艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

439 / 594
進め己の道を

次の日古鷹と青葉は一緒の部屋で寝泊まりし共に手を繋ぎながら廊下歩いていた

昨日あんなことがあったのにも関わらず今ではすっかり仲良くなっていた

 

 

「にしても酷いところって聞いていましたがかなり綺麗ですよね小笠原鎮守府って」

 

 

「これでも初めの頃はこんな綺麗じゃなかったんだよ?

提督と叢雲と親方さんや妖精さん達と一緒に綺麗にしていったんだ」

 

 

「へぇ……凄いですね

……ごめんなさい古鷹さん

貴女をそんなところに行かせてしまって……」

 

 

「もう!青葉!」

 

 

暗くなりかけていた青葉の頬を両手で押さえると微笑む

 

 

「確かにそうだったけど今はそれで良かったと思ってるんだよ?

ここに来て佐渡さんに叢雲に会えたんだから気にしないの!」

 

 

「うぅ……でも…」

 

 

「良いの!青葉は私に向き合ってくれたんだからこの話は終わり!

良いね?」

 

 

「…はい、古鷹さん…強くなりましたね」

 

 

「ふふ、提督のせいかな?

でも私は強くないよ?強くありたいんだ

心を強く持ち負けない心で戦えって教わってるからね」

 

 

古鷹と青葉は朝食を済ませ鎮守府内を歩いていたのだが佐渡に呼ばれており提督室に向かっていた

 

 

「にしても何だろ?提督、私に大切な話があるって………

それに皆居ないし…」

 

 

「……大切な話だからじゃないですか?

青葉は聞いておりますが…」

 

 

「え!?青葉は聞いてるの!?

教えてよ!!」

 

 

「…駄目です、言えないんです

佐渡提督から言うなって口止めされてますからね…」

 

 

青葉が少しだけ暗い顔をしており何故教えてくれないか疑問に思っていたが提督室の前に到着し部屋をノックする

 

 

「提督!古鷹です!」

 

 

『あぁ、入っていいぞ』

 

 

「失礼します!」

 

 

ガチャッと扉を開き部屋に入ると古鷹は少しだけ変な雰囲気を感じながら身構える

 

 

「………ぇ?皆?」

 

 

提督室には鎮守府の全員が集まっており叢雲以外は部屋の両側に集まり古鷹を見ており叢雲だけは佐渡の隣立っていた

 

 

 

「待ってたぜ、古鷹

青葉ちゃん

すまないが少し待っててくれないか?」

 

 

「はい、分かりました」

 

 

古鷹はゆっくりとした足取りで佐渡に近寄ると異様な雰囲気に耐えきれずに困惑する

 

 

「え、えっと……皆どうしたの?

ここに集まって……」

 

 

「まぁ、それは追々話していくよ

まずは古鷹、良く前を向き歩き出してくれた

俺達は君をずっと守り見てきた

嬉しいよ、一年という歳月はかかったが君が過去を乗り越えてくれたことが本当嬉しい」

 

 

「いえ……これも皆のお陰です

皆が優しくしてくれていつも楽しい鎮守府生活をさせてくださって

最後に二人が私の背中を押してくれたから私は前を向けたんです

ありがとうございます

感謝してもしきれません!

この恩はここでずっとーーーー」

 

 

古鷹がそこまで言うと佐渡は微笑みながら言葉を遮り指を鳴らすとエアがある紙を取り出す

 

 

「えー、古鷹一番艦古鷹

貴女の罪は佐世保鎮守府を奇襲した深海棲艦を手引きし藤谷提督と艦娘達を壊滅させた反逆罪です

 

 

死刑が執行されるまで毎日拷問と尋問を受け続け貴女は苦しみ続けていました

海軍の都合により貴女は捨てられた

誰も貴女を助けず貴女に手を差し伸べなかった

絶望し、苦しみ、貴方は死を願った

 

だがそこに二人の反逆者が立ち塞がった

そして捨てられた貴女の命を拾った

二人は貴女に生きる意味を与え今まで貴女は生きてきた

 

