艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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最終局面 三

再び動き出したカナに全員が恐怖し困惑し焦りを感じていた

そしてカナはもうなりふり構えないほどに追い詰められておりその牙を見せ長門達に襲い掛かる

 

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!」

 

 

その言葉と同時にカナは主砲を長門達撃ち始め綾波や扶桑等を撃ち抜いていくが長門達は身動き出来ずに居た

それはカナの姿が異様であり他の深海棲艦の壊とは明らかに身体が違うからである

そして、蛇に睨まれた蛙の様に恐怖で動けなくなっていた

 

 

「ぜ、全艦隊!しっかりしろ!まだ奴は動いている!!

負傷したものを下げろ!!もう奴しか残ってーーー」

 

 

「キャアァァァァァァ!!!」

 

 

 

と長門が再び指示を出そうとすると長門の側に衣笠が吹き飛ばされてきてくる

 

 

「衣笠!大丈夫か!?」

 

 

「えぇ……何とか…でも!!」

 

 

「貴様らァァァァァァァァァァァァ!!!!!

良くもやってくれましたねぇ!!!!」

 

 

その声が鳴り響き長門は不意に振り返るとそこには再び動き出していた椿が爪を肥大化させながら加古達と対峙していた

 

 

「アイツ!もう起き上がったのか!?」

 

 

「椿ィィィィィィィ!!!!

そいつらを絶対にニガスなァァァァァァァァァァァァ!!!!

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

「了解致しました!!我が君主カナ様ァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

 

カナの指示を受けた椿も髪を朱色に染めておりそれが姫級の壊と同じ状態になっており連合艦隊は逃げ場を失う

 

 

「ま、不味い!!この状況は不味いよ!!!」

 

 

「逃げ場が無い!!ドレス島方面には飛行場姫の壊!

沖合いには始祖級椿の壊!!」

 

 

「どどどど!!どうするのよ!!」

 

 

正に挟撃とはこの事を言うように連合艦隊はカナと椿に挟まれ大混乱に陥っていたが突然カナからの砲撃が止む

 

 

「クソが!!こんな時にオーバーヒート!!」

 

 

カナの艤装モニターでは両主砲がオーバーヒートを示しており全く動かなくなっておりその隙に長門が仕掛けようとする

 

 

「全艦隊!落ち着け!!今、飛行場姫を叩くことに専念ーーー!!!」

 

 

「仕方ない!!アブソリュート!!私を喰らいなさい!!!」

 

 

その声と同時にカナは右腕を外に出すとアブソリュートからレ級の尻尾の様な口が付いた管の様な物が現れカナの右腕に噛みつくと血がその口に滴り落ちる

 

 

「あ、アイツ何してるの!?

長門!!何か来るわよ!!」

 

 

「何だと!?」

 

 

叢雲の声に気付いた長門はカナを見るとカナの腕からは血を流しておりまるでカナを喰っているかの様でありある程度口に血を溜め込むとその管はアブソリュートに戻っていく

 

 

「音声コード入力!!アブソリュート!!限界突破(オーバーリミット)!!!!」

 

 

カナの声に反応するかの様にアブソリュートは黒い稲妻を纏い始めるとまるで生き物の様に空へ向けて振動をしみるみるうちに艤装を修理していく更にカナの血液が反映されているのか艤装の隙間に血が滲んでおり花の形に模様付いていく

 

 

「な……何…あれ…」

 

 

「まさか、アブソリュートが奴の血液に反応して艤装を修理した…?」

 

 

そして古鷹とイムヤが破壊した脚部艤装もある程度修復されてしまいその砲を長門達に向ける

 

 

「破壊し尽くせ!!アブソリュート!!!!」

 

 

「不味い!全艦!飛行場姫をーーー」

 

 

と長門が言っている最中に後ろに居た扶桑が撃ち抜かれそのまま吹き飛ばされていく

 

 

「ガハッ……こ、…この威力…!」

 

 

「扶桑!!!」

 

 

しかも射速とその威力が桁違いに変わっており撃ち抜かれた扶桑の艤装が完全に破壊され扶桑自身も撃ち抜かれた腹部から全身に至るまで焼き焦がされていき見るも無惨な姿になってしまう

 

 

 

「ば、馬鹿な!さっきより射速と威力が上がっている!?」

 

 

「オマエタチは終わりだァァァァァァァァァァァァ!!!!

私を完全に怒らせた!!誰一人逃がさないでここで沈めてくれるわァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

その言葉を聞くと更に連合艦隊は大混乱に陥り各々逃げ出そうとするがそれをカナは全く見逃そうとせず逃げようとする者を一人も逃がさず両方の主砲で撃ち抜いていく

 

 

「嫌だ!嫌だ!死にたくない!!」

 

 

「あ、あんなの勝てるわけないのよ!!」

 

 

「逃げろ!あんなのに殺されたくない!!」

 

 

「落ち着け!まだ戦闘中だぞ!!」

 

 

「アハハハハハはハハハはは!!!!壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す!!!!!

殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!

私の邪魔する物全部全部全部全部全部全部全部壊して殺して粉々になっていきなさい!!!

