艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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ドレス島攻略作戦 四

「全艦!!急停止!!!

敵艦による!!攻撃確認!!!警戒を厳とせよ!!」

 

 

突然爆発した鈴谷はゆっくりと黒煙を吐きながら倒れていく

それを確認した長門は連合艦隊を全艦急停止し辺りを警戒させる

それと同時に長門と陸奥、そして熊野が倒れた鈴谷に走りだし長門と陸奥は鈴谷を庇うように前に立つ

 

 

「鈴谷!鈴谷!!しっかりしてくださいませ!鈴谷!!」

 

 

「赤城!!敵艦より砲撃を確認!辺りはどうだ!?」

 

 

『駄目です!何も見えません!!』

 

 

「嘘をつくな!鈴谷が砲撃を受けたんだぞ!!本当に偵察してるのか!?」

 

 

『しています!!それでも辺りには何も居ません!!』

 

 

「利根!!そっちは!?」

 

 

『こっちもじゃ!筑摩や他の重巡に聞いとるが全く敵影何てのは見えないぞ!!』

 

 

長門が辺りを見るにも敵影も全く見えない

確かに近くからは砲撃音は聞こえなかった、聞こえたのは鈴谷に着弾した爆発音

 

 

「鈴谷!お願いです!目を覚ましてくださいませ!」

 

 

「熊野ちゃん!鈴谷ちゃんの容態は!?」

 

 

「……大破です!…それも主砲もカタパルトも全て破壊されています…航行不能です……」

 

 

「馬鹿な!?そんなわけあるか!そんな火力の兵器が音もなく砲撃してきたと言うのか!?」

 

 

長門が鈴谷を見ると鈴谷の艤装は熱で焼け焦げ身体も腹部にその砲撃が着弾したらしく丸く円を書くように焼けている

カタパルトも熱でへし折れ服はほとんど無いような状態だった

脚にある航行用の艤装すら破壊され鈴谷は意識を失いボロボロになりぐったりとしていた

 

 

『長門!どうした!何があった!

先程鈴谷のインカムから轟音が鳴り響いたぞ!!』

 

 

「……提督、攻撃だ

正体不明の敵から我々は攻撃を受けている」

 

 

長門の発言に大本営に居る提督達は混乱し狼狽えるが唐澤は冷静に状況を把握しようとする

 

 

「敵は見えるのか!幾つだ!鈴谷の状態は!?」

 

 

『……周囲に敵は見えない、鈴谷は大破、航行不能の意識不明だ…』

 

 

「馬鹿な!一体何でやられたんだ!?」

 

 

『分からない…だが鈴谷を後ろに下げ緊急修理班に連絡し修理してもらう!』

 

 

 

唐澤の声に長門は冷静になるが現在の戦場では全ての艦娘が混乱していた

突然の砲撃、しかも一撃で鈴谷の装甲を意図も容易く撃ち抜き大破させる何かに狼狽えていた

 

 

「おい!佐渡!これって!!」

 

 

「同じだ……この報告書と同じだ!!!」

 

 

佐渡の声に全員の目が集中すると斎藤が佐渡の胸ぐらを掴む

 

 

「どういうことだ!貴様!!」

 

 

「斎藤さん辞めてください!これを見てくれよ!!」

 

 

猿橋が斎藤を宥めると斎藤は報告書を確認すると目を丸くしながら震える

 

 

「……馬鹿な…これは……あの男の……

だがこれは!!」

 

 

「疑うのは分かります、ですがこの報告書に嘘はありません

これが真実です、奴等は何かで鈴谷さんを撃ち抜いたんです」

 

 

佐渡はそれだけを言うとグラーフに指示を出す

 

 

「グラーフ、艦載機の索敵範囲を広げられるか?」

 

 

『可能だ、どれぐらい広げれば良い?』

 

 

「出来るギリギリまでだ!近辺にステルスが居る場合その後ろに何体か居るはずだ!

いくらステルスでも一人で配置するわけがない!」

 

 

『了解した』

 

 

そして、グラーフは全艦載機を使い周辺を索敵する

限界までその範囲を広げるとおおよそ50キロ圏内を全て索敵するが

 

 

『……アトミラール…何もない

潜水艦も戦艦も何にも居ない……

ただ広い海だけだ』

 

 

「……そうか…どういうことなんだ……」

 

 

「佐渡!どういうことだよ!!」

 

 

猿橋が佐渡にくって掛かるが佐渡は冷静に事を理解し説明する

 

 

「もし、撃ってきた相手がステルスならそのステルス能力をある深海棲艦を配置しステルス能力を持ったものが撹乱、もしくは殲滅しそれに加え辺りから艦隊を潰せば簡単でしょ?

