艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 七

 

大井の瞳は、しっかりと佐渡を見ておりその瞳には決意の様な感じが見えており

それを見た佐渡は大井の決意を揺らがせてはなるまいと勢いに任せ抱き付く

 

 

「っ!!」

 

 

大井は、やはり反射的に佐渡を殴りたくなる衝動にかられるがぐっと拳を握り我慢する

 

 

「殴れ」

 

 

「……え?」

 

 

抱き付かれた状態で、大井は上を見上げると佐渡の顔が下から覗きこむ様に形に見えるが、暗く表情は分からない

それでも、木原や他の男と違う嫌悪感は無い

 

 

「我慢すんな

何発かは、多目に見てやるから

ほら」

 

 

その声に大井は甘え、軽くだが佐渡の背中を叩く

何回も、だが軽くしか叩いておらずほとんど痛くはなく

少しするとそれが止み、佐渡に身体を預ける

 

 

「もう、良いのか?」

 

 

「……えぇ、もう満足よ」

 

 

そうかと言うと、佐渡が大井から離れようとするが大井が手を回しそのまま佐渡をベットに押し倒す

と言っても、佐渡が座りそれに抱き付いている形になっている

 

 

「大井?」

 

 

「……頭、撫でて欲しいです」

 

 

「…はいよ」

 

 

予想外と言うか、男嫌いの大井が何故こんな事を?と思いながらも佐渡は大井の頭を優しく撫でる

 

 

「………私は」

 

 

しばらく撫でていると大井が、佐渡に抱き付きながら話し始める

 

 

「…私は、男嫌いの欠陥兵器です」

 

 

「んー、俺はそう思わないけどなぁ」

 

 

「しかも、軽巡です。

火力は無いですし、弱いです

……肉盾に位しか使い道がありません」

 

 

 

「そんなこと言ったら、うちの叢雲さんはどうなるんよ

あの子駆逐艦だぜ?」

 

 

「あれは、可笑しいんですよ

あんなに強い駆逐艦聞いたことありません」

 

 

「はは、全くだ」

 

 

佐渡は、笑いながらも大井の頭を撫でるのを辞めずにのんびりと話し続ける

 

 

「……私は犯罪者です」

 

 

「一応俺もだぜ?」

 

 

「…これからも殴りますよ?」

 

 

 

「んー、毎日は勘弁かなぁ?」

 

 

大井の表情は、見えないだがここまで近付き話してくれる大井に凄い嬉しさを感じながら佐渡は頭を撫でる

 

 

「…何でここの人達は優しいんですか?」

 

 

「ん?優しいって普通じゃないか?」

 

 

「…優しいですよ……優しすぎるんですよ!!」

 

 

服が、引っ張る感覚がすると大井が顔を上げ、目頭に涙を溜め佐渡を睨み付ける

 

 

「何で!!何で私なんかに優しくするのよ!!

私は欠陥兵器!!装甲も無い!!強くもなれない!!

どうやっても!戦艦や正規空母なんかにはなれない!!!

そう、何をしても!!

身体だけは綺麗で!!胸も他の子より大きくて!!

ただただ!!男の性欲処理にしか使えないような私に!!

何で何で!!!

あんたもそうでしょ!?だから、写真撮ったんでしょ!!!

何をしてほしいの!?何でもやってやるわよ!!

脱げば良いの!?分かったわよ!!」

 

 

大井は、今まで溜め込んだ物を吐き出し、癇癪を起こしたように来ていたワンピースを脱ごうとするが佐渡はそれを無理矢理にでも止める

 

 

「辞めろ!!大井!!」

 

 

「放してよ!!何でもするって言ったじゃない!!

こんな所に飛ばされて!!生かされて!!そうなんでしょ!?

内心では可愛そうだからとかおもってるんでしょ!!

分かってるから!!放してよ!!」

 

 

「大井!!良いから落ち着け!!」

 

 

暴れる大井を、抱き締め続け落ち着くまで何もせず何も言わずに待ち続ける

しばらくすると、抱き締めていた大井は落ち着き、肩から冷たいなにかを感じる

 

 

「何でも……言ってよぉ……

優しく……しないでよぉ…

恐いよぉ………

恐いのぉ…」

 

 

大井は、泣きながらそして弱々しく佐渡に言うと佐渡の肩が大井の涙で濡れながらも大井は静かに泣き出す

配慮が足りなかった、そう思うと佐渡は抱き締めながら片手で自分の頬を殴る

 

 

 

 


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