艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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進め己の道を 三

古鷹は持っている転属願いをグシャっと握り締めながら目を閉じ静かに微笑むと佐渡を見る

 

 

「……貴方は、何故そこまで私に与えてくれるんですか?

何で貴方はここまでしてくれるんですか?佐渡さん」

 

 

「与えてなんかいねぇよ、俺は君が奪われた物を取り返してるだけだ

それだけだ、勘違いするな」

 

 

佐渡の冷たい言葉が物語る

この人は私をわざと突き放していると

ここに居れば私を助けた罪に私が巻き込まれると思っているから

だからこそこの人は私にこの鎮守府に残ってほしくない

 

 

だって自分達の事に私を巻き込みたくないから

もう後ろであると思い込んでいる自分達を見捨てて前を進んでほしいから

 

 

古鷹は分かっていた佐渡はそう言う人だって事を

自分ことより他人を

他人を助けるためには全力でやることを

何もかもを捨ててでも助けるその姿を一年側で見ていたから分かる

 

 

「……提督はどうしてほしいですか?」

 

 

「バーカ、俺に聞くな

今決めることがお前の未来を決める

だが俺達に恩を感じるなよ

俺達はあくまでやりたいからやったんだ

お前はお前の好きにしろ

 

俺達は止めないさ」

 

 

「なら、私の答えはずっと前から決まってます」

 

 

古鷹は転属願に自分の名前と転属先を書いていこうとする

ほんの一瞬転属先を迷った

本当にこれで良いのか

提督を他の艦娘を困らせないのか

だからこそ瞳を閉じて考える

 

 

『お前の道だ、お前が決めろ』

 

 

「………はい、私の道は私が決めます」

 

 

微笑みながら佐渡から教わった言葉を思いだし自分の移動先を書き終えるとその紙を裏側にし佐渡に差し出す

 

 

「提督、受理してくれますね?」

 

 

「あぁ、受け取ろう

嬉しいよ古鷹、前に進んでくれるんだな?」

 

 

「はい、私は前に進みます」

 

 

佐渡はその裏紙を受けとると微笑み金剛とイムヤが泣き出してしまい

大井とグラーフが宥める

それを横目に見ながら佐渡は裏側に向けられた転属願を表向きに変える

 

 

「さーて、古鷹はどこに……………待てこら

古鷹…………何のつもりだ?これは?」

 

 

「そのままですよ、私の道は私が決めます」

 

 

古鷹は受け取った紙を見ながら両手に後ろに組みながら微笑む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は………『小笠原鎮守府に行きたいです』」

 

 

「……ぇ?」

 

 

「…古……鷹さん?」

 

 

転属願には行き先は小笠原と書いており佐渡は頭を掻きながらため息をつく

 

 

「おいおいおい!古鷹!俺の事分かってるよな!?

俺はーー」

 

 

「分かってますよ、貴方が私を突き放す理由も」

 

 

「だったら!!!」

 

 

「それでも、私は貴方に逆らってでも『この鎮守府に小笠原鎮守府(我が家)に居たいんです」

 

 

古鷹の反抗に驚いていると古鷹は微笑みながらその理由を話していく

 

 

「確かに私にはもう罪はありません

前に向くことも出来ました

貴方達のお陰です、本当に感謝しています

本当に嬉しいです

この気持ちは心の底から思っています

 

 

それでも私はここに居る仲間を…家族を忘れて別の鎮守府に行くことは出来ません

私は貴方達に救われここに来ました

そして、大井さん、金剛さん、イムヤさん、グラーフさん、エアさん……まだ期間は短いですが長門さん

皆と……仲間と会えました

今では家族と言っても過言では無いほどに私は皆を信じ絆を感じています

 

例え別の鎮守府に行ったとしても私はこの鎮守府の皆を思ってしまいます

この鎮守府が皆が私にとって何よりも大きな存在なんです」

 

 

「古鷹……お前…」

 

 

そこまで言うと古鷹は満面の笑みを浮かべながらここに居る皆に見渡し佐渡に頭を下げる

 

 

「だから、こんなどうしようもない重巡ですが

この鎮守府に置いてください

私には皆が必要なんです

皆と離れたくない!皆とずっと一緒に居たいんです!!

