艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

480 / 594
一羽の鶴は空に憧れる

「よし!これで、大丈夫ですよ!」

 

 

「ありがとうございます、明石さん」

 

 

ここはドレス島からかなり離れた海域

明石率いる修理部隊は戦闘海域から離れ負傷している艦娘達の修理に当たっていた

 

 

「夕張ちゃん!艤装はどう?」

 

 

「うん!直ったよ何時でも動かせる!」

 

 

「ならほら行くわよ神通」

 

 

「はい、では行きます!!」

 

 

神通は先程銃撃の雨(バレットレイン)で負傷しておりその傷を治して貰うと全速力でドレス島へと向かっていく

 

 

「……にしても酷いね、あそこまで破壊された艤装も見たことないよ」

 

 

「だね、しかもあれが一撃だなんて信じられないよ」

 

 

二人は修理していた艤装や艦娘の傷を思い出しながらカナが砲撃した一撃について話し合っており一番最初に運ばれてきた鈴谷しかり他何人かの破壊痕に疑問を浮かべながら相手がどれ程の者なのかを考えていた

 

 

「……艦娘を一撃で沈めかける…それが歴戦種…か」

 

 

明石が呟いた一言にその場に居る全員が息を飲む

普通ではあり得ないその発言に次は我が身だと考えると背筋が凍り付く様な感覚に陥る

だが、そんな状態でありながらも目の前から二人の艦娘がこちらに向かってくる

 

 

「明石さん!」

 

 

「っ!榛名さん!どうし………って大和さん!?

ど、どうしてそんな!」

 

 

明石は木っ端微塵破壊された大和の艤装と重症の大和を見ながら困惑するが頭を横に振るい艤装を展開する

 

 

「ごめんなさい!大和さんを!!」

 

 

「はい!任せてください、工作艦明石!完璧に治してあげますよ!!

夕張ちゃん!手伝って!!」

 

 

「了解です!

皆さんは辺りの哨戒を!!」

 

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

運ばれてきた大和は気を失っており明石に預けられると艤装と別々に分けられ高速修理剤と医療品で治していく

(私の戦場はここなんだ!だから、皆お願いします

どうか勝ってください!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くわよ!グラーフ!」

 

 

「あぁ!」

 

 

「ちょっと!瑞鶴ちゃん私達の事も忘れないでよね!!」

 

 

瑞鶴達空母部隊は一斉に艦載機を発艦させると上空に居るカナの艦載機に向けて戦いを挑んでいく

 

 

『にしてもグラーフ、あんた良くここに来れたわね?

途中で椿に捕まらなかったの?』

 

 

「捕まりかけたさ、だが長門がそれを助けてくれたんだ

そして、成すべき事を成せって言われてな」

 

 

「それに今ウォースパイトさんや鈴谷さん達も戻ってきてるからね!

これで私達に余裕が出来たのよ!

対空なら摩耶さんが居るしね!」

 

 

『成る程ね、明石さんの修理か

でもコイツは本物の化け物よ!警戒しなさい!!』

 

 

叢雲は戦いながらもグラーフ達に警戒を促すと二人は頷き更に艦載機の数を増やしていく

 

 

「叢雲が化け物呼ばわりとは本当にヤバイみたいね」

 

 

「あぁ、流石は歴戦だな」

 

 

だが二人はその意味をすぐに理解することになる

二人が発艦させた艦載機がいつの間にか全滅し堕とされていることに気付く

 

 

「嘘!いつの間に!」

 

 

「馬鹿な……ざっと40はあったんだぞ!?」

 

 

「慢心しては駄目よ!二人とも!!」

 

 

赤城が後ろから二人に近付き再び弓を引くと艦載機を発艦させそれをカナへと向けていくが

 

 

「この程度?舐めてるのかしら!!」

 

 

カナは艦載機を指で動かすと赤城の艦載機を全て撃ち落とし更に巨大な砲身を赤城達に向ける

 

 

「させないわよ!!」

 

 

「やっぱり来たか!叢雲!!」

 

 

その間に叢雲は割り込み薙刀をカナに振るうがそれを手で押さえ防ぐとその後ろから磯風が襲い掛かるがカナはニヤリと笑う

 

 

「撃て、砲台古鬼」

 

 

「っ!?」

 

 

カナの言葉に驚いた磯風は急いで艤装を蹴り宙を舞うと磯風が居たところに砲撃が直撃し少しだけカナにも被弾する

 

 

「本当に下手くそな砲撃ねぇ……

まぁ少しは使えるところを見せなさい玩具共」

 

 

「まさか!!」

 

 

「こいつら!どこから!?」

 

 

磯風は急いで降りると辺りの物陰から砲台の体に足が付いた者達が8体程現れ磯風と古鷹を捉える

 

 

「くっ、まだ伏兵を隠してたのね!」

 

 

「私の相手をしていて良いのかしら?叢雲?」

 

 

「………チッ!磯風!古鷹!先にそいつらを破壊するわよ!!」

 

 

「了解!」

 

 

「分かったよ!!」

 

 

叢雲は一旦カナから離れると出てきた砲台古鬼達に向き直り対峙するとカナは笑いながら瑞鶴達へ牙を向く

 

 

「さてと、邪魔は居なくなったわね

じゃあ、楽しみましょうか!!空母達!!」

 

 

瑞鶴達へ主砲を再び向けると同時に艦載機を空に放ち戦闘体制を取ると一斉に弓を引く

 

 

「行きますよ!瑞鶴さん!」

 

 

「えぇ!さぁ、私達の成すべき事!空を奪い返すわよ!!」

 

 

「行くぞ!!飛行場姫!!」

 

 

「全艦載機!発艦!!」

 

 

瑞鶴達は艦載機を発艦させカナの艦載機とぶつかり合うがやはり航空戦力はカナの方がかなり高くほとんど撃墜されてしまう

 

 

「く、やっぱりキツいわね!!」

 

 

「諦めないで!私達は正規空母なのよ!

これぐらいで負けていられない!!」

 

 

「瑞鶴さん!」

 

 

「私達も加わるわ!!」

 

 

後ろから祥鳳と飛鷹が加わり空に向けて艦載機を飛ばして行くがやはりカナの艦載機が数で上回り全て撃ち落としてされる

 

 

「嘘、あんなにあったのに!?」

 

 

「どんだけなのよ!あの姫!!」

 

 

「アハハ!私から制空権を奪うなんて出来るわけないでしょう!アイツ(・・・)じゃあるまいし!不可能なのよ!!」

 

 

「っ!やっぱり直接行くしかないか!!」

 

 

その言葉と共に瑞鶴は単身航空戦を止めカナに近付いていく

 

 

「瑞鶴ちゃん!?何するつもり!!」

 

 

「私が飛行場姫を直接攻撃します!赤城さん達は上空の艦載機をお願いします!!」

 

 

「ちょ!ちょっと!」

 

 

「待て!瑞鶴!私も行くぞ!!」

 

 

「ありがと!グラーフ!」

 

 

グラーフも瑞鶴に付き合うように走り出すと更にカナへ近付くと主砲を向けられる

 

 

「勝負よ!飛行場姫!!」

 

 

「馬鹿な奴!!空母の癖にここまで近づいてくるとはね!!」

 

 

 

 




次回

残された者


制空権を奪おうとするもカナの艦載機は数が多く更に他の艦娘を狙う主砲を恐れ二人直接カナを倒しに掛かる
そして、自らが託された思いと力を飛行場姫にぶつける



次回は瑞鶴のお話になります
実は彼女の過去もこの物語にかなり関係してるんですよねぇ


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。