「さてと、今日は鍋だから簡単に作るか」
「そうですね提督!」
古鷹と佐渡は寒い厨房で古鷹が野菜を切る係りと佐渡がキムチスープを作る係りと分かれ手際よく料理を進めていた
「それにしても、古鷹って意外と料理上手いよな?
もしかしてやってたのか?」
「はい、昔佐世保でちょくちょくやってましたよ!
良く加古や青葉何かにもお菓子や簡単な料理を作ってたんですよ?」
「へぇ?そいつなら納得だわ
にしても、炊事洗濯家事完璧で気立ても良いとかもう嫁に行ったら最強じゃねぇかよ」
「そ、そんなことないですよ!
提督ほど料理は上手くないですし…家事は良く向こうでやってましたから……」
「謙遜するなって充分に上手いよ
いやー……こんな人が嫁に来てくれた男は嬉しいんだろうなぁ」
佐渡は呟くように言うとスープの味見をしていると古鷹の手が止まり顔が真っ赤になっている
「て、……提督は…その……家庭的な…艦娘は……好きですか?」
「っ!ゴホッ!ゴホ!」
「だ、大丈夫ですか!?提督!」
「お、おう……大丈夫だ!心配するな……」
味見をしていたスープでむせると古鷹に背中を擦られる
「……古鷹、いきなり言うなよ…」
「ご、ごめんなさい……つ、つい…」
この前の古鷹からの告白が佐渡にはかなり効いているらしくあれ以来古鷹を艦娘と言うよりは一人の女性として意識しており少しの行動や発言だけでも動揺していた
「な、何だ
家庭的な艦娘は誰でも好きだと思うぞ!」
「て、提督は……どうですか…?」
「うっ」
古鷹に上目遣いで見られてしまい佐渡はそっぽを向くと小さな声で呟く
「………好きだぞ家庭的な艦娘」
「!
やった!では頑張りますね!」
佐渡からの発言に古鷹は喜ぶと元の持ち場に戻り鼻歌混じりに野菜を切っていく姿が様になっており佐渡は頭を掻く
(やべぇ……素直にあれが嬉しくて動揺しちまう…
クソ…死神が情けねぇ……
古鷹が……嫁か……)
不意にそんなことを考えると容易に想像でき佐渡は思い切り床に頭をぶつける
「て、提督!どうかされたのですか!?」
「え!あ!いや何でもないよ!!
アハハハハ!!
よぉし!晩御飯作るぞぉ!!」
頭の傷口から少し血を流していると古鷹は溜め息混じりに戸棚から救急箱を取り出す
「提督、血出てますよ見せてください」
「うん?大丈夫だよこの位」
「駄目です、その傷からバイ菌が入っては困ります
座ってください」
「……はいよ」
佐渡は渋々椅子に座り古鷹の治療を受けていると目の前に古鷹の程よい胸が見え直ぐ様目を反らす
(ああぁぁぁぁ!!!何で古鷹はこんなに無防備何だよ!!
いや!あれだよ!?信頼されてるってのは分かるけど俺は男だぞ!!
クッソ!金剛やグラーフとかなら何とかなるのによぉぉぉぉぉぉ!!!)
歯を食い縛り治療を待っていると手際よく治療を済ませ佐渡のおでこに絆創膏を張る
「はい、終わりましたよ!
全く提督?気を付けてくださいね、皆心配しますからね?」
「あ、あいよ……」
そんなことをしていると佐渡はふと誰かに見られている視線に気付き食堂の扉を見ると少し開いており三人が覗いていた
「………夫婦ですね正に」
「オ似合イ……」
「グッド」
「ふ、夫婦って!?」
「………何を覗いてるのさ三人とも?
手伝ってくれますかねぇ!?」
いつの間にかソラ、γ、Σが風呂を上がって居たらしく佐渡達を覗いていた
その姿に佐渡はため息と共に冷静さを取り戻す
だが、ソラに夫婦と言われた古鷹は終始真っ赤だった
「いやー、ごめんね三人とも助かったよ」
「いえいえ、これぐらいは当然ですよ
それでαとβはどこ行ったのですか?」
ソラとγ、Σに古鷹はそれぞれ鍋とご飯を専用の台車で運んでおり佐渡も食器を運んでいた
「イ、居間ダト思イマス!!」
「コタツ強イ」
「あんの馬鹿共はぁぁぁぁ!!!
