艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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二人で一つ 

「皆さん!お待たせしました!!」

 

 

「来てくれたか……って!!」

 

 

「二人とも!何してるの!?」

 

 

古鷹の姿に流石の磯風達も驚きカナもその異様な状況に眼を疑うがすぐに嫌そうに眉間にシワを寄せる

 

 

「……更にめんどくさくなったわね…こいつら!!」

 

 

「古鷹…!少し…屈んで!!」

 

 

「了解!!」

 

 

古鷹が少しだけ屈むと海上に突き刺さった薙刀を叢雲が引き抜きカナに迫る

 

 

「私がアイツの…行動を読むわ……でも先読みは…使えない…だから予測だけに…なるわ…」

 

 

「それだけでも充分だよ、私じゃそれすらも出来ないから!」

 

 

「じゃあ行くわよ!!古鷹!!」

 

 

「うん!お願いだよ!叢雲!!」

 

 

古鷹は主砲を構え叢雲は手だけを動かし薙刀を構えているその姿を見ながらカナは舌打ちをするが直ぐ様微笑み

 

 

「お前達が一緒なら……お前達を同時に潰せばこの戦いは終わった様なもんよねぇ!!!」

 

 

カナはその瞬間主砲を構えると叢雲から予測をする

 

 

「右主砲は撃ってくるわ!左はぶつけてくる!!」

 

 

「了解!!」

 

 

叢雲の予測通り右主砲から砲弾が放たれるとそれを交わし更に左主砲は伸びてきておりそれを寸前で交わすとカナとの距離を詰めていく

 

 

「チッ!やはり予測されるか!!

だが!動いてるのは古鷹よね!!なら近接戦闘で!!」

 

 

そして近づいてきた古鷹に爪を振り下ろそうとすると

 

 

「良いわ!そのまま近付いて!!」

 

 

「はい!!」

 

 

叢雲は交わすと言う指示をせずにそのままカナに突っ込ませると古鷹の脇の下から薙刀を構え古鷹の頭に当たる寸前でその刃をカナの振り下ろされた爪にぶつけ弾かせる

 

 

「何!!そんな芸当を!!」

 

 

「古鷹!腹部に私が付けた傷がある!!蹴り飛ばしてあげなさい!!」

 

 

「はい!!」

 

 

「やらせるか!!」

 

 

古鷹はそのまま脚を持ち上げ蹴り飛ばそうとするがカナがもう片手でガードしようと動かすが叢雲はそれよりも先に主砲をカナの二の腕に命中させ再び傷口を開かせる

 

 

「ぐぅ……コイツ!!」

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

そして古鷹の重い蹴りが命中しカナは海上を少しだけ滑り腹部を押さえる

 

 

「く……流石に痛いわね…こいつら!!」

 

 

「休まないで攻め続けるわよ!!古鷹!」

 

 

「うん!!追い詰めよう!!」

 

 

カナの行動を完全に把握している叢雲は完璧な指示とサポートをし古鷹はそれに合わせ攻撃していく

その姿を時雨達はただ傍観するしかなかった

 

 

「す、凄い……あの二人」

 

 

「飛行場姫相手に優勢を保ってるぽい!?」

 

 

「凄い……凄すぎる…正に息ピッタリだよ…まるでお互いが何をするのか分かってる位に…」

 

 

「………ふふ、やはり凄いなあの二人は

流石、あの長門が認めた最強だ」

 

 

その姿を見て磯風だけは笑っていた

 

 

「あれが、信頼でありお互いを信じ合う者達なんだよ」

 

 

カナの攻撃を叢雲が予測しそれを古鷹は交わし、更に避けきれない攻撃は叢雲が薙刀や砲撃で弾き飛ばす

そして確実に叢雲が傷を付けたところに古鷹が攻撃を仕掛けていく

その攻撃にカナは完全に押されており少しずつドレス島から沖へと追い出されていた

 

 

「クソが!いい加減離れろぉ!!!」

 

 

近接戦闘ばかりされておりカナはほとんど手が出せないことにイラつき主砲を海上に向けると撃ち放ち古鷹の目を眩ませると少しばかり下がり両方の砲を古鷹に向ける

 

 

「潰してあげる!第1スロット!!吹き飛べぇぇぇぇ!!」

 

 

「古鷹!合図したら交わして!!」

 

 

「了解!!」

 

 

カナが主砲を向けている間古鷹は走り後ろから聞こえるであろう叢雲の声を待つ

 

 

「まだよ……まだ、落ち着いて……大丈夫、貴女なら交わせる」

 

 

深く息を吐きカナの動きを観察しながら確実にカナに近づいていく

 

 

「死ね!!古鷹ぁぁぁぁ!!!」

 

