「にしてもどうすっかなぁ~?」
憲兵はあのあと直ぐに迎えを呼び帰ってもらい佐渡は鎮守府の窓外で夕暮れをのんびりと眺めていた
敗者の鎮守府
使えない又は罪を犯した艦娘、海軍に反抗しクビにしたい目障りな提督などが送られる言わば島流しの行き着く底辺
通常艦娘がここに来る事に関しては、ここに『辿り着けさえしない』が叢雲と古鷹は違う
佐渡達は、最初からここに配属されているため二人は無事にたどり着いている
何故『辿り着けさえしない』と言うと、日本列島に行き帰りする際に必ずと言って深海棲艦の艦隊と交戦するからである
ほとんどの艦娘はここに送られるとき単艦で行かされるらしい
実際、ここに着任するときは横須賀の艦から力を借りて何とか来れたような物だ
幸いここには深海棲艦は住み着いておらず落とされた後にすぐに別の鎮守府がここを奪い返したのだ。
だが、最初は酷かった。
廊下のそこら辺に散らばる何か白骨や血の跡
入渠施設は酷すぎた
壁に穴が空いてあり艦娘が入る浴槽には幾つもの、骨
浴槽の中に穴があり完全に使い物にならなかった
崩壊した工癖
空爆を受け穴だらけの屋根
妙だったのはお風呂だけは綺麗にされていた
そもそも、ここには前任者や艦娘が居たのかと言うほどに酷い有り様だった
見たときここまでなのかと思うくらいに酷かった
だが、叢雲と古鷹のある活躍によって元帥からの報酬と明石さんの計らいで今はある程度直してもらい
艦隊運営が出来ている
幸いここはしばらく放置されてたらしく資材が十分にあり工厰は動かすことは出来る……
足りないのだ……あるものが徹底的に
「はぁ……あと一人は欲しいよな……
誰か……」
そう戦力含め諸々だ
家事は三人で交代でやるか、一緒にやっている
生活する分には構わないのだが
「ここは最前線だもんなぁ……
居ないとは言えど、また襲われたらひとたまりもないな…」
哨戒任務は二人に交代で行ってもらっているため問題ない
問題は戦闘だ、流石に二人だけなのは不味い
二人には哨戒だけで一切の戦闘をするなと命じてあり、万が一の時は鎮守府まで戻ってくるようにと伝えては居るが………
やはり、恐い
「また俺も哨戒に加わるか…?
そうすれば、戦闘になったとしてもあいつらが……」
「「駄目!!!!(です)」」
「うわっ!!ビックリしたぁ……」
佐渡は独り言を呟いていただけなのに隣から二人の大声で否定される
当然、声の主は古鷹と叢雲だ
「あんた!またろくでもない事考えてたでしょ!?私達だけで充分よ!!
あんな奴等、まとめて沈めてやるわよ!!」
「そ、そうですよ提督!深海棲艦なんて私達だけで倒せますよ!!
提督が出る必要何てないんですからね!!」
二人に気迫されたが佐渡は微笑むと二人の頭を撫でるご機嫌を取る
「ありがとな、二人とも……
頼もしいな、やっぱり
あ、そうだ、晩御飯何食べたい?」
「そうですね……私は提督の手料理なら何でも!!」
「同じくよ、あんたの料理、悔しいけど美味しいからね」
「オッケーそんじゃ考えとくよ。
二人ともそろそろお風呂入ってきなその間に作っておくよ」
「分かりました!」
「分かったわ」
二人は返事をして仲良くお風呂に向かう佐渡は窓を締め二人の後を追うように提督室を出る
(こうして、二人を見ているとただの女の子に見えて仕方ない
まぁ、最近近海には深海棲艦は居ないみたいだし良いかな……)
だが、そんな期待は簡単に裏切られる
ウウゥゥゥゥ!!!
けたたましい警報が鎮守府内に鳴り響く
「っ!叢雲!古鷹!!」
佐渡は前を歩いていた二人を呼び止める
二人は驚いては居るが分かりきったように頷く
「近海に深海棲艦だ!!出撃してくれ!!」
「「了解!!」」