艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

462 / 594
ドレス島攻略作戦 三

 

ここは場面変わって小笠原島

一人の深海棲艦が小笠原の崖に座りながらアイスを頬張っており膝上にはイーちゃんを寝かせていた

 

 

「姫様!こんなところにいらっしゃったのですか!」

 

 

「うん?あぁ、ソラ

どしたの何かあったの?」

 

 

「先程、カナ様からご連絡があって『手出しするな』と言われたのですが……」

 

 

「だから言ったでしょ、アイツ戦いにはかなりプライド高いのよ

それにアイツが負けるとも思えないしね

叢雲達も馬鹿よね~あの程度の数で勝てるほど甘くないのに」

 

 

「ひ、姫様それはどういう意味なのですか?」

 

 

ソラが質問するとエアは微笑みながらアイスを頬張る

 

 

 

「そうね、アイツがあの島と言うより海域を『一人』で守ってると言ったらどうする?」

 

 

 

「ま、まさか!?そんなのあり得ません!」

 

 

「でもアイツはそれを成し遂げている

それが理由よ」

 

 

そしてエアは頬を吊り上げながら笑う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、足掻いて見なさい

姫のエリートは簡単じゃないわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドレス島へと向け走り続ける大連合艦隊は辺りを警戒しながら航行していると後ろから一人の艦娘が叢雲に近付いてくる

 

 

「叢雲さーん!!!」

 

 

「うん?あら青葉じゃない、どうしたのよ?」

 

 

大連合艦隊の後ろに付いてきている緊急修理班の青葉が何故か来ており真っ白な布に巻かれている抱えていた

 

 

「明石さんからなのですが、これを渡しそびれたので渡してくれとの事です!!」

 

 

「明石からの渡し物?」

 

 

叢雲は減速するとそのまま海上で青葉からそれを貰うと布を取っ払い中身を見る

 

 

「………これって薙刀?」

 

 

それは前の艤装を使っていたときに持っていた棒だったのだが先が刃物になっており今の叢雲でも使うことが出来る

 

 

「はい!改装時に預かって居たんですが、今まで改良して作り直していたそうなんです!

貴女は砲撃戦闘も上手いですがどちらかと言うと近接戦闘メインですからね

これが無いとキツいんじゃ無いですか?」

 

 

「……確かにね、でもこれ私使えるの?」

 

 

貰った新しい艤装を叢雲が振り回すと全く違和感もなく軽く素振りが出来るほどではあった

 

 

「大丈夫ですよ!元の素材は貴女の艤装ですから使うことは可能です!

前の物ですと殺傷能力が低かったのでそれに対深海棲艦用の刃を新しく加工しただけですから問題はありませんよ!」

 

 

叢雲はしばらく素振りや使い勝手を調べると微笑みながら艤装にしまう

 

 

「ありがたくもらっておくわ、ありがとね青葉」

 

 

「はい!では頑張ってください!

私は明石さんの警護に戻ります!!」

 

 

そう言うと青葉は敬礼しそのまま後ろへと航行していき叢雲は元の配置に戻ると古鷹がこちらに航行してくる

 

 

「どしたの?叢雲?」

 

 

「うん?あぁ、明石さんから新しい艤装だってこれ」

 

 

叢雲は再び貰った艤装を取り出すと古鷹にその艤装を見せる

 

 

「へぇ………薙刀…見たいだね」

 

 

「えぇ、私には使いやすい武器ね嬉しいわ」

 

 

「だね!なら今回は絶対に勝たないとね!」

 

 

そんな話をしていると金剛が叢雲の側に走ってくる

 

 

「叢雲ーー!叢雲も食べるデースか!?」

 

 

「は?あんた何言って……」

 

 

叢雲が金剛の手にバスケットを持っていることに気付きその中にサンドイッチが入っており驚く

 

 

「はぁ!?あんた何よそれ!!」

 

 

「提督が、ドレス島までかなり距離があるからお腹空いたら困るからって持たせてくれたんデース!