皆とこの鎮守府の仲間を一人も欠けずにこの戦争を終わらせたいんです

 

お願いします、佐渡さん

私は……この鎮守府が皆が大好きなんです!!」

 

 

古鷹の思いを聞いた叢雲とエア、青葉は以外涙を堪えているが佐渡は大きくため息をつく

 

 

「はぁ………くそ全く……」

 

 

「ふふふ、古鷹少し図々しくなったわね

佐渡、無理よこうなったら古鷹は止まらないわ

私達に似て真っ直ぐに突き進む事しかしないんだからね」

 

 

「わーてるよ……全く!お前と言い!大井と言い!!何で俺の思い通りに動いてくれねぇのかな!!」

 

 

そう叫ぶと佐渡は転属願に判子を押し古鷹がこの鎮守府に残留することを許可すると古鷹は喜び笑みを浮かべる

 

 

「……ありがとうございます、佐渡さん!」

 

 

「全く……これからいつも以上にこき使ってやるからな

覚悟しとけよ古鷹」

 

 

 

「はい!よろしくお願いいたします!佐渡さん!」

 

 

「ふふ、これからもよろしくね

古鷹」

 

 

「うん!よろしくね叢雲!」

 

 

佐渡がゴホンと咳払いをすると椅子をくるっと回し手を振るう

 

 

「お前ら~、もう我慢しなくて良いぞ~」

 

 

「「「「………古鷹ぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」

 

 

 

その言葉を皮切りに涙を堪えていた大井達が一斉に古鷹に抱き付く

 

 

「わわ!皆どうしたの!?」

 

 

「わーん!古鷹ー!古鷹はどこにも行かないデースよね!?」

 

 

「う、うん?ここに居るよ?」

 

 

「古鷹さん!これからもよろしくお願いしますね!!」

 

 

「うん!よろしくね!」

 

 

「あーん!古鷹さん!!良かったよぉぉぉ!!

この鎮守府に居るんだよねぇ!!」

 

 

「よしよし、イムヤさん泣かないで?」

 

 

「古鷹ぁぁ……すまない!すまない…今だけはこうさせてくれ……!」

 

 

「うん、良いよグラーフさん!」

 

 

「すまない!すまなかった古鷹ぁぁぁぁ!!

本当にすまなかった!!」

 

 

「もう!長門さん良いんだってば!」

 

 

ほとんどが泣きついており佐渡はその姿を横目に見ながらため息をつく

 

 

「んまぁ、分かっては居たけど良いものね

あんた達の絆ってのは」

 

 

「はん、古鷹が優しすぎるのが悪いんだろうって

そんなことより悪かったね青葉ちゃん?

君も転属願をしたためてたんだろ?」

 

 

「えぇ………でも正直使い道は無いと思ってましたよ

貴方に会って更にそう思いました」

 

 

「うん?何で?

だって、古鷹は他の鎮守府に移動させる予定だったんだよ?」

 

 

「………ねぇ、あんたってさ恋愛とか絆とか分からない訳?」

 

 

「…そんなのあれだろ?小説の中にある空想だろ?

現実にあるわけないじゃん?」

 

 

「「「………はぁ……」」」

 

 

「え、何でお前ら頭抱えてため息付いてるの!?

え?何か変な事いった俺!?」

 

 

佐渡の鈍感と言うか唐変木加減が酷すぎて叢雲達は頭を抱えながらため息を付いていると佐渡は焦る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……でもこの気持ちは隠しておきますよ

貴方の邪魔にはなりたくないですから)

 

 

古鷹は悲しく微笑みながら佐渡を見つめておりその様子を叢雲は一人気付いていた

 

 

 






次回

わがまま

古鷹は自らの道小笠原に残ることを選んだ
それでこのお話は終わるはずだった
だが叢雲は古鷹の背中を再び押す
それは友人として仲間として相棒として
古鷹を大切に思い押してあげたいと思うから


イベントまで残り二週間位なのにバケツが底を付くと言う……(攻略で使いすぎた)

貯めていかないと……

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