「落ち着いた?青葉ちゃんや?」
「……はい、ごめんなさい
ご迷惑おかけしました」
「迷惑?何の事やら?」
しばらくした後
騒ぎを聞き付けた憲兵によって男達は逮捕され連れていかれ車の仲間も酷い有り様で見付かったらしい
車の仲間に関しては佐渡は御愁傷様と思いながら手を合わせる
「……私に会いたかったって…」
「ん?あぁ!ごめん忘れてた!!
ちょっとさ見てほしい物が合ってさ?
これ書いたの君だよね?」
「っ!!」
佐渡はポケットから手紙を取り出すとそれを見せた瞬間青葉の身体がビクンと揺れそれが事実だと理解する
「どうして……」
「んー、まぁうちにかなり頭の良い……と言うか筆跡とかそう言う情報屋見たいのが居てな…」
無論エアの事である
あれでも大本営に何度も入り込みそして提督殺しとして全ての艦娘に化けられる技術を持つ故に簡単に教えてくれた
「……はい、私が密告者です
…ごめんなさい…」
「いや、ありがとう
これのお陰で俺は古鷹を本気で助ける気になったんだ
まさか冤罪だったとはね……
どうやって調べたの?」
「大本営のデータベースと私の提督である藤谷提督のお父さんが今回の事を絡んでる事を調べあげたんです
貴方は真実を知ってほしかったんです
古鷹さんを命を掛けて助けてくれた貴方ですから」
「……随分と危険な事するね…
全く古鷹は愛されてるねぇ……」
そう呟くと近くの自販機から飲み物を二つ買うと一つを青葉に渡し側に座る
「……君は何故古鷹に無理矢理にでも会おうとしないのかい?
嫌、他の奴と同じ様に俺を悪人として見ないんだ?」
「…貴方はそう言う人では無いですよね
色々と見てきましたから悪い人と良い人の区別位出来ます
それに貴方は古鷹さんを処刑場から無理矢理助け出してくれました
長門さんに主砲を向けられても他の提督達を敵に回しても海軍すら敵に回して貴方は古鷹さんの命を救ってくれた
文字通り命懸けで
そんな人が悪人?あり得ませんよ
貴方は古鷹さんの恩人です
私の出来ないことを成した素晴らしい人です」
「………何か随分と評価高いなおい
でも勘違いするなよ?あの時古鷹を助けようって言ったのは叢雲だ
俺はそれに従っただけ」
「だからってあんなとんでもないこと出来ませんよ
…………私は見ていることしか出来なかった」
そう呟くと青葉は持っている飲み物を力強く握り締めると佐渡は本題に入る
「それで、何で古鷹に会わないんだ?」
「…………私に会う資格が……どの面下げて…会えと言うんですか?」
青葉は飲み物を置くと佐渡の目の前に立つと心内を話始める
「私達は古鷹さんを捨てたんです!
私達は大切だった仲間を捨てたんです!
優しくて!強くて!誰よりも人を思いやれる仲間を!!
正直、加古も衣笠も提督も意味がわからないよ!
私達が捨てた!手放した人を助けもせず!何もせず手に戻そうとしてる!!
私は……私は!あの人に…会う資格なんて無いんです!」
「……なぁ、会うのに資格って必要なのか?」
「………え?」
佐渡はそう呟くと飲み物を飲みきりそのゴミをゴミ箱に投げ入れる
「会うのに資格なんて必要なのか?
俺にはそうは思わない」
「だって!私は……私達は!!」
「違うだろ?お前はただ古鷹に向き合えないし
会うのが恐いんだろ?」
「っ!!」
佐渡に図星を付かれ青葉は後ろに下がると佐渡は立ち上がる
「古鷹はまだお前達を許してない
お前達を憎んでる
そりゃそうだ、お前達が古鷹を捨て、古鷹を絶望させ、死なせようとした
その事実は、過去は消せない
どんな事をしようと何をしようがその真実は消えねぇよ
古鷹がお前達を、青葉ちゃん達を許さない限り
だからお前は今、直接会えば拒絶される、突き放される
だってそれが私達が彼女にした事なのだから
も思って会えてない
逃げてるんだろ?前に進むことを辞め綺麗な過去を思い出しながら事実を受け止めずに」
「…………………るさい」
「その証拠にお前は無理難題でもある長門を倒すと言う約束をし見事に負け私はまだ覚悟がない
資格がないと言う言い訳をしながら自らを慰めている
俺が何とかしてくれるって人任せにしながら」
「…………………………………うるさい…」
「過去から逃げ続け古鷹と言う自分達のしてきた罪から逃げ続けてるんだろ!
違うか!重巡青葉!!」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!」
青葉は叫ぶと佐渡の首もとを掴みながら涙を流しながら佐渡を睨み付ける
「そうですよ!その通りですよ!!
私は逃げてます!ずっと過去から!あの人を傷付けて死なせようとした事実から!!
そうでもしてないと生きていけないんですよ!!
逃げていないと……私は………
貴方に頼ってることも分かっているんです!
