艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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開戦 六

「くた……ばれ!!」

 

 

長門は痛む身体で砲を構えカナに向けて放って行くのだが

 

 

「アハハハ!効くわけないでしょ!防御壁!!

からの六番スロットに変更!!

斬裂(ショット)弾!!」

 

 

「ぐ!避けなくては!!」

 

 

長門が放った砲撃は防御壁に防がれそれに反抗するようにカナは斬裂弾を放ってくる

カナの砲撃を避けようと思い切り横に走り抜けようとするが砲弾は長門の目の前爆発し再び長門の身体を傷付けていく

 

 

「避けられるわけないでしょうが!!馬鹿じゃないの!?」

 

 

「ぐぅ!!……く、くそ…」

 

 

 

長門は単身でカナに挑んでは居たもののやはりかなりキツいものがあった

自分の砲撃は艤装による防御壁で無効化され向こうの砲撃は直撃する

まさに一方的であり勝算の見えない戦いを行っていた

 

 

「諦めないわねぇ?それが、正義の戦艦なのかしら?」

 

 

「だま……れ!!…ぐぅ……」

 

 

カナの砲弾には幾つかの種類がありそれを細かに使い分けることによって長門の頭は少し混乱していた

範囲攻撃の五番スロット流星群(メテオ)

近距離攻撃の六番スロット斬裂(ショット)

連続して撃てる四番スロット

一撃で大和ですら大破させる一番スロット

一発で艦載機を落とす三番スロット六式弾

 

どれもかなり強力であり長門だけではキツいものがあった

それに加えカナの艤装に付けられている可動式の防御壁

長門の砲弾を物ともせず傷すら付かない

 

 

「これが……歴戦種…か!!

化け物め!!」

 

 

「アハハハ!あんた達が弱すぎるだけでしょ!

本気でやってるつもりなの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!こいつ何なんデースか!?」

 

 

「嘘でしょ!私の砲撃全部交わされた!?」

 

 

「このぉ!!」

 

 

「遅い遅い!やはり戦艦クラスはこの程度の速度ですか!!」

 

 

長門がカナと対峙する中、椿は金剛達三人を普通に相手取りながら軽々とあしらいながら笑っていた

金剛達が混乱しているのは椿の機動力であり三人の砲撃を簡単に交わしながら自分の砲撃は的確に命中させていることである

 

 

「大井!ちょっと早いですがやりましょう!!」

 

 

「そうね……こいつに出し惜しみしても仕方無い!!」

 

 

「ふむふむ?何かするんですかね?」

 

 

金剛と大井がアイコンタクトを取ると二人は椿に向けて走り出す

 

 

「ハハハハハ!!まぁた同じ奴ですか!効くと思ってるんですか!!」

 

 

椿が二人に向けて主砲を構えるとそれを防ごうと日向が狙い撃ちをするが

 

 

「アハハハ!当たりませんよぉ!!

貴女の砲撃何てのは!!」

 

 

「クソ!こ、こいつ!!」

 

 

椿はそれを軽々と避けると二人に向けて砲撃をし二人は爆煙に包まれるが二人はそれを突っ切り椿に向かう

 

 

「おっと?これは予想外」

 

 

「食らうデース!!」

 

 

金剛は自らの主砲を椿の足下に撃ち込み目眩ましをした後大井が回り込む

 

 

「ほほう?新技ですかね?」

 

 

「随分と余裕ね!!」

 

 

回り込んだ大井が主砲を椿に構え砲撃するがそれを軽々と交わしニヤリと笑う

 

 

「まっさか、この程度ーーー」

 

 

と話している最中にいつの間にか放っていた大井の雷撃が椿に命中しそのままよろける

 

 

「ぐ……いつの間に雷撃を……」

 

 

「まだまだぁ!!行くデースよぉぉぉぁ!!」

 

 

次に金剛が逆側から殴りかかると椿は主砲を動かし何とかその拳を防ぐが思い切り殴られ体制を崩す

 

 

「くたばるデース!!」

 

 

「あ、これは避けられませんねぇ」

 

 

その瞬間椿は金剛の主砲が着弾し爆煙に包まれると大井が駄目押しに雷撃と主砲を放ち更に大爆発を起こす

 

 

「よっし!やりまーした!!」

 

 

「これでかなり削れたわね!」 

 

 

「凄いな……何だあのコンボ技は…」

 

 

金剛と大井がコンボ技を命中させはいタッチして喜び日向がその光景を唖然としながら見ていた

だが

 

 

「フフフフフ!!!これはこれはこれはこれは!!!