後でゲンコツしますかね!!」
「まぁまぁ、ソラさん
程ほどにしてあげてくださいね?」
ソラは拳を握り締めながら怒りしばらく廊下を歩いていると全員が集まっているであろう居間にたどり着きドアを開ける
「おまえらー、飯だぞー」
「待ってましたー!」
「んー、司令官ー今晩はなぁにー?」
「キムチ鍋だよ、ご飯もあるからな」
「キムチ鍋!?食ベタコトナイ!!」
「少し辛いのよ、でも口に合うと思いますよ」
「早ク食ベタイ!」
「深海棲艦の口に合うかは分からないけど
エアが美味しいって言ってるんだし大丈夫かな?」
何だかんだで大井達もすっかりエアやα達に馴れ隣同士で座ってたりのんびりとコタツに入りながら談笑していた
その光景に佐渡は微笑むと五人で料理の準備をしていく
「よっし!やれ!!」
「そこ!そこデース!!」
「あちゃー……下手くそねこいつ
逆転されてるじゃないの」
その間叢雲と金剛とエアは新しく創設したテレビに夢中になりながら見ていたのだが一つ疑問に思い大井に聞く
「…なぁ大井、うちって電波来るの?」
「来ますよ?
叢雲が脅しをかけた時ついでに私が大元帥に言って流してもらうようにしてもらったんです
後、アンテナは親方さんが作ってくれまして」
「万能過ぎかよあの人
風呂作れて艤装直せてコタツ作れてとか最早どこの発明家……てかどうやって作ってんだおい
どっかの駆逐艦はテレビ欲しさに大元帥脅すし
電波欲しいから直談判するし
アンテナ作るし
誰だよこんな鎮守府にしたの
提督出てこいや!!」
「「「「「「貴方ですよ!!!(デース)」」」」」」
「はい、すいませんでした」
佐渡の呟きに全員からツッコミを受け少しへこむと各々笑いあっており溜め息をつく
そうこうしてる間に食事の準備が終わり全員はコタツに入る
「んじゃ、食うか
いただきます」
「「「「
その合図と共に一斉に三つほど並んでいる大鍋をそれぞれ手を付けながら食べていく
「うむ!これは少し辛いな
だが、身体の芯から暖まる……うんいいなこれは!」
「そいや、グラーフは初か
辛くないか?」
「大丈夫だ!この位ならむしろ好きな位だ!」
グラーフは野菜や肉を均等に取っていき食べておりその隣ではイムヤも食べているが少し辛いのが苦手なのか、かなりゆっくり食べていた
「辛いの苦手か?イムヤ?」
「そ!そんなこと………ううん、苦手…これぐらいなら行けるけどね!」
「じゃあ、次は辛くない鍋作るからな
それとももう一つ作ってこようか?」
「良いよ!美味しいし、また今度お願い!」
「おう!今度はコラーゲン鍋でも作ろうかな?」
佐渡はそんなことを呟きながら食べているとコタツの布団がもぞもぞと動きイーちゃんが顔を出す
「お、イーちゃん起きた?
もしかして、匂いに釣られたな~?」
佐渡の質問にイーちゃんはコクコクと頷くと膝の上に座り佐渡と共に食事をとる
「ほい、イーちゃんあーん?」
佐渡はキムチ鍋から肉や野菜を取り出すと息を吹き掛け冷ましイーちゃんの口に運ぶ
その運ばれてきた食べ物を食べながら頭を縦に振るう
「お、イーちゃん美味しい?」
「ワン!」
「そうかそうか良かった良かった
まだ食べるかい?」
「ワン!!」
佐渡の質問に元気よく答えると佐渡は自分が食べるのを辞めイーちゃんに食べ物を与えていくとエアが近付いてくる
「にしても不思議よね、何でこんなに懐いてるなんて」
「そうなのか?」
「えぇ、普通の深海棲艦の中で特に駆逐艦は警戒心が高いのよ
どの深海棲艦よりも」
「うん?何故に?」
「それは佐渡様、『駆逐艦』だからだと思いますよ
重巡や軽巡とかと違い彼女達は私達の中で最も低い装甲と火力です
だからこそ、それを最大限に行かすために自らの弱さを理解し戦います
それが結果として警戒心が高く懐かないんです
たとえそれが姫だとしても
私も駆逐艦だけは扱うのが難しいですから……」
ソラがそう説明すると佐渡はイーちゃんを見るがそんな様子は全く無く佐渡から貰うご飯を美味しそうに頬張っている
「……そうなの?」
「そうよ?私だって駆逐艦は多様するけど懐かないのよ
だからその点は本当に羨ましいわ……こんなにマジマジと見れる機会もないしね」
エアはイーちゃんの頭を優しく撫でると気持ち良さそうにしている
「ふーん…でも確かにイーちゃんは初めてあったーーーーー」
「ぬあぁぁぁぁぁ!!!!」
佐渡が話していると突然金剛が両目を押さえながら叫び声を上げるながら苦しんでおり大井とβが心配そうにしている
「おいおい、突然どした?」
「大井様ノキムチスープガ目ニ入ニッラシイ」
「何してんだよ大井……」
「ち!違いますよ!私が食べようとしたら金剛が取った茸が私のスープに落ちてその飛沫が金剛の目に入ったんですよ!!」
「どんな確率だよそれ!!」
「目がぁぁぁぁぁぁ!!!目がぁぁぁぁぁぁ!!!
