艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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支配者 三

カナの遠距離砲撃により連合艦隊は恐怖と不安に支配されており長門や他の旗艦達は何とかしようとするのだが全く上手くいく気配がない

 

 

「み、満潮ちゃん頑張ろうよ!

だって私達じゃないと飛行場姫を倒せないんだよ!」

 

 

「阿武隈さん、私は確かに貴女には従いたいです

でもこんな!一方的にやられているのに勝てるわけないですよ!!

私達!まだたどり着けてすら居ないんですよ!?」

 

 

「でも、そうかも知れないわね

こんな状態で戦えるとも思えないわ」

 

 

「ちょ!ちょっと山城!そんな弱気にならないでよ!」

 

 

「嫌だって分かるでしょ?

このまま、進んでも飛行場姫の的になるだけよ

摩耶であれなのよ、私なんて不幸だからあんなのくらったら………

何でこうなるかしら…不幸だわ……」

 

 

「お前達!!何を弱気なーーー」

 

 

混乱する連合艦隊を長門が宥めようとすると一人の艦娘が艤装から空に向けて空撃ちをする

皆の視線がその一人に向けられ視線が集まる

 

 

「………雷撃姫」

 

 

「叢雲……」

 

 

叢雲は呆れたように溜め息を付くと艤装を再び下ろし連合艦隊を見渡す

 

 

「……残り39人ね、戦力としては充分じゃない

私はそう思うけど」

 

 

「いや!どうみても無理だよ!

今僕達は砲撃を受け続けてるんだよ!たどり着けてすら居ないのに!」

 

 

「それが?」

 

 

「それがって!」

 

 

最上が反論しようとすると叢雲が最上に向けて指を指す

 

 

「あんた、何言ってるの?

これは戦争よ、私達とあいつらの奪い合い

そんな状況に正々堂々なんてあると思ってるの?

あんた達私より出撃経験がある熟練者よね?

ならなんでこの程度の状態で狼狽えてるわけ?」

 

 

「で、でも!だからってこんなに酷い状態じゃ!」

 

 

「酷い?じゃあ何あんたは自分の仲間が傷付かないで安全に敵地にたどり着いて戦って皆で笑って勝つの?

何それふざけてるの?お遊戯じゃないのよこれは戦争

命の奪い合い、劣勢も損失も当たり前でしょ?」

 

 

叢雲が言うことは最もでもある

だがそれでも何人かは叢雲へ反論していく

 

 

「そうとは言ってないわ!でもね!ここまで酷い有り様で勝てると思ってるの!あんたは!!」

 

 

「勝てると思ってる?違うわね『勝つのよ』

何がなんでも足が折れようとも骨が砕けようとも艤装が壊れようとも足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて勝つのよ!!

あんたは!そんなことも分からないの!?」

 

 

「相手は歴戦種よ!こんな少ない戦力で勝てるわけないわ!!」

 

 

「所詮命ある一体よ!相手が歴戦種だろうが何だろうが関係ない!!私達は戦わなくていけない!!

あんた達は!あんた達の提督に託されたんじゃないの!?」

 

 

叢雲の言葉が連合艦隊の艦娘達の心に染み渡る

自分達が見てきた提督や頼まれた言葉を託された思いを

 

 

「うちの馬鹿司令官はいつも言ってるわ!

『俺に力があれば俺が戦う』って!『お前なんか小娘に戦場を任せるなんてやりたくない』って!!

それでもアイツは私達に思いを!戦いたいと言う意志を託してくれた!!

あんた達はそれを放棄して逃げ出すの!?

私達が逃げたら誰が司令官達を守る事が出来るの!?

誰よ!答えてみろ!!」

 

 

その言葉に全員が沈黙してしまう

だが、叢雲は続ける

 

 

「私達にはアイツらを倒せる力がある!それなら私達は司令官達の変わりに戦うべきじゃないの!?