それでも貴女は苦しんでいた

過去を忘れられずに静かに苦しみ続けていた

 

 

そして今貴女は過去と向き合い乗り越えた

なので我々小笠原鎮守府は貴女に最後の贈り物をします

 

我々が出来る最後の事です

貴女が喜んでもらえるかは分かりませんが貴女を我々が救います!!」

 

 

「………ぇ?どういう…」

 

 

エアは読み終わると微笑み大井を見ると頷き大井はタブレットを取り出し古鷹にあるニュースを見せる

 

 

「………ぇ…え?……え?」

 

 

そのニュースを見ながら古鷹は口を抑えながら驚く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『本日未明、海軍大本営所属 藤谷信吾が艦娘保護法に反した容疑と詐欺罪で緊急逮捕されました

藤谷信吾容疑者は自らの息子である藤谷淳一が運営する佐世保鎮守府に艦娘が深海棲艦を招いたという虚偽の証言を複数の元帥達と合作し大本営を騙して居ました

 

しかも、その艦娘に強制的に拷問や尋問をし無理矢理自供させたと言う事も報告されており本日未明緊急逮捕されました

 

そしてそれと同時に佐世保鎮守府の艦娘と藤谷提督にも同じ容疑が掛けられており現在憲兵達により捜査が開始されております………』

 

 

「な……ん…で?」

 

 

あまりの事に驚くとエアがウィンクすると佐渡が微笑む

 

 

「どう?これで満足かしら?佐渡」

 

 

「あぁ、完璧だ

流石だなエア

 

そして、長門、青葉ちゃんもありがとう」

 

 

その言葉に古鷹はハッとすると青葉は古鷹に近付くと頭を下げ

長門と大井も古鷹へ微笑む

 

 

「…私は提督がやったことそしてその行為と経緯を調べました

古鷹さんが送られた後からしたためて密かに密告しようと思ってました」

 

 

「…私は唐澤さんに頼み込んだんだ

古鷹を助けてほしいと正義を執行したいと

相手は大本営だろうと私がやりたかった

貴女を傷付けたのは変わらない

だが、少しでも良いから貴女の役に立ちたかったんだ

すまない、断りもせずに」

 

 

「うふふ!その調べた事と唐澤の発言を理解のある憲兵達に伝え新聞記者や各局に私が密告したのよ

 

全く苦労したわよ、こいつがそんなことをいきなり頼むんだもん」

 

 

「悪かったよ、だがお前ならできると思ってな」

 

 

「ふん、こんなの出来ないわけ無いでしょうが

ま、私が出来るのはこんなこと位だしね」

 

 

そう言うとエアは古鷹に近付き頭を優しく撫でると同時に抱き締める

 

 

「ごめんね、古鷹

貴女を助けることが出来たのに私は貴女を助けられなかった

私には貴女を助けることが出来る力があったのに出来なかった

 

私も長門と同じ罪を背負ってるわ

無知は罪よ

私も貴女が受けている痛みを知らなかった

だからこれぐらいしか出来なかった

ごめんね」

 

 

「良いんですよ!エアさんは優しいのは知ってますし知れなかったのは仕方ありませんよ

あの人達も私の事を厳重に管理してましたから…

でもありがとうございます!

私は嬉しいです!」

 

 

古鷹に言われるとエアは更に古鷹を強く抱き締めながら頭をなでる

 

 

「あぁ!もう本当に可愛くて優しい娘よね!

ねぇ!貴女こっち(深海側)に来ない!?

毎日貴女の好きな事させるし不自由はさせないわよ!」

 

 

「おいごら、待てやエア!

何勝手に引き込もうとしてるんだぁ!?」

 

 

「はぁ?あんたじゃこの娘は勿体無いわ!!

深海側でダメダメになるぐらい甘えさせてやるわよ!!

だから寄越しなさい!!」

 

 

「駄目に決まってんだろうが!!