焼けるぅぅぅ!!焼けるぅぅぅ!!」
「あー落ち着け金剛、大井、βさん金剛を洗面台に
水張って瞳を洗ってやってくれ」
「了解」
「分かりました!
ほら、行きますよ金剛」
「うぅぅぅぅ!!痛い……痛いよぉ…」
金剛は目を押さえながら二人に連れられ居間を後にすると佐渡は溜め息をつく
「大丈夫かよ、金剛は」
「意外と痛いですからね、しかもキムチスープだと辛いですから……」
佐渡の真向かいに座っていた古鷹が苦笑いをしていると隣に座っている長門が一口も食事に手をつけておらず古鷹が心配する
「……長門さん?キムチはお嫌いですか?」
「ん!い、いや!嫌いではないぞ!!」
古鷹に言われ長門は箸を取りキムチ鍋の具材を取ろうとするが
「うぐ!」
突然長門は箸を落とし両腕の筋肉痛が痛みそのままプルプルと震える
「……もしかして、そんなに痛いんですか?」
「………うむ…情けない話だがな…」
「あの程度で苦しむの?情けないわね」
「いや、苦しまないお前が可笑しいよ叢雲」
「ソンナナノ?叢雲様ノ訓練ッテ?」
「大したことないわよ、今度やる?α」
「ヤリタイワ、身体鈍ッテルカモダシ」
「いや、やめーーー」
αのその発言を聞いた瞬間に長門が止めようとするが古鷹が首を横に振るい佐渡はそっと手を合わせる
だが長門が食べれないのを可哀想に思ったのか古鷹が鍋から具材を取ると息を吹き掛け冷ます
「はい、長門さん
あーん?」
「んんん!?い、いやそこまでは悪い!」
「良いから食べなさいよ
古鷹の思いを無下にするつもり?」
叢雲に言われ古鷹を見ると微笑んでおり長門は顔を赤くしながら口を開け具材を食べる
「美味しいですか?」
「…………うむ」
「ふふ、良かったです
次は何を食べたいですか?」
「…………肉団子…が…いい…」
「はい、熱いですから切って一口サイズにしますね?」
古鷹は肉団子を切り分けると息を吹き掛け冷ましていくと再び長門に食べさせていく
「にしても平和だなぁ」
喧嘩も闘争も戦争すら感じさせない小笠原は今日も今日とて平和である
本島では事態が大きく動くとも知らずに
本島、大本営医療施設にて矢矧、朝潮に保護された艦娘
マックスは全身を砲撃を受けボロボロ更に艤装もしばらく動かせないほどに壊され生きているのがやっとだった
「にしても酷い怪我ですね……しかも単艦でここまで来るなんて……」
「えぇ、普通あり得ません
でも飛行場姫の縄張りから来た艦娘ですか……一体この娘はどうやってここまで……」
と大淀がマックスの手を取ろうとした瞬間いきなりマックスが大淀の手を取る
「大淀!!」
「っ!?マックスさん!?
貴女!!」
人口呼吸器を付けているがもう片手でそれを外し無理矢理にでも起き上がるが二人は止めようとする
「マックスさん!駄目です動かないで!!」
「貴女!それ以上動いたら!」
「ーーーーけて」
「え?マックスさん?」
マックスは息も絶え絶えになりながらも苦しそうにだが残り少ない体力を振り絞り大淀と明石に助けを求める
「たす………けて!!…私の……仲間……が…!飛行場……姫…の……泊地……に……捕まっ……てる……の!……お願い!!……レーベを……あの娘を…助けて!!!」
「ま、まさか貴女!?」
「貴女!飛行場姫の泊地から逃げてきたんですか!?
その泊地を知ってるんですか!?」
彼女は、マックスが捕まっていたのは飛行場姫の泊地
そう、彼女が知っていたのは太平洋を支配する姫
歴戦種 飛行場姫 カナの支配する海域を知りその泊地の情報を持ち込んだのだった
これが引き金になったのは言うまでもない
次回
小笠原艦隊改装!
平和だった小笠原に大本営から召集が掛かった
しかも全ての艦娘と言う異例ではあるが佐渡達は向かう
椿の主人が誰か判明しましたね
そう、飛行場姫歴戦種カナ
太平洋を支配し他の海域を守護する化け物です!
因みに椿はかなり重要な立ち位置に居ますのでちょっと今回も伏線を張っていきます!