「提……督?」
「すまなかった、俺のせいだ」
「何で……
謝るのよぉ……」
さっきまで、強気だった大井が完全に弱気になっており、肩で涙を流しながらも小さな声で言う
「大井俺に時間をくれないか?」
「…ぇ?」
泣きながらも、小さく呟くように大井は返事をすると、佐渡は抱き締める力を強める
「俺に任せろ、必ずお前を助ける
嫌いでも良い、今だけは俺を信じろ
ここに誓う、必ずお前をこんな所じゃない
しっかりとした、鎮守府で北上さんに会わせてやるからな!!」
佐渡の言葉を聞いた、大井は安心したのか、それともただ泣き疲れたのかそのまま佐渡に抱き付かれながら寝てしまう
「大井?」
それに気付いた佐渡は、大井を起こさない様に、自分のベッドに寝かせると自分の部屋を片付け、再びあるところに電話をかける
「もしもし、俺だ
悪いな、こんな夜中に……
調べてほしいことがあるんだ」
「んん……ここは…?」
翌朝、大井は佐渡の部屋で起床する
目を擦り、部屋には誰も居ないことを確認しながら、昨日したことを思いだし、顔を赤くする
「わ、私…何て事を!!」
でも、昨日言われたある言葉を思いだし、冷静になる
『俺に任せろ、必ずお前を助ける
今だけは俺を信じろ』
「……何が信じろよ…」
そして、起き上がると机の上に書き置きがあり目を通す
『大井へ
少し、本島に出掛けるから鎮守府での指示は叢雲から聞いてくれ
部屋は俺の部屋でもどこでも使いな
飯は古鷹に頼んでね
By提督』
「何よこれ?」
少しすると、扉がノックされ古鷹が入ってくる
「提督ー……って大井さん?
どうしてここに?」
「えっと……それよりも古鷹さんこれ」
古鷹に、その置き手紙を渡すと古鷹は納得したように頷くと手紙をポケットにしまう
「大井さん、朝ご飯にしましょう
提督は、何となく分かりますから」
その言葉に疑問を感じながら、古鷹の後を追い朝食を取ろうと食堂へと向かう
食堂に付くと、既に叢雲が座っており入った古鷹達の方を向くと机に頭を付けぐったりとする
「古鷹ーあの馬鹿知らない?
何か今日見てないんだけど」
「はい、叢雲」
「んー?」
それを見た叢雲は、「ふーん」と言いながらも食堂を出て携帯を取り出しあるところに電話をかける
古鷹は、静かに厨房に入ると冷蔵庫を開け中の食材を物色する
「ね、ねぇ!提督はどこいったの!?」
大井はカウンターを叩きながら聞くと、古鷹は微笑みながら冷蔵庫から食材を取り出し大井に向く
「本島ですよ、恐らく夜中のうちに向かったんだと思います」
「そんな!!私達を置いて!?
アイツ!!」
騒いでいる大井に近付き古鷹は、カウンターに向かうと大井のデコにコツンっと拳を当てると笑顔になる
「提督を信じましょう
何かあるんですよ」
古鷹はそれだけを、言うと再び厨房の中に入り朝ご飯の支度を始める
それを言われた大井は唖然とするしか無かった
「古鷹、大井
ちょっと良いかしら?」
叢雲が、再び食堂に戻ってくると本日の予定を二人に告げる
「提督は、野暮用で二日間本島に残るそうよ
その間は、哨戒任務は三人で一日一度
以外は特になしだとさ」
「了解」
「わ、分かりました…」
それだけを、言うと古鷹は朝食の準備をし始め叢雲は食器などの準備を始める
何故こんなに冷静なの…?大井はそんなことを思いながらも心を読まれたかの様に叢雲に言われる
「信じなさい、あの馬鹿を
それと、貴女の道をあいつは作ってくれるみたいよ」
「え?それってどういう…」
「叢雲ー!ねぇそっちに醤油ないー?」
「あるわよー」
古鷹のその声に、叢雲は醤油を持って厨房に向かってしまい大井の疑問は残ったままになってしまった
結局その疑問は、その後も聞けず
提督が二日間不在の鎮守府には、特には何も変化もなく襲撃も深海棲艦との戦闘もなく過ぎていった
そして、彼女は生きる道への選択を
再び強いられる