食べますか?」

 

 

「貰うわ!と言うより寄越しなさい!!」

 

 

「古鷹もどうデースか?」

 

 

「いただきます!」

 

 

金剛はバスケットからサンドイッチを取り出すと叢雲と古鷹はサンドイッチを頬張りながらその味を噛み締める

 

 

「んんー!美味しい!卵サンド最高!!」

 

 

「こっちはツナサンド!美味しい!」

 

 

「じゃあ、私はフルーツサンドを……んふふ!美味しいデース!」

 

 

三人はそんなことをやっていると長門と真面目に話していた大井がそれに気付き近付いてくる

 

 

「ちょっと!何してるの三人とも!」

 

 

「司令官特製サンドイッチよ、大井も食べる?」

 

 

「あのね!ここはもう既に飛行場姫のーーー」

 

 

「良いから食べるデース!!」

 

 

大井が注意しようとすると金剛が無理矢理口にサンドイッチを食べさせると大井もゆっくりと噛み締めながら食べる

 

 

「……美味しいです」

 

 

「気を張り過ぎても良くないですよ大井さん」

 

 

古鷹に言われ大井も渋々注意を辞めると口に入れられたサンドイッチを食べていくと叢雲が三つほどサンドイッチを取ると一番先頭に居る長門に近付く

 

 

「ほら、あんたの分よ」

 

 

「ん?……ってお前達何してるんだ!!

ここは作戦海域だぞ!これから飛行場姫と戦うってのに!!」

 

 

「あら?要らない?なら私食べきっちゃうわよ?」

 

 

「要らないとは言ってない!!だがな!!」

 

 

「いただきまー」

 

 

「あぁ!分かった分かった!欲しい!頼むそのサンドイッチをくれ叢雲!!」

 

 

完全に叢雲に手玉に取られている長門であったが無事に叢雲からサンドイッチを貰うと食べながら水平線を睨み付ける

 

 

「………美味しいな、流石だ」

 

 

「まだ距離はあるのよ、少し気を緩めなさい

下手に気を張り続けるともたないわよ」

 

 

「……そうだな」

 

 

長門が美味しそうにサンドイッチを食べているのを見ていた陸奥がそれを見ており叢雲は陸奥に近付く

 

 

「陸奥さんもどうかしら?」

 

 

「あらいいの?じゃあ頂くわ」

 

 

「磯風さんもどう?」

 

 

「頂こう」

 

 

気を張り続けていた艦隊達であったが金剛が持ち込んだサンドイッチで少しは緊張が解れていき無言だった艦隊に少しずつ会話が増えていき交流が始まっていた

 

 

「あ!このサンドイッチ美味しい!」

 

 

「それ美味しそうね!私のと半分交換しない?」

 

 

「相変わらずですね、佐渡提督

またあの人の料理食べたいわ」

 

 

「えー!霧島食べたことあるの!?」

 

 

 

その様子を大本営で佐渡達は聞いていたが微笑ましかった

 

 

「………願うなら戦争が無い世界なんだろうな」

 

 

その話を聞いていた唐澤がふと呟くとそれに続けて猿橋が続けていく

 

 

「…ですな、彼女達はこんな戦争に関わらせずに平和に過ごしていって欲しいですからね」

 

 

「その為に戦うってのも可笑しいけどな……」

 

 

「本当、戦争が無ければ普通に生きられたはずなのにね」

 

 

そんなことを猿橋達が話しているとその後ろで東雲が拳を握り締めていることに佐渡は気付いたが何故かは分からなかった

 

 

「だが、ここまで順調だとはな

やはり大規模攻撃の為に戦力を溜め込んでいるのか奴等は」

 

 

「ガッハッハッハ!!だが今回の奇襲が成功すればそれを削ることが出来る!!