それでもない……何だ…何が…」

 

 

佐渡は今まで聞いてきた見てきた単語や話を頭の中で何度も思いだす

 

 

(広大な海を支配する飛行場姫

それ以外の姫や固定配置されているのは確認されていない

そして、今の攻撃とエアが今回介入しない理由……

ステルスじゃない、だが攻撃を受けた……待てよ)

 

 

「……何で俺達は攻撃を受けたんだ…」

 

 

「は?何言ってるんだよ佐渡、それは敵に見付かってーーーー」

 

 

「だからだよ!!何で辺り一体に深海棲艦の影すら見えなかったのに!潜水艦すら!!」

 

 

「っ!?ま、まさか!俺達の中に密告者が居るって言いたいのか!?」

 

 

猿橋の言葉に更に場が混乱するが佐渡はそれよりもお構いなしに海図とその報告書を照らし合わせる

 

 

「長門!!今お前は何処にいるんだ!?」

 

 

『さ、佐渡提督か?今……何処なんだ、赤城』

 

 

『え、えっと……ここは…』

 

 

「違う!今!『ドレス島からどのくらい離れてる!?』」

 

 

『……えっとドレス島まで残り500キロを切っていますが…それが?』

 

 

「猿橋さん!この報告書の攻撃を受けた地点はどこでしたっけ!?」

 

 

「え?あ、あぁ……確かここらへんだっけかな?」

 

 

猿橋が指差した所に佐渡はマジックペンで丸く表記すると近くに持ってきていた長めの定規で距離を図る

 

 

「………まさか…嫌あり得ない…だがそれしかない…だが、まさか…」

 

 

佐渡はそれだけで飛行場姫の正体を知ると背筋を凍らせ急いでインカムに伝言を伝える

 

 

「長門!!今から全速力でドレス島へ迎え!!!

『全滅する前に』!!!」

 

 

『な!何を言っているんだ!?今私達はーーー』

 

 

「良いから急げ!!お前はその大連合艦隊を壊滅させたいのか!!」

 

 

佐渡の焦りが通じたのか長門はその指示に従う

 

 

 

『っ!分かった従う!全艦隊!!抜錨!!!

全艦!全速力でドレス島を目指せ!!』

 

 

「佐渡提督!何のつもりだ!!

そんなことさせて近くに敵が居たら!!」

 

 

長門へ無理矢理指示を出したことで唐澤が佐渡に食って掛かる

 

 

 

「……居ませんよ、奴は飛行場姫は『長門達が出撃するのを最初から』見てたんですよ」

 

 

「ど、どういう事なの!佐渡君!!」

 

 

佐渡は唐澤達を自分の開いた海図と報告書を見せながら順に説明していく

 

 

「今回砲撃を受けた地点はドレス島から500キロの地点

そして、次にこれは報告書が受けたとされる砲撃地点

そのおおよその位置はドレス島から500キロの海上」

 

 

「そ、そんなのただの偶然だ!!」

 

 

「ですが、可笑しくありませんか

何故飛行場姫は他の姫や鬼に頼らずにこの海域を支配しているのか

そして、海域を攻略しようとすると戦艦艦隊やツ級艦隊を送り込めるのか」

 

 

「……何が言いたいんだ、佐渡」

 

 

深く深呼吸をすると佐渡は最悪な予想結果を伝えていくそして、エアに言われた一言を思い出す

 

 

 

 

 

『常識を捨てなさい、常識に囚われていたら勝てないわよ』

 

 

(……確かにな、こんなのあり得ねぇ

現代の兵器でも実現不可能だっての

『両方ともな』)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……奴には『太平洋全域が見えているですよ』

だから今回の我々の作戦は最初から破断していた

何せ奴はずっと自分の泊地から長門達の出撃を見ていたのだから

そして今鈴谷さんを砲撃したのは『自分の艤装射程距離に入ったから』です」

 

 

その言葉に提督一同が絶句した

あり得ないと言う言葉すら出せずに今自分達が行かせている敵が何なのかを知ってしまったのだ

 

 

「じゃ、じゃあ奴は…飛行場姫は!?」

 

 

「……えぇ、奴は飛行場姫歴戦種は…自分の泊地から既に長門達を捉え砲撃を開始している!!

撃ったのは長門達を足止めし数を減らすため!!奴はかなり危険過ぎる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門達が全速力で航行する中ドレス島の海岸ではカナは自らの艤装から見える必死な長門達を見ながら巨大な砲身を動かし再び照準を長門達へと構える

 

 

 

「フフフ……ここにたどり着けるかしら?

全滅する前に……

 

 

 

 

 

 

 

    残り46艦ね」

 

 

 

 

 

 

 





次回

走れ走れ走れ!!


カナの謎を解き明かした佐渡は長門達に全速力でドレス島へと向かわせる
その間にもカナは主砲を構え長門達を一人ずつ確実に潰していく

カナの艤装ですが完全なオリジナル兵器となります
例えるならドイツの兵器80センチ列車砲を飛行場姫の左肩に装備させた感じですかね!
詳しくはいつか書いていきたいと思います


イベントでラスダンまで行きましたがめっちゃ遠い……
流石は夏イベ…



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