古鷹は俺達側だ!!」

 

 

「古鷹の為ならここで一戦やろうかしら?」

 

 

「ほほう?うちらと戦うのかあぁん?」

 

 

 

「もう!辞めてくださいよ!二人とも!!」

 

 

深海側の姫と海軍側の提督が一人の艦娘を取り合って争ってる様はまるでお姫様を取り合い戦ってる様ではあるが佐渡とエアは古鷹に止められ笑い合う

 

 

「はは、まぁこの戦いは今度だなエア」

 

 

「良いわよ?受けてたつわよ人間!!」

 

 

そしてエアが元の場所に戻ると佐渡が続きを話していく

 

 

「と言うわけだ、これで古鷹

君に対する海軍の誤解も全て解かれることになる

長くなってすまなかった

俺にはまだ力がなかったんだ

今はこうして力があるからこそ君の罪を消すことが出来た

 

喜んで貰えたかい?」

 

 

「はい……ありがとう…ございます…

私は……」

 

 

「あぁ、これでお前は『普通の艦娘』に戻ったんだ

全て…古鷹を縛り付け苦しめていた物は終わりを告げた

 

君の苦しみと絶望の物語は終わりを告げた

大手を降って前に進めるな

おめでとう、古鷹」

 

 

「長かったわね、貴女を救うのにこんなにかかるとは思わなかったけど良かったわ

私は貴女との約束は守れたわ

 

お疲れ様古鷹

貴女が虐げられる事は無いわ

貴女は実力も付け他の鎮守府からも一目置かれる存在になったってことよ

 

おめでとう、古鷹」

 

 

「おめでとうデース!古鷹ー!!」

 

 

「お疲れ様、古鷹さん」

 

 

「古鷹さん!終わったんだよ!

貴女が苦しめられることはもう無いんだよ!!」

 

 

「良かったな古鷹!

貴女は救われるべき艦娘だ……

おめでとう…古鷹…グス」

 

 

「何であんたが泣いてるのよ!グラーフ!」

 

 

「すまない……古鷹の過去が酷すぎてな……」

 

 

「古鷹、すまなかった

そしておめでとう、貴女は絶望に耐えた素晴らしい艦娘だ」

 

 

 

その言葉と共に佐渡が拍手をすると周りに居る金剛や大井達からも賞賛の言葉と拍手が送られると古鷹は涙目になりながら喜ぶ

 

 

「ありがとう…皆……ありがとう…

こんな私何かの為に……ありがとう…」

 

 

「それは違いますよ!古鷹さん!」

 

 

青葉は古鷹の隣で笑いながら佐渡にウィンクすると全員声を揃えて同じ言葉を言う

 

 

「「「「「「「「貴女だからこそだよ!古鷹!

私達は貴女だからこそ助けるんだよ!」」」」」」」」

 

 

「ぅ……うぅ……皆…皆……ありがとう……ありがとう………!」

 

 

その言葉と共に古鷹は崩れてしまいその姿を見た全員は笑い合うが佐渡合図を出すと青葉が古鷹を立ち上がらせある紙を取り出しそれを古鷹に差し出す

 

 

「俺達はお前を守り続けてきた

そしてお前は前を向き歩き始めた

だからこそ、俺達は最後の仕事をしようと思う

 

 

古鷹、俺達は古鷹の進むべき道を作った」

 

 

 

「……ぇ?……提督……こ……これ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは大演習会での全員に渡された転属願だった

一枚だけ佐渡は古鷹に渡さず残していた

この時の為に

 

 

「さぁ、古鷹選べ

お前の進むべき道を」

 

 

 

 

 





次回

選べ君の進むべき道を
前を向いて未来を


全てが終わり古鷹の罪もエア達の協力により消され佐渡は最後の贈り物を古鷹に渡す
選ぶ道がなかった彼女に再び選ぶ道作り進めさせる為に


そう言えば浴衣古鷹実装されてますけど
あれ、中破ヤバイですね……
もう…色々と……


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。