 

その瞬間ガコンと音が鳴り叢雲が叫ぶ

 

 

「今よ!!!伏せて!!!」

 

 

「っはい!!!」

 

 

古鷹は急停止をし頭を下げるとその上を二つの砲弾がかすり叢雲の髪の毛を撃ち抜き顔を上げると再びカナへと向かっていく

 

 

「馬鹿な!?第1スロットを避けたぁ!?」

 

 

「「カナァァァァァ!!!」」

 

 

その姿を見ていたカナは確実に恐怖した

それもそのはず、当てられる筈の第1スロットすら当たらず自らの攻撃が完全に通用しなくなった二体の艦娘に成す術が無くなってしまい初めてここでカナは負けを想像した

だが

 

 

「舐めるなよ!!私はこの島の支配者にして守護する姫よ!!

この程度で私が負けを認める訳無いだろうがぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

それと同時にカナは艤装をしまうと爪を伸ばし古鷹に近接戦を仕掛ける

 

 

「古鷹!防御は任せて!貴女は攻撃して!!」

 

 

「了解!信じてるよ!!」

 

 

振り下ろされる爪は受け流し更に古鷹が叢雲の付けた傷を開くために蹴りや砲撃を加えていくのだが

 

 

「く……やばい!!」

 

 

叢雲の身体は限界をとうに越えておりとうとうカナの攻撃を弾けないほどに身体が言うことを聞かなくなっていた

だが、それをカナは見逃さない

 

 

「叢雲!?」

 

 

「どうやら、お前はもう無理なようね!!」

 

 

歪む視界の中笑みを浮かべるカナの爪が叢雲に振り下ろされるが古鷹は身体を動かしその爪を変わりに受ける

 

 

「うぅ!」

 

 

「古鷹!!」

 

 

「そっこぉ!!!」

 

 

叢雲を庇ったことにより古鷹の左腕が大きく傷付き血が吹き出してしまい苦しんでいると更に右腕からの爪に腹部を切り裂かれる

 

 

「グフッ!!」

 

 

「古鷹!!このぉ!!」

 

 

歪む視界が一瞬だけ元に戻った瞬間カナの右腕を切り裂き腕に深手を負わせる

 

 

「っつぅ!!こいつぅぅ!!」

 

 

そして再びカナの爪が叢雲を捉えようと振り下ろされるが

 

 

「させない!!!」

 

 

それよりも先に木曾がカナの爪を刀で受け止めるが力で押されてしまう

 

 

「貴様ごときが押せると思うなよ!!!」

 

 

「木曾さん!!」

 

 

「く、くぅ!!」

 

 

「木曾一人ではありませんよ!!」

 

 

木曾の後ろから腕を掴み不知火が助力するとカナの爪を受け止めることに成功しカナはイラつきながら舌打ちをする

 

 

「不知火さん!!」

 

 

「なら!もう片手はどうかしら!!」

 

 

そして、更にもう片腕で爪を振り下ろす

 

 

「させませんよ!!!」

 

 

すると古鷹の背中を引っ張ると比叡がカナの爪を主砲でカバーし攻撃を防ぐ

 

 

「比叡さん!!」

 

 

「よっこいしょ、大丈夫?古鷹、叢雲?

全く無茶苦茶するんだからさ!後は任せて!後少しだもんね!!」

 

 

「行きますわよ!皆さん!!」

 

 

負傷した古鷹を鈴谷が受け止め更に熊野が参戦しその横を磯風と時雨、夕立が駆け抜けていく

 

 

「そのまま受け止めていろ!!行くぞ!!時雨!夕立!!」

 

 

「了解!」

 

 

「さぁ!ステキなパーティーしましょう!!」

 

 

「雑魚共がぁ!調子に乗りやがってぇぇ!!!」

 

 

カナは爪を戻そうとするがその瞬間不知火が木曾から離れカナの腹部へと主砲を接射する

 

 

「沈め!!」

 

 

「グハッ!!コイツ!!」

 

 

意識が一瞬だけ不知火に向かった瞬間

夕立が比叡の艤装を足場にすると跳躍しながら魚雷をカナへと向け撃ち放つ

 

 

「くたばるっぽい!!!」

 

 

その魚雷は全弾カナに直撃し爆煙に撒かれるが腕でそれを切り裂く

 

 

「クソ!駆逐艦が!!」

 

 

「我々も!」

 

 

「居るよ!!!」

 

 

そして更に時雨と磯風の主砲が直撃し再びカナは一歩下がり更に木曾と比叡が追い込んでいく

 

 

「食らえぇぇぇぇぇ!!」

 

 

「気合い!入れて!当たってえ!!!」

 

 

