艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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最終局面 二

「………やった…のか?」

 

 

「……えぇ、流石に終わりよ」

 

 

ほぼ全艦達からの砲撃をカナは受けてしまいまだ晴れない爆煙の中静かに時は過ぎていく

そしてそれを見ながら叢雲は安心し背中を明石に預けていた

 

 

「……ふぅ、長かったわね…」

 

 

「そうだね……疲れちゃったね叢雲…」

 

 

その側では古鷹も修理を受けており修復材でゆっくりと傷を治していた

全てが終わったと感じた金剛と大井は急いで叢雲に駆け寄ってくる

 

 

「叢雲!!」

 

 

「古鷹!!」

 

 

「あぁ……金剛…大井…お疲れ様よ…」

 

 

「本当に無茶し過ぎデース!!もう!もう!

でも流石は提督の相棒(バディ)デース…ゆっくり休んでください?」

 

 

「古鷹さんもよ、本当に無茶ばっかりするんだから!

でもやっぱり憧れちゃうな……私達ももっと頑張らないと」

 

 

そしてそれと同時に海上に二人の艦娘が浮上してくると視線が集中する

 

 

「ぷはぁ!……あー!やっと終わったのね!!!」

 

 

「あー!空気が美味しいでち!!」

 

 

「イク!貴女無事だったの!?」

 

 

「ゴーヤ!お前なんで通信に出なかったんだ!!」

 

 

二人は浮上すると同時に一人ずつ艦娘を抱えており笑みを浮かべながらボロボロになったスク水を直していた

 

 

「無事じゃないの!!あの爆雷は直撃したけどイクとゴーヤはそんなに酷くはやられなかったの!

だけど、二人が!!」

 

 

「磯風!早くイムヤとハチを明石さんに!

二人とも意識が無いんでち!!」

 

 

「分かった!明石!すまないがこの四人も頼む!!」

 

 

 

イクとゴーヤは二人とも海上をキョロキョロすると明石を見付け大慌てで明石に向かって泳いでいく

 

 

「あ、明石!イムヤとハチが!!」

 

 

「……大丈夫ですよ、怪我は酷いですが意識を失ってるだけですお任せください!」

 

 

明石の診断にゴーヤとイクは喜んでいると叢雲は無理矢理身体を動かしイムヤの頭を優しく撫でる

 

 

「お疲れ様イムヤ、全く無茶するんだから」

 

 

「お疲れ様ですイムヤさん、良く頑張りましたね」

 

 

その様子を見ていた鈴谷達も脱力するとその場に崩れ落ちるように座り深く溜め息を付く

 

 

「はぁ~………終わったぁ…………つーかーれーたー!!!」

 

 

「えぇ……流石に疲れましたわ…」

 

 

「二人ともお疲れ様、良い戦いでしたよ」

 

 

「本当に良くやったわね、鈴谷、熊野」

 

 

深海棲艦と戦っていた神通と山城が鈴谷達に近付くと激励しており夕立達もその場に座り込んでいた

 

 

「疲れたっぽい~……」

 

 

「だね……僕も流石に…疲れたよ……」

 

 

「お疲れ様だ、二人とも

良く頑張ったな」

 

 

「ふぅ……これで北上さんやお姉様に一歩は近付いたかな?」

 

 

「……終わりましたか、お疲れ様です木曾」

 

 

「あぁ……終わったんだな………やはり俺はまだ弱いな……」

 

 

比叡達も疲れはてておりその場に座り込み不知火も疲れからか膝に手を当てながら休んでおり木曾だけは刀を握り締めていた

 

 

「………終わったか…飛行場姫…」

 

 

砲撃を受けたカナは爆煙が少しずつ晴れており艤装が焼き焦げていた

カナ自体も意識が無いのかその場に倒れており深く深く息を吐く

 

 

「終わったわね長門、お疲れ様」

 

 

「あぁ、ローマ増援ありがとう

本当に助かった」

 

 

「私達はなにもしてないわ、62型も壊しちゃったしやられそうになってたし……本当何にもしてないわね…」

 

 

「そんなことないさ、深海棲艦を相手してくれていただけでも大助かりだ」

 

 

辺りを見ると深海棲艦達はカナと椿が倒れていることに驚愕し狼狽えておりどうしようか悩んでいた

 

 

「聞け!これ以上我々は戦いは望まない!!

逃げたいのなら逃げるが良い!!我々は追撃はしないと約束しよう!!」

 

 

長門の言葉に深海棲艦達は顔を見合わせるとクモの子を散らすように逃げ出していきその場には倒れた椿とカナだけになってしまい長門も安心のあまり膝をつく

 

 

「長門!!」

 

 

「む………大丈夫だ……すまない…ちょっと疲れただけだ……」

 

 

「全く無茶してないでよね?貴女はエース何だから?」

 

 

「ハハ……すまない」

 

 

再び長門が立ち上がろうとした瞬間その違和感に気付いた

 

 

「………なぁ、陸奥」

 

 

「何かしら?長門?」

 

 

「………アイツの主砲動いてないか?」

 

 

「え?」

 

 

長門がカナを指差しながらそう言うと確かにカナの主砲が長門達を捉えているがカナは全く動く気配が無く首を傾げる

 

 

「そうかしら?元々あの位置じゃなかったかしら?」

 

 

「………そうか…じゃあ……ーーーー!!!!」

 

 

だがその瞬間長門は背筋が凍りつき全身から冷や汗が止まらなくなる

それはカナが立ち上がったとか動き始めたとかではない

見えてしまったのだ、長門はそれを

そして感じてしまったその何かを

 

 

「どうしたの長門!?その汗!!」

 

 

「分からん……だが何だ……この感覚………寒気がする……まるで目の前に死があるかの様な……そんな……」

 

 

そして見ていたカナの身体に何か黒い稲妻の様な電気が走っているのを

ほんの一瞬、瞬きするほどのそんな短い間、何か電気の様な物がカナの艤装に走っているのを

 

 

「……何か可笑しい……!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー!戦い終わってる!!」

 

 

そして戦いが終わったドレス島から一人の艦娘が一人の少女を連れながら叢雲達に近付いてくる

 

 

「あれ?阿武隈さん?