違う!ねぇ!!」

 

 

続けて言われるが誰も叢雲に反論できなくなっていると呆れたように連合艦隊に背を向ける

 

 

「逃げたい奴は逃げなさい

そんな状態で無理に戦っても邪魔なだけよ

そんな奴等今はいらない」

 

 

その言葉と共に一人単身で飛行場姫が待つドレス島へと航行してしまいその後ろを古鷹は追いかけようとする

 

 

「ふ、古鷹さん……」

 

 

「私も行くよ、私達は提督に託されたの

あの人だって戦いたいのに戦えない

だから、私達が代わりに戦いの

別に無理して来なくても良いんだよ?私達が囮になるからその間に皆は本島での防衛を強化しておいて?」

 

 

古鷹は叢雲の後を追い掛けていくとそれに続けて大井とグラーフも追い掛けていく

 

 

「お、大井っちも行くの?」

 

 

「えぇ、私の出来ることは少ないかも知れません

ですが私は戦いたいんです

提督の為では無いですよ?私がただ戦いたいんです

それにいつか倒すべき敵です、それが後か今かですからね

北上さんは逃げてください、付き合う必要はありませんから」

 

 

「グラーフさん!貴女もなんですか!?」

 

 

「あぁ、飛行場姫は艦載機を使うんだろ?

なら制空権を取るために私は必ず行かないとな

それに叢雲が行くなら我々は何処までも付き合うさ

例え勝てなくても絶望しようともな」

 

 

 

叢雲達が行った後後ろから金剛と熊野がこちらに向かってくる

 

 

「あれー?皆何してるデース?」

 

 

「あ……お姉さま…えっと……」

 

 

榛名が現在の状況を説明すると頷き金剛は迷わず笑み浮かべる

 

 

「そうデースか、分かりました!

榛名!霧島!比叡!下がっても良いんデースよ?」

 

 

「お、お姉さまは?」

 

 

「もちろん行きマースよ、叢雲達だけじゃ火力が足りないデースし何処までも付き合うって決めてマースから!」

 

 

「で、ですがお姉様相手は歴戦の姫、それに我々はもうここまでボロボロに……」

 

 

「それが何デースか?」

 

 

「「「え?」」」

 

 

榛名達は現状を伝えたはずなのだが金剛はニカッと笑う

 

 

「私は!まだ負けてないんデース!

確かに戦況は良くないかも知れません!

もしかしたら負けるかも知れません!

それでも、私は負けたくないんデース!

飛行場姫にすら会えてないんですよ?なら一撃でも私の攻撃を与えてから撤退したいんデース!」

 

 

「お姉さま……」

 

 

「それに!」

 

 

金剛は榛名達を指差すとウィンクをし笑う

 

 

「ここで撤退したら私達は何のためにここに来たんですか?

私達には守るべき物があるんじゃない?」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

「じゃあ!私は先に行ってるデースよ!

叢雲ー!待ってくださーい!!」

 

 

金剛はそれだけを言うと全速力で叢雲を追いかけていきその言葉に長門はクスッと笑う

 

 

「ふふ、流石だな小笠原鎮守府

どんな逆境も乗り越えてきた事はある

陸奥、磯風、利根、赤城、リシュリュー

お前達はどうする?」

 

 

「あら?そんな野暮を聞くの?長門?」

 

 

「勿論行くさ、必ず勝ってみせる」

 

 

「うむ、ワシもじゃ!筑摩を傷付けた礼をしてやるぞ!!」

 

 

「愚問ですね、私は始めから覚悟はしてきてます」

 

 

「ぶっ潰してやりましょ!

アドミラルに勝利を!!」

 

 

長門は頷くと連合艦隊に指示を出す

 

 

「連合艦隊!我々、舞鶴は飛行場姫殲滅に向かう!!

お前達が付いてくるから自由だ!これ以上被害を増やしたくないなら下がって良い!私から大元帥に進言しておこう!

 

下がらず戦うと言う者は覚悟しろ!!

奴は我々が想像する以上の化け物だ!!死を覚悟し我々に付いてこい!!!