成功してほしいものだな!!!」

 

 

他の提督達が話しているのを見て佐渡は海図を見ているがやはり引っ掛かっているのが分からず投げ出すと椅子にもたれ掛かる

(だめだこりゃ、さっぱり分からん

…気のせいって事にしとくか)

 

 

 

少し緊張が解れた連合艦隊では各々が話し始めたりしていたが空母や重巡達は全く敵を見付けられずにおり少し拍子抜けしていた

 

 

「にしても長門も変わったわよね」

 

 

「む?そうか?」

 

 

突然陸奥に言われると長門は仁王立ちしていたが体制を崩し陸奥と話を始める

 

 

「だって、前なら問答無用で艦隊での私語を怒ってたじゃないの?

でも今はそんなことないじゃない、私とも話してくれるし?」

 

 

「……そうだな、あの鎮守府に行って大分変えられてしまったな」

 

 

「でもいい方向にだから良いんじゃない?」

 

 

「そうだな、あの鎮守府では毎日が楽しいぞ

陸奥も今度来るか?いつも騒ぎやハプニングがあるからな退屈はしないさ

戦場に居るよりもな」

 

 

「あら、それは是非とも行ってみたいわ」

 

 

二人は雑談していると後ろから一人の艦娘が近付いてくると長門に膝カックンしてくる

 

 

「くらえ!長門さん!!」

 

 

「うぉ!?って何だ鈴谷か、いつも言うがいきなりはよせビックリするだろうが」

 

 

「アハハ!だって驚かせる為にやってるんだよー?でも今日は怒号飛ばしてこないね?どしたの?」

 

 

 

「なぁに、今日は機嫌が良いだけだ

次回は無いからな」

 

 

 

「えぇー!いつも機嫌良くしてよー!長門さんからかうの楽しいんだもん!」

 

 

鈴谷と長門は仲良く話していると後ろからもう一人走ってくると鈴谷にチョップをくらわせる

 

 

「鈴谷ぁ!また貴女は長門さんにちょっかい出してますの!!アチョー!」

 

 

「いったぁ!!ちょっと熊野!何するのさ!!」 

 

 

「問答無用ですわ!ごめんさい、長門さん鈴谷がご迷惑を」

 

 

「ハハ、構わないさ

戦闘中じゃなければ問題ない」

 

 

長門が笑って許していると熊野は驚いた表情をしていると鈴谷が少し前に出る

 

 

「おいおい、鈴谷私より前に出るんじゃない」

 

 

「いーじゃん!どうせなーんにも居ないんだしさ!

うちの索敵には全く引っ掛かってないしー!」

 

 

「鈴谷!!」

 

 

「ふふ、鈴谷は相変わらずね」

 

 

熊野が悪態を付きながら鈴谷に駆け寄ろうとすると鈴谷は前を向いて逃げようとする

 

 

「うわー!熊野が来る!逃げなきゃ!」

 

 

「待ちなさい鈴ーーー」

 

 

 

その瞬間、瞬きをする本当のコマ一瞬全員は突然の轟音に驚きその音がする場所に視線が集中する

何かが破壊される音、だがそれでもかなりの轟音に全員目を疑う

辺りには何の索敵にも引っ掛かっておらず何も居ない海域

確かに油断はしていたのかもしれない

だがそれでも誰がこんなことを予想出来ただろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、忘れてはいけなかった

ここは姫が支配する海

全ての深海棲艦の個体の頂点に立つ化け物姫

飛行場姫歴選種 カナの支配し続けていた海

誰も攻略出来ず、誰も手を出せなかった危険な海域

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼女達は嫌でも理解させられる

自分達がどんな化け物と対峙させられているのかを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音の主は長門より先頭を航行していた鈴谷だった

彼女は何者かの砲撃を直に受け熊野達の目の前で爆発したのだ

飛び散る服と真っ赤な血、そして破壊された艤装の破片や熱によりねじ曲げられた主砲

一瞬時がゆっくりと動く感覚と共に熊野が叫ぶ

 

 

 

「す、す、鈴谷ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 




次回

化け物が支配する海

突然の轟音と爆発音に全員は厳戒体制を取る
何も居ない海、辺りには敵影すら見えない海 
何にやられたかも分からない状態で長門達大混乱に陥る


資材が底をついたので回復中~
E3ー1は突破!後はギミックとボスかぁ……
陸上めんどくさい!!



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。