艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

440 / 594
進め己の道を 二

その紙に古鷹は驚き震えながらそれを持ち上げる

 

 

「て、提督…どう…して…?」

 

 

「最初から決めてたのよ私達」

 

 

叢雲は佐渡の頭を軽く叩くと佐渡も笑いながらその話を始める

 

 

「もし、古鷹が前に進むことが出来

全ての事が終わったとき」

 

 

「貴女を別の鎮守府に移動させようってね

貴女はこんな所に居るべきじゃないわ

こんな犯罪者二人が居る鎮守府に」

 

 

「…え……どういうこと?

だって二人は私を!!!」

 

 

その言葉にハッとすると青葉を見る

顔を反らしエアも顔を反らしており詰め寄ろうとするが叢雲がその訳を話し始める

 

 

「私達の罪は消えない

貴女を助けるために処刑を中断させたのは立派な反逆よ」

 

 

「俺達は今まで通りこの鎮守府を離れること出来ないのさ

だが古鷹の罪はもう無い

だからこそ俺達何かと居る必要は無いのさ

まぁ叢雲だけなら何とかなったんだけどなぁ」

 

 

「そ……そんな…二人は…私のせいで……長門さん!

青葉!何とかならないの!?」

 

 

古鷹が二人の罪を消すことが出来ないか詰め寄るが長門も顔を反らしてしまう

 

 

「すまん……それだけは不可能なんだ…

確かに古鷹は無罪の罪で殺されかけた…だがな…」

 

 

「二人がやったのはそれだけで済まされません…

どんな理由があろうと二人が海軍に反逆したという事実は消せないんです…」

 

 

「不可能よ、こいつらはそれを承知で貴女を助けたのよ

理解しておきなさい

貴女を助けるために本当に全てを捨てたのよこいつらは

……本当馬鹿よね、あり得ないわ本当に」

 

 

エアがそれを言うと古鷹は自分がずっと守られ命を助けられた意味を理解する

だからこそ分からなかった、何故自分を手放すのか

 

 

「ふん!人を助ける為に私達が罪を背負えば良いならいくらでも被ってやるわよ!」

 

 

「そう言うことだ、俺と叢雲はその覚悟を持って君を助け出した

ま、死刑にならなかっただけマシかな」

 

 

佐渡と叢雲は笑いあっているとエア達は呆れていた

 

 

「ほんと、この二人は……」

 

 

「まぁでもこの二人ダカラ!」

 

 

「私達も付いていけるのよね!」

 

 

「あぁ、全くとんでもないアトミラールと艦娘だよ!」

 

 

「少しは加減をしてほしいものだが

貴方達は止まらないんだろな!」

 

 

それと同時にエア達も笑い出す

だが、古鷹だけは困惑していると佐渡が背中を押そうとする

 

 

「一年前、俺は君を大本営から海軍から藤谷提督から奪い取った

そして、持てる権限を使い君の命を我が物にした

 

君の大切な一年を縛り付けてしまいすまなかったと思う

無駄な一年をこんな酷い場所で過ごさせてしまって本当にすまない

君の時は戻せない

君から奪った時間は返せない

でも、俺達は古鷹に今道を選ばせてあげられる

 

それで許してくれないか?」

 

 

「そんな……提督!私は……!」

 

 

「もう、俺達は君を必要として無い

君は俺達の兵器()である必要はない

古鷹、ここで今君の所有権を我々は廃棄する!!!

 

君には進むべき道がある!!

俺達は最後に君を先に進める義務がある!

俺達は君の時を奪った!だからこそ君に選択する権利を与える!選べ!!」

 

 

佐渡が指示するとその場に居る艦娘達が笑いながら一人ずつ前に出る

 

 

「古鷹さん、私は貴女の道を一つ指し示します!

北上さんと葛城提督に話を通しました

もし、二人が居る佐伯鎮守府に行くのであれば必ず男との問題は起こさず貴女を歓迎し大切にすると約束します

何かあったわ私に遠慮なく言ってください

いつでも駆けつけます!

貴女は強いですから向こうでもやっていけると思います!」

 

 

「大井さん……」

 

 

大井が伝えると次は金剛が前に出て古鷹の手を取る

 

 

「古鷹ー!私も古鷹の道を指し示すデース!

霧島と石澤提督に話を通しましたー!

もし、二人の鎮守府に行くんだったら安全と古鷹を優しくする事を約束しまーす!

古鷹!もし、向こうで問題があったり石澤提督が何かしたら私に言ってくださーいネ!

私の持つ不幸をばら蒔いて鎮守府を潰してやりまーす!!

古鷹を傷付ける奴は許さないデース!」

 

 

「金剛さん……」

 

 

金剛が満面の笑みを浮かべながら伝えると下がり次にイムヤが古鷹の手を取る

 

 

「古鷹さん!私も……古鷹さんの道を指し示します!!

ハチと猿橋提督に話を通したわ!

もし、二人の鎮守府に行くんだったら出撃無しと平和を約束する!!

でも何かあったらいつでも呼んでね!!どんなことが起きても私は貴女を助けに行くからね!!

絶対だよ!絶対約束だから!!

古鷹さんが行っちゃうのは寂しいけど……私達は背中を押したいから!!」

 

 

「イムヤさん……」

 

 

泣きそうな顔を隠しながら古鷹から離れると次にグラーフが手を取る

 

 

「古鷹、私も貴女の道を指し示す!

ビスマルクとドイツのアトミラールに話を通した

かなり遠くなってはしまうがドイツの鎮守府に行くのであれば貴女を必ず皆は守ってくれる

二度と私の様な艦娘を作らないと約束してくれているからな!

だが、何かあればすぐに呼んでくれ

この鎮守府に居ようが海の上だろうが私は駆け付ける

貴女が私達にしてくれたことは忘れない!」

 

 

「グラーフさん……」

 

 

そしてグラーフが離れ最後の艦娘長門が古鷹の前に立つといきなり頭を下げる

 

 

「……すまない…私が君の道を示せるとは思わない

だが私にも示すことを許してくれない

唐澤さんと陸奥達に話を通した

舞鶴鎮守府に行くのであれば君を必ず守るそして二度と君を傷つけさせない約束する

私の命を掛けて、私の全てを掛けて

君を守るだから安心して進んでほしい」

 

 

「長門さん……」

 

 

全員から貰った道を受け取りながら古鷹は考え込む

だが古鷹の事を察した佐渡はその考えを遮るように話す

 

 

「古鷹、俺達から受けた恩とかそう言う事は考えるな

俺達はただやりたいからやっただけだ

ただの自己満足なんだ、君を救えた

それだけで良いんだ、だから君は真っ直ぐ前を向いてほしい

もし佐世保に戻りたいと言っても俺は止めない

今のお前なら藤谷達ともやっていけるはずだ

 

 

さぁ、選べ!!古鷹!!

今!ここでお前の進むべき道を!!

未来を選べ!!お前には資格が!権利がある!」

 

 

 




次回

私は………

一年前、自らが決めることが出来なかった道
それを佐渡は持っている全てを使い古鷹へ道を作り出した
そして少女は自らの未来を
歩いていく道を選ぶ
後悔がないように





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。