叢雲達が壊状態になったカナと対峙してる中磯風達は唖然とその光景を見てるしかなかった
それもそのはず、小笠原艦隊は確かに練度が違う
それは佐渡が教え叢雲達は従い強くなる努力をしている
だからこそ、普通それが五人も居れば姫何てのは勝てるはずだった
だが、目の前に広がる戦いで叢雲達は苦戦を強いられていた
叢雲達がカナの攻撃を防ぐ位しか出来ず、その先である攻撃を仕掛けたとしてもカナには全く効いていない
それどころか、叢雲達が一瞬でもその攻撃を緩めればカナから主砲や爪での攻撃で襲い掛かる
「……何なんだ…この戦いは…」
次元が違い過ぎる
小笠原艦隊とカナとの戦闘は
そう磯風達は思っていた
薄々は感じていた
それでも何とか追い付いて行こうとしていた
「……無理だよ…あんな…あんな一瞬でも気を抜いたら死ぬ戦いは…」
叢雲も古鷹も大井も金剛もグラーフも全員が意識を研ぎ澄ましカナの攻撃に対応し何とか一矢報おうとするも全てカナには効いておらず勝利は絶望的であった
「……凄い…これが『戦争』か…」
その様子を見ていた磯風は自らがどれ程ちっぽけな存在か理解する
カナと叢雲達のぶつかり合いは接戦であり叢雲達はどんな攻撃を受けようとも直ぐ様立ち上がりカナに向かっていく
その姿はさながら非力な勇者が絶対的な力を誇る魔王に挑んでいくような幻想すら感じた
そして
「……私は…何をしてるんだ?」
そう疑問に思っていた
足は動かない、カナの威圧に圧され全く言うことを聞かない
頬を叩こうとしても身体が震えている
頭が本能が戦いを知っている身体が理解しているのだ
ここで
「は……ハハ……情けないな私は……」
死への恐怖
叢雲達と戦う為に覚悟していたはずなのに
いざとなると身体が動かない
目の前にある本物の死を見ていると身体が震えてくる
それは誰もが必ず感じるもの誰もが最も恐れるもの
当然であり普通である、こんな化け物には勝てないと頭と身体が理解してしまい
足腰に力が入らない
「何が……武勲艦だ…何が駆逐艦最強枠だ…私は無力だ……だって分かってしまっているから……あんなのには勝てない…どう足掻いても!!」
磯風は元々唐澤の鎮守府に来る前から強かった
自らが武勲艦であり駆逐艦の中でも強いと知っていたから
そしてそれに見合う様に生きてきた
自分は強いと信じその為に鍛練も怠らず誰よりも頑張ってきた
だからこそ自分が転属して初めて強いと感じた長門に出合ったときいずれこの人を倒すと決めていたから
だが、磯風は見てしまった自分より強い駆逐艦に
『長門!戦闘不能!!
勝者!雷撃姫駆逐艦叢雲!!
優勝は!小笠原鎮守府!!』
あの時ボロボロになりながら勝っていた叢雲に磯風は驚き憧れそして嫉妬した
強かった、だがそれだけじゃなかった
彼女は最後まで諦めなかった、どんなに敵が強くても、戦力差があっても諦めず勝利を勝ち取った
だから今回互いに戦えると知ったとき嬉しかった
間近でその力を見れると正直期待の方が大きかった
もしかしたらこの
そして知った、叢雲は自分が弱いと理解していたと
自分は強くないと言い、いつも死力を尽くしていると言うことを
どんな逆境にも絶望にも負けないその不屈の心はまるで勇者だと
それに対して自分は何だと感じていた
自身を強いと過信し、誰よりも負けないと慢心し、叢雲と共に戦えると浅はかだった
「……私は…強くなんかない……ただの駆逐艦…なのだな……
弱い…装甲も脆く…火力も低い…ただの駆逐艦……
ハハ…情けないな…本当に」
一人自らの力の無さと叢雲との壁に絶望し戦うことを諦めていた
「イムヤさん!動かないでください!!」
「そうなの!イムヤ!動いちゃメ!!なの!」
そんなとき後ろから声が聞こえ振り返ると先程爆雷にやられ気を失っていたイムヤが明石の治療とイクの制止を振り切り前に出ようとしていた
「退い……て!…私……は!まだ…戦え…る!!」
その姿は叢雲そのものだった
血反吐を吐き苦しみ傷が痛む身体に鞭を打ち動こうとする
勝つことを諦めていない者
「………どうしてだ……何でお前達はそんな……」
「イムヤ!これ以上は本当に駄目なの!!死んじゃうよ!!