行くぞ!!舞鶴艦隊!」

 

 

長門はそれだけを言うと陸奥達と共に先を先行する叢雲達に向かっていく

残された者達は一人一人考え込むがそのうちの一人が前に出る

 

 

「や、大和さん…」

 

 

「私は、自らこの戦いに志願しました

それは提督の為皆を守りたいからです

榛名さん、貴女は違いますか?」

 

 

「…………違いません、私は提督を大好きな鎮守府を守りたいんです!!」

 

 

「ならやることは決まってますよね?」

 

 

「はい!皆はどうですか!?」

 

 

「無論ですね、私は戦いますよ」

 

 

「行かないわけ無いでしょ、このままやられっぱなしのは嫌いなのよ」

 

 

「うん、僕も行くよ!夕立の分まで戦うんだ!!」

 

 

「比叡お姉さま!霧島!榛名は先に行きます!!」

 

 

大和に背中を押され榛名率いる横須賀艦隊も先行する叢雲達を全速力で追い掛ける

 

 

「……榛名も行っちゃったかーじゃあ私も行かないとね!北上さんは!?」

 

 

「比叡ー?誰に行ってるさ行くに決まってんじゃん?

あんなに突っ走ってる大井っちを見て行かないわけ無いでしょ?」

 

 

「皆馬鹿じゃないの!?行っても勝てっこ無いのよ!!

し、沈むかも知れないのよ!?」

 

 

「でもそれって『かも』でしょ?沈むって決まって無いよね~?

それに足柄と吹雪をやってくれたお礼もしてあげないと行けないしね

蒼龍はどすんの?」

 

 

「うーん……怖いけど行くよ!だって提督と皆の鎮守府を守りたいんだもん!!」

 

 

「だってさ、霞良いよ下がりなよ

私達は行く、アイツを仲間を傷付けた飛行場姫を粉々にするんだから

行くよ、二人とも」

 

 

「め、珍しく怒ってるね北上さん……

よし!じゃあ、気合い!入れて!行きます!!」

 

 

「航空戦は任せてよね!!」

 

 

北上は少し怒っており比叡と蒼龍は苦笑いをしながらも三人は叢雲達を追っていく

一人残された霞は頭をガシガシと掻くと大声で叫ぶ

 

 

「あー!!もう!馬鹿ばっかり!!!

それでもたまには馬鹿になってみるのも良いかもね!!」

 

 

そう叫ぶと霞も北上達の後ろを付いていくように走っていくと霧島は眼鏡を掛け直すと一人前に出る

 

 

「さてと、では私も行きますか

阿武隈、どうしますか?私は行きますが?」

 

 

「何言ってるの霧島さん!やるに決まってるじゃないですか!

多良間島の二の舞にはさせないよ!」

 

 

「流石阿武隈ね、皆は?」

 

 

「馬鹿ね!行くに決まってるでしょ!

叢雲が行くのよ、私達だけ逃げる訳には行かないわ!!」

 

 

「そうですね、行きましょう!」

 

 

「空襲では少しやられましたがこの程度平気です!

行きましょう!」

 

 

皆が行くと決めた中満潮だけは俯いており阿武隈はそんな満潮の頭を優しく撫でる

 

 

「満潮ちゃん、もし怖かったら下がっても良いよ?

ここからは私達だけでいくから」

 

 

「………下がれるわけ…無いでしょ!

良いわ!戦ってやるわよ!!あの時見たいに何てしてたまるもんか!!」

 

 

「それでこそ満潮ね!じゃあ行くわよ!」

 

 

沖縄艦隊は全員行くことを決めると今度は不知火が前に出る

 

 

「私達も行きますよ

古鷹さんが行ってるのです私達も行くべきです」

 

 

「そうだな、私達も行かなくては勝てるものも勝てなくなる

木曾、下がっても良いんだぞ?」

 

 

「い、行くさ!!舐めんなよ!」

 

 

「相手は飛行場姫、対空戦なら得意分野です!」

 

 