アハハハハハはハはハはハはハは!!!!」

 

 

半ば半狂乱になりながらカナは主砲を連発していきその姿を鈴谷達は脅えながら見るしか出来なかった

 

 

「何あれ……明らかにヤバいっしょ……」

 

 

「で、でも……倒さないと……」

 

 

「ゆ、夕立……動ける?」

 

 

「…む、無理っぽい……怖いよ…時雨……」

 

 

そんな状況の中叢雲は無理矢理身体を動かすと明石に頼み込む

 

 

「明石!!高速修復材あるわよね!!」

 

 

「え!?え、えぇ……」

 

 

「なら……それを頂戴!!」

 

 

「だ!駄目ですよ!そんな短期間に高速修復材を使うのは禁止されてるんですから!!!」

 

 

叢雲は明石の肩を持つと全身に痛みが走り治っていない傷口から再び出血する

 

 

「でも!今アイツを止めないと私達は全滅する!!

それにアイツを止められるのは私だけよ!!だから!!!」

 

 

「駄目です!!許可出来ません!!

貴女!自分の身体がどれ程酷い状態か分かってますか!?

普通動くことすら禁止するほどにボロボロなのに更にまだ戦おうだなんて!!」

 

 

「お願い明石!!今私が出ないと手遅れになる!!

私にしか出来ないの!!だから!!」

 

 

「何と言われようと駄目です!!私は貴女に……死ねだなんて言えませんしそんなのを渡せるわけありません!!!」

 

 

叢雲は頑なに願いを聞き届けない明石には理由があった

それを静かに話していく

 

 

「私には……昔提督が居ました…あの人は誰よりも優しくて強い人でした…艦娘を大切にし共に戦場に立とうとするその勇ましい姿に私は見惚れていました…

でもその人は私を守って……重症の意識不明に……

そして決心しているんですよ!貴女の様な誰よりも先に突っ走ろうとする艦娘を止めないと!貴女は死んでしまう!!!

今!貴女を失っては!我々に希望も何にもなくなってしまう!!それにもう私は!!目の前で誰かが死ぬのを見れない!!!次!そんなのを見たら私は!!私は……壊れてしまう……」

 

 

明石は震えながら叢雲の顔を直視出来ずに俯いてしまうがその肩を三人の艦娘が叩く

 

 

「それなら」

 

 

「私達も共に戦えば」

 

 

「良いんだな?」

 

 

「………え?」

 

 

その声に明石は顔を上げると大井、金剛、グラーフが微笑んでいた

 

 

「全く、まさかあれで倒れないとは予想外だったわね」

 

 

「デース、でも戦いがいがあるってもんデース!!」

 

 

「レーベとマックス、叢雲と古鷹達の借りも返せる物だ

やってやろうではないか」

 

 

三人は完全にやる気を取り戻しており古鷹も負傷しながらも立ち上がり明石の顔を微笑みながら見る

 

 

「安心してください明石さん、私達は死にません

叢雲一人に行かせるわけないじゃないですか、叢雲はいつも一人で突っ走って死にそうになるんですもの

私達がその手綱を捕まえてますから大丈夫です」

 

 

「古鷹さん……」

 

 

「だから信じてください、私達を

必ずカナを倒しますから」

 

 

明石はそんな勇気ある行動に初めて艦娘を送り出す提督の気分を味わう

(……そっか…提督はいつも…こうやって送り出していたんだ……)

 

 

「……分かりました、ですが条件があります

皆さんがこれを使ってください

そして無事に帰ってきてください

良いですね!?」

 

 

「分かってるわよ、助かるわ」

 

 

「さぁ!最終決戦(ラストバトル)デース!!」

 

 

「あぁ!やってやろうじゃないか!!」

 

 

「全く早くそれを寄越しなさいよ」

 

 

「もう!叢雲口悪いよ!」

 

 

五人は渡された高速修復材を被ると全身激痛が走るがそれと同時に身体の至るところが修復していく

 

 

「無茶ばっかりすんだからさ

ほら、皆の艤装も直しておいたよ」

 

 

「さっすが夕張デース!!助かりまーす!」

 

 

「二人が居ればいくらでも戦えるな!」

 

 

「ありがとね夕張」

 

 

全員戦う準備が終わると叢雲を戦闘に各々飛行場姫に向かおうとする

 

 

「行くわよ!!あんた達!!!」

 

 

「準備オッケーだよ!」

 

 

「えぇ!行けるわ!!」

 

 

「ノープロブレムデース!!」

 

 

「行こう!決着を付けよう!!」

 

 

叢雲は再び薙刀を握り締めイムヤを優しく撫でると大きく号令を出す

 

 

「小笠原艦隊!これより飛行場姫カナ討伐作戦を開始する!!!

抜錨!!!」

 

 

「「「「おぉ!!!」」」」

 

 

叢雲達は全速力で半狂乱になっているカナへと向かっていく

カナが見るモニターに接近する五人の影を捉えその方向へと主砲を向け振り返る

 

 

 

「カナァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 

声を荒げ突っ込んでくる叢雲を睨みながらカナは歯を食い縛り突っ込んでいく

 

 

「叢雲ォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

そしてカナと小笠原艦隊が激突し最後の戦いの幕が上がる

 

 

「貴女を!!」

 

 

「オ前を!!」

 

 

「「絶対倒す(殺ス)!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回

格の違い

艤装のリミッターを外しその力を惜しみ無く叢雲達にカナはぶつけていく
だが、歴戦(Elite)との力の格差はかなり大きい
果たして彼女達は勝利を勝ち取れるのか?

物語中盤にしてラスボス級のカナとの最終戦ですね!
因みにコイツほど強い深海棲艦は何体居ますけど陸上ではカナが最強になってます!

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