楽しいですねぇ!新しいですねぇ!!

戦艦と雷巡だからこそできるコンボですかぁ!!

あぁ!あぁ!なんてなんてなんて痛いのでしょうかぁ!!」

 

 

その声に二人は喜んでいたが再び椿に向き直ると爆煙の中両手と艤装を少し凹ませた椿が笑っていた

 

 

「ば、馬鹿な!あのコンボでも生きてるのか!?」

 

 

「……何て耐久デースか、あいつ」

 

 

「流石は叢雲と古鷹が苦戦してただけはあるわ」

 

 

「アハハハハハハハ!!

アッハッハッハ!!!あぁ!あぁ!新しい!初めて見ましたよぉおぉ!!

痛い痛い痛い痛いですが、楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい!!!

これだから戦いは辞められないんですよねぇ!!

私達を殺すための技を私にぶつけてくる!

その痛み!苦しみ!熱!相手の殺意!!

心地いい!!あぁ!心地いいですよぉ!!」

 

 

爆煙が晴れた中椿は狂気染みた笑い方をしていると金剛達を見ながら笑っている

 

 

「さぁ!さぁ!次は!次は何を見せてくれるんですかぁ!?

私を殺すための技を!熱を!痛みを見せてくださいよぉぉぉぉぉ

アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!」

 

 

「金剛!もう一度行くわよ!!」

 

 

「了解デース!!」

 

 

金剛と大井は再び椿に同じ様に攻撃を仕掛けようとすると

 

 

「あっれぇ?可笑しいですねぇ?

それはさっきもやりましたよねぇ!!!」

 

 

すると椿は走り出すが金剛が再び椿の足下に砲撃をし目眩ましをするのだが

 

 

「馬鹿ですねぇ!!そこに居るのは分かってるんですよぉ!!!」

 

 

椿は目眩ましを物ともせずに水飛沫の中金剛の艤装を掴む

 

 

「なっ!嘘!!」

 

 

「それと貴女はそこですかねぇ!?」

 

 

そしてそのまま金剛の艤装を軽く持ち上げるとそのまま回り込んでいる大井に投げ付ける

 

 

「キャアァァァァァァァァァ!!」

 

 

「金剛!?」

 

 

大井は投げ付けられた金剛を慌てて掴むとその間に椿が大井達との距離を摘める

 

 

「させるか!!」

 

 

だがそれを防ごうと日向が狙い撃ちするのだがやはり

 

 

「当たるわけないでしょう!?学習しなさいよぉぉ!!」

 

 

椿は軽々と避けるとそのまま大井達に詰め寄る

 

 

「いてて……大井大丈夫デースか?」

 

 

「えぇ、私は大丈夫……ってちょっと!?」

 

 

その瞬間椿は二人の足と艤装を片手で掴むと簡単に持ち上げると二人を両手で振り回す

 

 

「アハハハハハハハ!!ぶっ飛んでいきなさーい!!」

 

 

「キャアァァァァ!!」

 

 

「イヤァァァァァァァ!!」

 

 

金剛と大井は同じ方向にぶっ飛ばされていきその場所に居たもう一人の艦娘にぶつかると水飛沫が上がる

 

 

「ぐあ……お前……達…」

 

 

「いてて……あ、あれ?長門?

ってどうしたんデースか!?その傷!」

 

 

「いてて……長門さん?何ですかその斬り傷?」

 

 

「あーらぁ?何か的が増えたわねぇ?」

 

 

「「え?」」

 

 

二人が前を向くとそこには艤装を構えこちらを見ながらにやけているカナの姿があり長門は二人の前に立つ

 

 

 

「二人とも……離れてろ…コイツは…私が……」

 

 

「ま、待ってくださーい!長門!!

そんな酷い傷じゃ!!」

 

 

「そうよ!私達もーーー」

 

 

「アハハハ!そうですよぉ!もう二人位居ないと面白くありませんよぉ!!!」

 

 

ボロボロになっている長門の前に椿がゆっくりと、航行しながら立ち塞がるとカナが溜め息を付く

 

 

「あんたねぇ、何で敵増やしてるのよ

私めんどくさいのは嫌いなんだけど?

