艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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援軍 二

ローマ率いる友軍艦隊の一人綾波が自分の顔程の砲弾の装填を終えるとローマからの指示を待つ

 

 

「装填完了!いつでも撃てます!!」

 

 

「オッケー!なら照準を飛行場姫に!!

奴を吹き飛ばすわよ!!」

 

 

すると他の艦娘達がその照準を飛行場姫に合わせ砲撃しようとすると椿がそれに気付き止めようとして来る

 

 

「随分とデカイ兵器ですが、動かすのに時間を要するに様ですね……今のうちに止めなくては!!」

 

 

「行かせは!!」

 

 

「しないわ!!」

 

 

だが、長門と陸奥が艤装をぶつけ椿の行く手を防ぎ更にウォースパイトとガングートがその後方から迫ってくる

 

 

「行かせないぞ!!椿!!」

 

 

「貴女の相手は私達よ!!」

 

 

「チッ!こいつらまだこれほど戦えるのか!!」

 

 

その一方でカナはローマが持ってきた試製62型水上単装砲を見ながら混乱していた

 

 

「いや、間違いない!

あれはアイツが試作段階まで仕上げたアブソリュートの水上型兵器!!製作段階で動かす人数と期間が思いの他長いからって確か中止して設計図もどっかに捨てたって言ってたけど……何でアイツらがそれを持ってるのよ!!!

情報管理ずさん過ぎない!?あんのやろう!!」

 

 

カナが睨みながら呟いていると叢雲達はその着弾地点であるカナから少しずつ離れていくと空から再び艦載機が近付いてくる

 

 

「何かしら、何か運んでる?」

 

 

「……バケツか?だが何でそんなものが」

 

 

話をしているとインカムから龍驤からその物の正体について連絡が来る

 

 

 

『叢雲!明石さんから三人分の高速修復材を受け取ったんや!今うちの艦載機で運んでるから受け取ってーな!!』

 

 

「本当に!助かるわ!!」

 

 

艦載機はゆっくりと叢雲達の下に降りていくと運んでいた高速修復材を受け取ると古鷹、磯風、叢雲の順番でそれを被っていく

 

 

「っ!!……痛いけど傷が治っていく!!」

 

 

「っ!あぁ、……これは本当に助かる…!」

 

 

「ぐぅ…うぅ!!……はぁ…はぁ……」

 

 

古鷹と磯風は大した事ないように傷を治していくのに対し叢雲はかなり苦悶の表情をしながらその高速修復材の痛みに耐える

 

 

「叢雲……大丈夫?」

 

 

「おい、大丈夫なのか?叢雲?」

 

 

「平……気よ…これ……くらい!!」

 

 

それもそのはず、この三人の中で最も傷を負い戦ってきたのは叢雲だったからである

そして傷を治した三人は静かにカナから離れていき戦いが終わろうとしていた

 

 

「あの62型の使用許可が降りるとはな

あれはまだ完成してないと聞いていたがあそこまで出来てきたとは」

 

 

「磯風さん、知ってるの?」

 

 

「あぁ、提督に聞いた事があってな

昔の作戦である島を取り返したときにあった深海棲艦の設計図を頼りに建造されたらしい

外部からしか装填出来ないし、動かすのと運ぶのも戦艦クラスの艦娘が必要であり艦娘が装備することが出来ない欠点が多い兵器であるもののその代わりの破壊力は凄まじいと言われている特殊兵器だ

………まさか、ここでそれを見れるとはな」

 

 

磯風の説明を聞きながらローマがその照準をカナへと向けている間叢雲は一つだけある違和感を感じていた

 

 

「………磯風、古鷹いつでも戦闘出来る用意をしておきなさい」

 

 

「え?叢雲?」

 

 

「何を言ってるんだ?叢雲?流石にあれを使われてはカナも戦闘不能に出来るだろ?」

 

 

「……だと良いわね、でもアイツ驚いてはいるけど全く焦ってないのよね

どう見ても」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叢雲の予感は当たっていた

カナは驚きこそしていたもののその兵器について設計図を作り上げた深海棲艦から詳しい話を聞いていたからである

 

 

「まさか、人間側であれを作り上げるとは良くやるわね……驚いたわ」

 

 

「貴女も横暴もこれで終わりよ!!62型水上単装砲……撃てえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

ローマの指示と共に他の艦娘達は耳を押さえており増援として来ていた両耳に耳栓をした扶桑(ふそう)が62型を動かし最後の砲撃システムを起動させると62型の砲塔が動くと一瞬だけ止まり次の瞬間

周囲に何かが大爆発を起こした様な轟音が響き渡ると同時にその反動でローマ達は吹き飛ばされそうになる

 

 

「っ!!嘘!私が知ってるーーー」

 

 

「伏せて!!!」

 

 

叢雲が二人を伏せさせカナが慌てた瞬間62型の砲弾は直撃し通常では有り得ないほどの爆発音とその衝撃に晒され叢雲達は慌てて耳を鬱ぐ

 

 

「姫様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「何て破壊力だ……これが水上兵器…」

 

 

「……これが大本営が誇る試作兵器…」

 

 

カナが居た場所は黒煙が立ち上ぼり辺りの木々は爆発の衝撃で葉が吹き飛ばされ木々は少しだけ焼き焦げていた

 

 

「良し!これならアイツを倒せたはずよ!!」

 

 

「はい!あの砲撃は島一つ吹き飛ばす程ですからね流石にひとたまりも無いでしょう!」

 

 

その砲撃と爆発音はこの戦いに終わりを告げるようであり他の深海棲艦もカナが敗北したと思い愕然としていた

 

 

「粉々になったデースか!飛行場姫!!」

 

 

「これで、私達の勝ちね

……全く辛い戦いだったわ」

 

 

「……終わったなこれで我々の勝利か」

 

 

「今回は援軍に助けられたね、叢雲!」

 

 

全員が安心しきってる中叢雲は一人立ち上がり再び艤装を構えていた

 

 

「……叢雲?」

 

 

「どうしたんだ、叢雲?」

 

 

「………終わってないわ、恐らく」

 

 

「「え?」」

 

 

その結果を見ていた長門は笑みを溢し肩の荷が降りたようにため息を付くと椿に話しかける

 

 

「これで我々の勝利だ、椿

大人しく投降するなら悪いようにはしないぞ?」

 

 

 

「………き…貴様ら……全艦ーーー」

 

 

と椿が言おうとした瞬間ある声が戦場に響き渡る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、良い火力ねそれ」

 

 

その声に全員が驚きその声の主の方角へ向き直る

その声は間違いなくカナが着弾した場所から聞こえ全員驚きが隠せない

そして、爆煙を切り裂き62型に撃たれた筈のカナが全員の前に姿を現し全員愕然とする

 

 

「けほ、けほ、流石に危なかったわ今回ばかりは」

 

 

 

 

 

 




次回

絶対的な強さ

62型水上単装砲が命中したにも関わらずカナはほぼ無傷の状態で援軍を嘲笑う

ぶっちゃけコイツラスボスで良いんじゃね?とか最近思い始めてる作者です()
あ、秋刀魚漁ですがこっちは順調です
後八匹で終わりですかね
鰯だけすんごい使うなぁとは思ってます(



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