

「……貴方があの時手を握ってくれたから貴方が私を見付けてくれたから今の私はあります

絶望し、仲間に捨てられ、全てを諦めていた私を助けてくれたのは間違いなく貴方何ですよ

だから自信を持ってください、貴方は素晴らしく偉大な人なんですよ?」

 

 

 

「……ちげぇよ、俺はお前を助けなんていない

あの時俺もお前を処刑から助けるつもりなんて無かった

叢雲が俺に願ったから俺は手を貸しただけだ」

 

 

「そんなことありませんよ、あの時死を望んでいた私に貴方は生を望んでくれました

私はそれだけで嬉しかった

貴方と叢雲は、私を救ってくれた英雄(ヒーロー)何ですよ?」

 

 

古鷹は月を見上げ一年前の事を思い浮かべる

そして瞳からは涙が溢れる

 

 

「……貴方達が私の命を助けてくれたんです

あの絶望から救いだしてくれたんです

いくら感謝してもしきれません

信じられなかった私に信じる心をくれた

私こそ聞きたいんです

私は笑えてますか?貴方達が望める姿になれてますか?」

 

 

涙を溢す古鷹の頭を優しく佐渡は撫でると微笑む

 

 

「バーカ、俺がお前に望める姿なんかねぇよ

俺は君が楽しく笑えていれば良いんだ

楽しくなければ怒れば良い

嫌なことがあれば泣けば良い

この鎮守府はお前達艦娘の為にあるんだ

だから好きに生きて欲しいんだよ君に」

 

 

「………もう、佐渡さんはいつもそう言うことを言う!」

 

 

古鷹は不意に佐渡の胸に飛び込むと顔を胸に押し付けながら涙を流す

 

 

「貴方達が居てくれればそれで良いんです

私はもう何も要りません、あの時二人が手を伸ばしてくれて私が手を取って本当に良かった

心の底から私は嬉しいです、こんな未来があるとは思いませんでした

死ぬ事だけを望んでいたあの時には考えられないほどの幸福です

だから、安心してください

貴方達は私の希望、私の未来です

何でもしますよ私を死の未来を奪ってくれた

英雄(ヒーロー)

 

 

 

「……そうか、なら良かったよ」

 

 

佐渡は涙を流す古鷹の頭を優しく撫でながらあることを決意する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そうか……君はもう充分前に進めているんだよな……

ならそうだな最後に俺達は君の背中をもう一度押さないとね

約束を守ろう君を救ってみせる

そして過去と言う鎖を今壊してみせる)

 

 

そう思いながら佐渡は古鷹の為に自分が出来る最後の事に手を出す

 

 

 

 

 




次回

再び動き出す時

長門を救い小笠原に再び平和が戻った
だがそんな中佐渡はあることを画策する
そして、小笠原へある艦娘が接近してきていた


まだこの章は終わりません
もう少しだけ続けさせてもらいますよ!


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