「夜戦じゃないかも知れないけどぶっ潰そう!!」

 

 

「では、佐世保艦隊!抜錨します!!」

 

 

佐世保艦隊も覚悟を決め飛行場姫へと向かっていく中神通は一人前に進もうとすると飛龍が止めようとする

 

 

「ちょっと本気?神通そんな傷で?」

 

 

「本気です……私は奴と戦います必ず勝って提督に……」

 

 

その必死な姿を見て山城は溜め息を付くと神通を持ち上げると後ろに下がろうとする

 

 

「お!おろしてください!私は前に!!」

 

 

「そんな、状態で行ったとして勝てるものも勝てないわよ

ほら明石さんに直してもらうわよ

…………飛行場姫を倒すんでしょ?直ったら私も行く」

 

 

「…!山城!」

 

 

「飛龍、任せても良いかしら?艦隊指揮

私はこの特攻しそうな旗艦を治して貰ってから行くから」

 

 

「オッケー!任せておいて、それまで皆は私が守るからね!!

じゃあ熊野行こうか!!」

 

 

「えぇ!鈴谷の仇をうたせて頂きますわ!!」

 

 

「じゃあ、後で落ち合いましょ

ほら行くわよ旗艦様

……全く不幸だわ…」

 

 

飛龍と熊野は前に向かい山城は神通を抱え後ろへと下がっていく中残された大奏艦隊

 

 

「……私は行く、皆はどうする?」

 

 

「私も行きますよ、軽空母ですがやられっぱなしは嫌ですから」

 

 

「私も行くわ!居ないと航空戦キツいでしょ?」

 

 

 

祥鳳と飛鷹が前に行くことを決めるとガングートは残っている二人を尻目に前に行こうとする

 

 

「本当に行く気かい!?戦力も分からない化け物相手に!!」

 

 

「そ、そうだよ!勝てるわけないよ!」

 

 

説得をしようとするがガングートはその二人を見ると一言だけ言う

 

 

「私達は行く、お前達は好きにしろ

だが私はもう逃げたくないんだ

白鳥に支配され抵抗する気力を奪われていたあの時に戻りたくない

私は、あの男が直してくれた居場所を守りたいんだ

それを失いたいなら好きにしろ」

 

 

それだけを言うとガングートは二人を残し前に進んでいく

二人だけ残されていたが最上は深く溜め息を付くと前に踏み出す

 

 

「も、最上さん!?行くんですか!」

 

 

「まぁね、確かに一理あるしね

僕も新しく来た提督の為に何かお礼がしたいからね

あの人優しいし面白いし僕達を第一に考えてくれてる

それなら僕達はあの人の為に戦うことは恩返し何じゃないかな?

羽黒はどうする?」

 

 

「わ、私は………」

 

 

羽黒は最上に言われて考え込む

それでもやはり飛行場姫の攻撃が恐ろしすぎて戦いたいとは思えないが最上がトドメの一言を告げる

 

 

「『君はまた見捨てるのかい、イムヤの時見たいに』」

 

 

「!!!!」

 

 

「じゃあ、僕は行くよ

ガングートにも恩があるしね」

 

 

最上はそれだけを言うと一人ガングート達を追い掛けていく

一人羽黒だけ海上に残っていると拳を握り締める

 

 

「………やだ、私は…もう見捨てたくないよ!!」

 

 

決意を固めた羽黒は前を向き先を走っていく最上を追い掛けていく

 

 

 




次回

銃撃の雨(バレットレイン)を抜けて


各々再度覚悟を決めて飛行場姫と戦う覚悟を決めた
そして彼女達は太平洋海域を抜けてたどり着く
深海棲艦の中でも最強と呼ばれる三体のうちの一体
飛行場姫歴戦種カナの泊地へと


E3のボスがかってぇ!!
と言うか集積も居るのマジ辞めてほしいんだけど……
可笑しいな…装甲粉砕ギミックやったはずなのにクリア出来ない……
なにこれ辛い今回のイベント……




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