叢雲は一人カナに向かっていき他の艦娘は完全に援護に回っている最中木曾は歯を食い縛っていた
「……やっぱり俺は足手まといなのか…」
「木曾!くだらないこと呟いて無いで戦いなさい!!」
不知火が叫ぶとカナと対峙している叢雲に少しだけ変化が見えてきていた
「ねぇ、何か叢雲守備に回ってない?」
「……そう言えば……」
そう、叢雲はかなり苦戦を強いられていた
それもそのはず
だがそれは逆に攻撃が分かっているからこそ避けなくてはいけない
叢雲がカナに与えられる有効なダメージとは特殊魚雷誘爆型単装魚雷も明石に改装して貰った薙刀だけ
それに対しカナはアブソリュートの主砲二門に両方の爪、そして強靭な足技
圧倒的に戦力差があった
(後一つ!後一つだけ武器があれば!!)
「さっきの勢いはどうした!!駆逐艦叢雲!!」
カナは守備に回ることを辞め完全に叢雲を標的にし両方の爪も足技、そしてアブソリュートを伸ばす攻撃をしてきており叢雲はそれを全て交わしたり防いだりしていた
(何か!何か叢雲の手助けに!!)
木曾はそんな状態の叢雲を見るだけしか出来ず先程しまった刀を思い出す
(……これを渡せば…でも叢雲は駆逐艦…俺は軽巡…持てるわけがない!でも……)
『最後まで叢雲を信じてください!!』
出し渋っていると先程古鷹の言っていた言葉を思い出し刀を取り出す
「木曾!貴女何を!?」
「叢雲ぉぉぉぉ!!受けとれぇぇぇぇぇ!!!」
そして思い切り叢雲目掛け自分の艤装である刀をぶん投げそれを聞いていた叢雲とカナが反応する
「あれは木曾の刀!!させるかぁぁぁ!!」
カナが先に動くとアブソリュートの主砲を短くすると刀が落ちる速度や高度を計算し吹き飛ばそうとするがそれよりも先に叢雲が主砲の目の前に飛び出す
「なっ!ちゅ、中止!中止!」
「今のそれなら間に合わないでしょ!!」
その通りにカナの主砲が伸びると同時に叢雲は脚をその主砲にぶつけると勢い良く吹き飛び木曾の飛ばしてくれた刀を左手で受け取る
(ぐぅ!お、重い!!
でも!!これで!)
普通は他の艦娘の艤装は使うことが出来ない
魚雷や砲弾なら爆弾として使えなくはないが発射機関や刀を抜くこと等は出来ないようになっている
そうなっている筈なのに
叢雲は勢い良く刀を抜こうとするとその両腕が白く染まり刀身を皆の前に晒す
「嘘でしょ!!何で叢雲が木曾の刀を使えるの!?」
「………ありえない、普通は不可能なはず!!」
「頼む!叢雲!ソイツを!我々の敵を倒してくれ!!!」
「オッケーあんたの大事な物預かったわ
助かるこれで」
「たかが一本武器が増えた所で!!状況は変わらないわよ!!!」
カナが再び叢雲に襲い掛かるが叢雲は木曾の刀でカナの爪を弾き飛ばすとその威力に驚いたカナが爪を上げてしまい腹部ががら空きになりそれを叢雲は見逃さず腹部を切り裂く
「ぐぬぅ!!こ、コイツ!!」
「行くわよ!カナ!!」
叢雲は踏み込むとカナと距離を一気に詰めると主砲を叢雲に向けて撃ち込むが木曾の刀を使いその砲弾を真っ二つにする
「馬鹿な!?」
「良い切れ味、最高じゃない!木曾!!」
そして叢雲は薙刀で心臓を突き刺そうと伸ばすがカナはそれを読んでおり砲身でその薙刀を吹き飛ばそうとし叢雲は薙刀を手放し両手で木曾の刀を振りかざし左腕に深い傷を付ける
「あぁぁぁぁぁぁ!!!痛い!痛いぃぃぃぃ!!!」
「まだ終らないわよ!」
「クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソがあぁぁぁぁぁぁ!!!」
武器を一つだけしか増やしていないのにも関わらず叢雲はカナを更に追い詰めていく
「ぶっ殺してやる!!」
カナがアブソリュートを二門構え叢雲に放つがそれを先読みした叢雲はそれを跳躍し交わすと後ろから木曾、不知火、磯風の砲撃がカナに直撃し苛立ちながら後退りをする
そして叢雲は地面に着地すると再びカナに薙刀を振りかざし傷を与えていくと流石のカナも一歩、また一歩と後ろに下がり叢雲達は着実に前に進んでいた
「この私が!こんな!こんな
「あんたはもう終わりよ!!カナぁぁぁ!!!」
正に怒濤の勢いでカナを傷付けながらダメージを与えていくと中カナは歯を食い縛りながらある深海棲艦の名前を脳裏に思い出してしまい思わず口にする
「この!!
本当に私の苦手な物ばかり集めた様な戦いしやがってぇぇぇぇぇ!!!!」
(エアと同じ!アイツも佐渡と同じ
次回
敗戦記憶
カナは叢雲と戦い思い出す自らが敗北した一人の深海棲艦と
自分より強い二人の化け物を
ちょっとだけカナの過去編ですかね?
ですが、後少しでカナ戦のファイナルステージになります!