それでも私は…あの人に向き合えない!!
……あの人が受けた痛みを苦しみを…受け止めきれる…自信が無いんです…」
佐渡を掴みながら泣き崩れ青葉はそのまま地面に手を付きながら泣いていると佐渡は無言でハンカチを手渡す
「……ありがとう……ございます…」
「まぁ、そうだろうな
それが普通だ、逃げたくなるよな
自分達が傷付けて死ぬはずだった仲間が生きていて
会いたいのに会えば拒絶されるのが恐いのは
うん、やっぱり辞めるわ」
そう言うと佐渡はベンチに座ると崩れている青葉を見ていると自分の事を話し出す
「本当は君の力を借りたかったんだけどね
古鷹を本当の意味で助けるために」
「………………ぇ?」
「……古鷹は確かに捨てられた時の記憶は笑って言える程になってる
俺達は古鷹の為に何でもしてきた
美味しいご飯、仲間、楽しい鎮守府を作った
…でもな過去ってのはそんな簡単な物じゃない
他人じゃトラウマは乗り越えさせる事は出来ない
俺達じゃ元々古鷹の絶望を、アイツに縛りついている過去と言う鎖を壊せない
悔しいよな……俺達は結局出来ることと言えばアイツの傷を癒してあげる位なんだ
前に進めさせる事は出来ない
彼女を本当の意味で救えるのはお前達だけなんだからな」
その言葉と共に佐渡は悔しそうにしながら青葉を睨み付ける
「アイツを先に進めることが出来るのは
前に進み、過去を乗り越えさせる事が出来るのは
その傷を作った奴等だけなんだよ
だが、それも出来ないとなると古鷹はずっとこれから苦しみ続けるんだろうな
お前達に付けられた傷で」
そう言うと佐渡は立ち上がり青葉を置いてその横を通り過ぎる
「悪いな、もう頼まないよ
君なら行けると思ったんだけどな」
青葉から流れていた涙はいつの間にか止まっていた
そして佐渡に言われた言葉が頭を木霊する
それと同時に古鷹が自分にしてくれたことを思い出し立ち上がる
「待ってください!!」
「………うん?どした?」
青葉から呼び止められた佐渡は振り返ると青葉は佐渡に詰め寄る
「………私が前を向けば、古鷹さんに向き合えば古鷹さんを助けられるんですよね!?」
「…あぁ、傷は癒した
俺達はやれることを全てやった
後は、過去を乗り越えるだけだ」
「……分かりました、やります」
「……本気か?古鷹はお前達を恨んでる
憎んでる
それを受け止めるんだぞ?」
「それでもです、私は逃げ続けてました
古鷹さんから私の罪から
でも貴方は命を掛けて古鷹さんを助けてくれました
なら次は私が古鷹さんを助けて見せます!」
佐渡は青葉を睨み付けながら最後の確認を取る
「……前に進む覚悟は出来ているのか?
もうお前を慰める言葉も
優しくしてくれる
お前の中にある古鷹は前に進めば全てを失う
二度とお前は過去には戻れない
お前の罪と向き合えるか?」
佐渡に言われた言葉が青葉の心に突き刺さる
今ここで佐渡の事を断ればいつまでも優しい古鷹さんを夢見ていることが出来る
だがそれよりもそんなくだらないことよりも
「向き合います
私の罪を向き合い、前に進みます
それだけであの人を古鷹さんを救えるなら!!」
青葉の覚悟を見た佐渡は一枚の写真を取り出す
その写真は青葉がずっと持っていたしわくしゃの写真
それに佐渡はライターで火を付けようとする
「……最後の確認だ
後戻りは出来ないぞ
何も得る物は無いかもしれない
自分の心の支えを失くす事になるかもしれない
…お前の心は壊れるかもしれない
古鷹はそれほどにお前達を怨んでいる
殺されそうになるかもしれない
それでもやるか?古鷹を救うか?」
「やります!やらせてください!
私が!あの人を古鷹さんを助けて見せます!
死んでも古鷹さんの過去を乗り越えさせてみせます
約束します!信じてください!佐渡提督!!」
その言葉を聞いた瞬間佐渡はニヤリと笑い写真に火を付ける
それと同時に古鷹の写真が燃えていくが青葉は見もしない
しばらくした後写真が完全に燃え佐渡はそれを踏み潰す
「……どうやら本気みたいだな?」
「はい!古鷹さんを救いたいです!!
私の手で!私達の罪へ向き合いたいです!!」
「………ハハ!良く言ってくれた!青葉ちゃん!
良し!じゃあ今度小笠原に呼ぶからな!
その時は頼むよ!」
「はい!よろしくお願いします!佐渡提督!
私が必ず古鷹さんを……助けます…!」
次回
背中を押す者
過去と向き合おうとする者
古鷹を助けるために協力を青葉は決意する
覚悟を決め古鷹と前に進み過去を乗り越える為に
自らの罪と向き合うために
古鷹は縛り付ける最後の鎖
過去を乗り越えることができるのか!?