更に木曾の雷撃と比叡の主砲が命中し更にカナは後ろへと下がっていく

 

 

「ぐ、ぐぅぅぅ!!こいつら!!」

 

 

「行くよ!熊野!!」

 

 

「えぇ!行きますわよ!!鈴谷!!一斉射!!」

 

 

「「撃てぇぇぇぇぇ!!」」

 

 

そして最後に熊野、鈴谷の一斉射撃が命中するとカナの身体に更に傷が付きどんどん後ろへと交代していく

 

 

「ぐ、ぐぬぅぅ、こ、この私……がぁぁ!!」

 

 

だがカナも応戦しようと主砲を構えようとするがその瞬間腹部に痛みを感じ頭を下げる

 

 

「き、貴様……!!」

 

 

「撃つのおっそーい……でも!終わりだね!!」

 

 

腹部を蹴っていたのは先程明石と夕張を運んでいた島風でありその一撃が致命傷だった

 

 

「ぐ、ぐ、ガハッ………く、…くそぉ!!」

 

 

カナは口から血を吐き出しヨロヨロと下がっていき体制を立て直そうとすると古鷹達が揃っていることに気付く

 

 

「皆さん!よろしいですか!

主砲!!一斉射用意!!」

 

 

古鷹の合図に時雨、夕立、磯風、鈴谷、熊野、比叡、叢雲、島風が主砲を一斉にカナに構える

 

 

「ま、不味い!!!」

 

 

「「「「「撃てぇぇぇぇぇ!!」」」」」

 

 

その合図と共に古鷹達の一斉砲撃がカナに降り注ぎ全砲弾が命中するとカナは海上を滑り大きく沖合いへと吹き飛ばされていく

 

 

「く、くそぉ!!こ、この私がぁぁ!!」

 

 

そして古鷹はカナに最後の一撃を下すために走りだす

 

 

「古鷹!最後の一押し!!」

 

 

「はい!!」

 

 

「う、動け……アブソリュート…!!」

 

 

カナはアブソリュートを再度起動させると主砲を古鷹に向けるが古鷹は恐れない

 

 

「終わりです!カナさん!!」

 

 

「何が終わりだ!古鷹!!伸びろ!主砲!!」

 

 

カナは勢い良く主砲を伸ばすが古鷹は寸前でその攻撃を交わし深手を負っているカナの腹部を思い切り蹴り飛ばし叢雲はカナの脚を撃ち抜く

 

 

「ガハッ!!」

 

 

「「行けぇぇぇぇぇ!!」」

 

 

古鷹と叢雲の攻撃は命中しカナは大分押されていき痛みに苦しんでいると叢雲が辺りを見る

 

 

「ついた!!古鷹!!」

 

 

「うん!!」

 

 

そして二人はおもっきり息を吸い込むと空に向けて叫ぶ

 

 

「「大井ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!

金剛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!

お願い!!!(します)!!!!」」

 

 

その声はドレス島周辺に響き渡り大井の耳にも届いていた

 

 

「合図!!金剛!!お願い!!」

 

 

「了解デース!!」

 

 

大井は二人の合図を聞くとカナへと走りだし金剛はその警護をしようとするが

 

 

「どこに行こうと言うのですかねぇ!!!」

 

 

「くっ!椿!!」

 

 

その行く手を椿が阻もうとするとその横から加古が椿を押さえ込み大井に叫ぶ

 

 

「行ってくれ!!コイツはあたしに任せろ!!」

 

 

「っ!頼んだわよ!!」

 

 

「ごめんなさーい!!」

 

 

二人を逃がすために加古は身体を張り、大井は一つだけ持っていた爆雷を艤装から取り出すと握り締める

そして

 

 

「いっけぇぇぇぇぇ!!」

 

 

「不味い!この状態は!!」

 

 

その爆雷をカナへと投げ飛ばすとカナは反射的に避ける体制を取り海中に沈みそして爆発を起こす

それにカナはあっけらかんとすると笑いだす

 

 

「アハ、アハハ、アハハハハハハ!!!!

ま、まさか!これがあんた達の言ってた奴!?笑わせてくれるわね!!これが!?アハハハハハハ!!!!」

 

 

カナが海上で大爆笑している時気付くことは無かった

その爆雷が真っ赤な塗料をばら蒔き海中を染めていることに

そしてその振動はドレス島の海溝にも響いていたことを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「合図!!皆!!!

この戦いに決着を付けるわよ!!!」

 

 

 

 





次回

切り札

ポイントまでカナを追い詰めることに成功した叢雲達
そこに大井は何故か爆雷を放つのが作戦だった
だが、それはある艦娘達への合図となっていた

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20からですか……今回はバッチリ資材貯まってるから頑張るぞい!!


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