それに多いと恐いし?」

 

 

「いやーごめんなさい姫様

でもでも?コイツら殺せば多分連合艦隊は壊滅しますよぉぉ!!」

 

 

カナに椿が合流し長門に大井と金剛が合流したのは良いのだが戦力的にはかなり不利になっていた

 

 

「二対三ですよぉ?ほらほらほらほら!!

楽しんでいきましょうよぉ!!貴女方が死ぬか!私達が死ぬかです!!

さぁさぁさぁさぁ!!戦いましょう!

殺しあいましょう!!」

 

 

「あーこりゃスイッチ入ってるわねぇ……

ま、いっかそっちの方が楽だし

それにこいつらが私に攻撃を与えられるとは思えないし

さてと、蹂躙を開始するわよ!!椿!!」

 

 

全く怪我や傷等が負っていないカナにまだ万全な状態の椿

対するはボロボロの長門に万全な大井と金剛

そして周りには多くの深海棲艦

正に絶望的な戦いであった

戦力差圧倒的、だが長門は笑っていた

 

 

「長門?」

 

 

「何笑ってるんデースか?」

 

 

笑っている長門をカナは忌々しそうな顔をしながら睨み付ける

 

 

「何が可笑しいの?戦艦長門?」

 

 

「フフフフ、嫌すまないな

確かに絶望的な戦いだ

普通なら途中で逃げ出す

誰しも勝てるとは思えない戦いだ

私も執念で戦ってる状態だ」

 

 

「そうよ、あんたたちはここに死にに来たのと同じななのよ!!今更分かった所で!!」

 

 

「いや、それは違う

我々は死にに来たわけではない

成すべき事を成しに来たのだ」

 

 

長門は半分笑いながら自分の傷を押さえながら真っ直ぐカナを睨み付ける

 

 

「奴は言ったいつか戦うべきだと

奴は言った勝てるではない勝つのだと

足掻いて足掻いて足掻いて、それでも絶対に勝つと」

 

 

「はぁ?勝てる見込みが無いのに勝つとか馬鹿じゃないの?」

 

 

 

長門の言葉に椿は首を傾げカナはイラつきながらその言葉を聞いていた

 

 

「奴は言った!私達は提督達に託されたと!!

奴は言った!我々にはお前達を倒す力があると!!!

その者は誰よりも弱く脆く小さな身体で大きな物を背負っている!!

気高く強く自分の意思を真っ直ぐに貫き戦い続けると!!

最後まで諦めず戦うその姿に誰しもが憧れている!!」

 

 

「そんな奴居るわけないでしょうが!!

馬鹿なんじゃないの!?これだから!!艦娘は嫌いなのよ!!!」

 

 

カナは苛立ちが最高潮まで達し長門に主砲を構えるが長門全く動じなさい

 

 

「居るさ!!そしてそいつは戦艦でも空母でもない

だが!奴は必ずお前に刃を突き立てる!!

必ず追い詰めお前を殺すためにな!!」

 

 

 

「居るわけーーー!!!!」

 

 

その長門が話している最中にカナの背筋が凍り付く様な感覚に陥り後ろを振り向こうとする

(後ろから殺気……?でも陸上には誰にも……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ!敵の喉元を食い千切れ!!狼の如く!!

叢雲(雷撃姫)!!!」

 

 

 

 

その瞬間カナの巨大な砲身に激震が走った

まるで鉄と鉄がぶつかり合う大きな音にカナは驚きゆっくりとその顔を見ると鬼の形相で薙刀をアブソリュートに振るう駆逐艦(叢雲)の姿があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ば!馬鹿な!!嘘でしょ!!

ここは陸上なのよ!?」

 

 

「飛行場姫ィィィィィィィ!!!!」

 

 

 

 





次回

成すべき事を成せ

いつの間にかカナが居る陸上へと歩み寄っていた叢雲
そしてその一振りの攻撃がこの絶望的な状態を打開する
戦うべき舞台と敵は揃った
さぁ、決戦の時だ


イベントお疲れ様でした!
ネルソン来てくれませんでしたァァァァァ!!!!
まぁ、グレカーレは来てくれましたので……うん
クソォォォォ!!
(本日から毎日投稿再開しますね!!)

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