さっきあれほどの爆雷を受けて動けるのが可笑しいのに!!」
「退い……て!!私は……戦わな……いと…!いけない……の!……皆…を!守……るの!!」
その姿を見て磯風は静かにイムヤに近寄ると潜水しようとする身体を持ち上げる
「磯風さんからも言ってあげてよ!これ以上イムヤが戦ったら!!」
「邪魔……しない…で!!」
顔を伏せながら持ち上げると明石の元に戻すと真っ直ぐイムヤに向き直ると頭を撫でる
「……一つだけ教えてくれ
何でお前達はそこまでして戦うんだ?
あんな……死と同じ様な化け物と…何故そんなに勇気があるんだ?」
磯風の質問にイムヤは笑みを浮かべながらさも当然のように話し出す
「決まってる……じゃない…負けたくない…からよ……もう……何も失いたくないから……叢雲と勝って…皆で笑える…全員であの…鎮守府に帰る…の……司令官の…待っている…あの場所に……生きるために……勝つの!!!」
理解する叢雲だけではない、小笠原鎮守府の艦隊は皆こうなのだとその中でも叢雲だけは飛び抜けていただけだと
そして自らの守るべき物と帰るべき場所を思い出すと自然と笑みを溢す
「……そうか、すまないありがとう」
その言葉と共に磯風は深く息を吐くと頬を叩く
「…ふふ、こんなボロボロな者に戦わせる何て馬鹿な事はさせられんな
後半お前の力を借りるときが来るそれまで休んでいろイムヤ!!
後は私に任せておけ!!」
そして再び磯風は戦場へと戻っていきイムヤは呆然としながら見ていると微笑み
「……へぇ……叢雲の…言う…通りかぁ……手強い…相手に…なりそうね…」
と呟くと再びイムヤは気を失ってしまい明石達に身を任せる
磯風は航行しながら迫るカナと戦う叢雲達を見ながら身震いする
それが恐怖であることを知りながらも自らが守るべき物を思いだす
(……司令、陸奥、綾波、ローマ、赤城、利根、ゴーヤ…長門、そして鎮守府…皆私の大切な物だ
それを守る為ならこの命惜しくない!!)
深く息を吐き音もなくカナの背後を取ると一瞬だけ躊躇う
(これに手を出したら戻れなくなる…私は死へ歩むことになる……だが!それよりも何かを失うよりは!!)
磯風は意を決し主砲を構えているカナの首に主砲を押し当てるとそのまま接射をする
「くたばれ!!カナ!!!」
「磯風!?」
「コイツ!いつの間に!!」
カナに砲撃が直撃するがやはりほとんどダメージが無く爪が磯風の頭を掴むとそのまま海面へと叩き付けられそうになるが
「磯風を!!放しなさい!!!」
それよりも先に叢雲が踏み込みカナの腕を斬り付けると力を失い投げ飛ばされ磯風を大井が抱き抱えると海上に立たせる
「あんた……何で来たのよ!?しかもあんな無茶して!!」
「ハハ、すまない一矢報いれると思ったんだが駄目だったな
微力ながら私も参戦する!!私の事は見捨てても構わない!!守るべき物の為ならこの命無くなっても悔いはない!!!
戦わせてくれ!!叢雲!!」
その言葉と面持ちを見るに覚悟を決めてきたと叢雲は把握すると笑みを浮かべる
「足手まといにならないでよね」
「全く叢雲はツンデレ何ですから、助かります!
正直人手が足りなかったんです!!」
爆煙を切り裂くとカナが撃たれた首を擦りながら睨み付ける
「大人しく脅えていれば殺さなかったのに……馬鹿な奴ねぇ??
本当に…本当に馬鹿な
「行くわよ!!死ぬ覚悟は出来たかしら!?」
「あぁ!!」
「えぇ!!」
「行くデース!!」
「はい!!」
「とっくに出来ている!!」
カナは艤装を再展開すると磯風、叢雲、大井が走りだし三方向からカナを攻め立てようとする
「勝つわよ!!絶対に!!!」
次回
勝利を目指して
磯風は一人絶望的な状況から立ち上がりカナと再び対峙する
その実力差は明らかであるがその姿を見て一人一人と立ち上がる
磯風のちょっとした過去でしたねぇ
まぁ彼女にも少しだけ闇はあるのでそれは今後に!
そう言えば新しく村雨さんを改二にして対陸上型対策は出来ましたね!!
これで攻略出来るかなぁ……