何でここに?」

 

 

「ちょっとー!私も陸上戦に加わろうとしたのに終わっちゃってた!?

実は長門さんに飛行場姫を倒せって命じられてたんだけどねその道中で艤装の破片を拾ってね

もしかしたらここに艦娘が居るかもって捜索していたら何と!地下にこの娘が投獄されていたの!!」

 

 

阿武隈が肩を貸している艦娘はかなりボロボロの状態になっており力無く寄りかかっていた

 

 

「……誰かしら?この娘?」

 

 

「分からないけれどあたし的には多分艦娘だと思うんだよね!」

 

 

「レーベ!!」

 

 

その声が海上に響き渡り空母艦隊に居たグラーフが全速力でこちらに接近してきており慌ててレーベを抱き抱える

 

 

「……グラー……フ?」

 

 

「あぁ!私だ!何でお前がここに!?」

 

 

「……マック…ス……は?」

 

 

「マックス?マックスも居るのか!?

待て!今私が探してくる!!」

 

 

「ちょ!ちょっと待って!!この娘以外誰も居なかったよ!!」

 

 

「だが!」

 

 

「落ち着きなさいグラーフ

マックスは無事よ」

 

 

慌てるグラーフに対し叢雲はかなり落ち着いた様子で明石から修理を受けていた

 

 

「な、何故そんなことを!」

 

 

「そもそもこのドレス島の情報を持ち込んだのがマックスって艦娘何でしょ?

じゃないと誰がここを周知してるのよ」

 

 

「じゃ、じゃあ!今集中治療室にいるのは!!」

 

 

「マックスよ、安心しなさい」

 

 

「そ、そうか……良かったぁ……」

 

 

グラーフが安堵の溜め息を付いていると咄嗟に叢雲と古鷹は長門と感じた何かを感じ背筋が凍りつき全身に鳥肌と寒気を感じ更に冷や汗を掻いていた

 

 

「叢雲!ど、どうしたの!?」

 

 

「分からないわ……でも…何……これ…

あんた達は感じないの?」

 

 

「わ、分かりまセーン!一体何が!?」

 

 

「分からない……でも…怖い…恐い……何か…何か凄く恐いの……何だが分からないけど…何か……!」

 

 

叢雲は咄嗟にカナを見るとカナの艤装に黒い稲妻の様な物が見えており眼を擦るとそれが幻覚ではないことを理解する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!!!長門!!!

全艦隊!!!!今すぐ戦闘体勢!!!

まだよ!!!まだ!!飛行場姫は生きている!!!!」

 

 

「え?」

 

 

 

叢雲の声が響き渡ると不意にカナの艤装が動きだし辺りを振動するほどの砲撃が開始され長門の側に居たローマに砲弾が直撃する

 

 

「ガッハぁ……!!」

 

 

「なっ!!ローマ!!!!」

 

 

その砲撃音に全員の視線がカナへと集中する

倒れていたカナはゆっくりとその身体を起こしていく

艤装からは黒い稲妻が走り巨大な砲身は未だに健在であり真っ白だった髪がまるで血が滲むように赤く染まっていく

 

 

「良くも……コノ私に……コノ私ヲ………ココ……まで追い込んで……クレタワネ……!!!!!」

 

 

ゆっくりとカナは立ち上がると壊れていた筈の脚部スラスターがみるみるうちに治っていく

身体は焼き焦げ額から血を流しており目が真っ赤に充血していく

 

 

「う……そ……で……しょ……?」

 

 

「あり得………ない……」

 

 

「……嘘……嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!!!」

 

 

そしてカナが完全に起き上がるとその身体は血が滴り真っ赤に染まっていき叫び始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良くも良くも良くも良クモ良クモ良クモ良クモヨクモヨクモヨクモヨクモヨクモヨクモヨクモヨクモヨクモ!!!!!!

この!!!!私を!!!ココまで追い詰めてくれたなぁァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

その身体と髪は燃え上がる炎の様に真っ赤に染まり長門達を地獄の形相で睨み付けると主砲を向ける

 

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!

お前ら一人残らず……確実に!!全員皆殺しにしてやる!!!!」

 

 

その姿は怒り狂い全てを破壊する神の様であり長門達は完全にカナの逆鱗に触れてしまった

そして長門が一言だけ呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか……飛行場姫の……ー壊ーか……!!」

 

 

 

 

 





次回

限界突破(オーバーリミット)

どんな敵であろうと一斉砲撃で倒せないわけがないと言う常識や普通の知識を嘲笑うかのようにカナは再び動き始める
そして今まで押さえていた力を解放し再び長門達へと襲い掛かる
飛行場姫カナ戦最終戦突入!!
もうオマエタチは逃げられない


え?まさか倒せると思った?
残念でした!そんな簡単(?)にはコイツは倒れませんよ!
あ、そろそろイベントですね!うちはやっと足柄さんを改二にしたので重巡艦隊が出来上がってきました~
今回も完走するぞっ!





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