艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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最終局面 八

突然木曾が叢雲を呼び止めるとそれをカナが狙おうと主砲を構えるがそれに気付いた磯風がカナに近接戦闘を仕掛け無理矢理方向を変える

その間、叢雲と木曾は作戦について話し合っているが聞けば聞くほどに叢雲の顔が青ざめていく

 

 

「ーーーと言うことだ、だから頼むぞ叢雲」

 

 

「待ちなさいよ!!そんなことさせないわよ!!」

 

 

その作戦を実行しようとすると叢雲は力強く木曾の腕を掴み引き止める

 

 

「今何言ってるか分かってるの!?

そんなことしたらあんた!!」

 

 

「だが!これしか方法はない!!

これが、最善であり最大の手だ!!」

 

 

「やらせないわ!!そんな……そんなこと!!!」

 

 

「頼む叢雲!お前だけが頼りなんだ!!お前だけが!あの化け物に勝てるんだ!!だから!!」

 

 

「嫌よ!!絶対に認めないしやらないわよ!!

確かに私はあんた達が嫌いだった!それでもそんなことはさせられない!!」

 

 

木曾と叢雲が口論になっていると叢雲の肩を持つと真っ直ぐ瞳を見ながら話し出す

 

 

「叢雲、聞いてくれ

お前は連合艦隊の、嫌、今戦っている私達の希望なんだ」

 

 

「知らないわよ!私は希望何かじゃない!!

私はあんた達より強くない!!そんなこと押し付けないでよ!!」

 

 

「……あぁ、迷惑なのは分かっている

でもなあの化け物に立ち向かい傷を付けられるのはお前だけなんだ

頼む」

 

 

「嫌よ!そんなことできない!!」

 

 

「……頼む叢雲、俺は弱い

お前みたいに一人で前に進めなかった、お前みたいに勇敢にアイツに向かっていけない、お前みたいに飛行場姫と戦えない

だから、俺は俺の出来ることをやりたいんだ

……俺の覚悟なんだ頼む」

 

 

木曾の真っ直ぐな瞳を見ていれず目を反らすが木曾がそれを逃がさない

 

 

「……頼む、叢雲」

 

 

「……………わか………った……わ」

 

 

歯を食い縛り苦しげに一言だけ言うと木曾が微笑む

 

 

 

「…すまない、お前に助けられたのにこんなこと頼んでしまって

後でいくらでも暴言でも罵声でも浴びせてくれ」

 

 

「…………そんなこと出来るわけないでしょうが

一つだけ言うわ、死ぬんじゃないわよ」

 

 

「安心しろ、俺は夕立より装甲が高いんだ任せろ」

 

 

木曾は叢雲から離れると一人カナに向かっていくと刀を取り出し戦っている不知火達に加勢する

 

 

「皆!俺に任せてくれないか!?

ソイツに目にものを見せてやる!!」

 

 

「木曾!」

 

 

「何か作戦があるんですか!?」

 

 

木曾の言葉に全員が振り向きカナはその言葉に苛つくと睨み付ける

 

 

「へぇ?作戦があるんだぁ?なら見せてもらおうじゃないの!!」

 

 

その瞬間カナが磯風、不知火を吹き飛ばし進もうとするが

 

 

「ここから先は!」

 

 

「行かせませんよ!!」

 

 

「軽巡と金剛型がぁ!私に逆らうなぁ!!」

 

 

比叡と阿武隈が立ち塞がりそれを止めようとするも阿武隈の腹部を主砲をぶつけそのまま吹き飛ばし比叡の腕を掴みそのまま海上に叩き付けそれを踏み台にすると一気に木曾に近付く

 

 

「見せてもらおうじゃないの!!その作戦とやらを!!」

 

 

カナの気迫は先程より恐ろしいほどになっているが木曾は臆することなくカナに刀を振り上げる

 

 

「お前はどうやら砲撃の耐性があるらしいな

なら俺の剣に対してはかなり相性が悪いんじゃないか!?」

 

 

だがカナはその刀を片腕で防ぎそのまま刀身を掴む

 

 

「えぇ、その通りよ?ある程度の練度を積んだ姫級は砲撃に対する耐性がかなり高い

特に私は砲撃に対する耐性が姫の中ではダントツに高い

確かに剣への耐性は高くないけれど!!」

 

 

そしてそのまま刀身を握り締めるとジワジワと木曾を押し潰そうとする

 

 

「力では私の方が圧倒的に上!!!

そんなもんで私が死ぬわけないでしょうが!!!」

 

 

「くっ!やはり勝てないか!!だが!」

 

 

押し潰されそうになった木曾は刀を手放すと同時に少しだけ下がり雷撃をカナへと直撃させる

 

 

「チッ、意外と痛いわね……」

 

 

「それだけで終わらないぞ!!」

 

 

一撃だけ当たった雷撃に続けてカナの腕へと集中的に砲撃を開始しその砲弾はカナの装甲を少しだけ剥がす

 

 

「ぐっ、こいつ同じ場所を連続で!!」

 

 

「まだまだ!!くたばれ!!!六方向同時雷撃!!」

 

 

カナが爆煙に包まれ動けない所に艤装から12発の魚雷を放つと周囲六方向からカナを追い詰める

 

 

「凄い!飛行場姫を追い詰めてる!!」

 

 

「木曾さん……いつの間に……」

 

 

「逃げられない……か!!」

 

 

そしてそのまま雷撃がカナに命中すると水柱が上がりかなりのダメージを与えたと確信すると手放した刀を再び拾い

 

 

「トドメだ!!飛行場姫!!」

 

 

そして木曾は刀でカナの首を斬り飛ばそうとするとカナがニヤリと微笑む

 

 

「……へぇ?意外とやるわね?でもこれで終わり?」

 

 

「なっ!ぐえっ!!」

 

 

その瞬間カナは主砲で木曾の攻撃を防ぐと同時に首を掴み持ち上げる

 

 

「木曾!!」

 

 

「不味いデース!また捕まてしまいました!!」

 

 

その姿を見た叢雲は歯を食い縛りながら静かにゆっくりと動き始めカナが再び後ろへと飛び退く

 

 

「悪くなかったわよ、あんたのやり方

ぶっちゃけ普通の深海棲艦なら倒せたんじゃない?

でもね、あんたの相手はそんな生易しい奴じゃないのよ?

高く付いたわね!!授業料が!!」

 

 

そして夕立の時と同じく木曾を手放すと自らの主砲で捕まえそのまま海面へと叩き付ける

 

 

「ガハッ!」

 

 

「あの状態やばいっしょ!!」

 

 

「木曾!!」

 

 

「だめ!!やらせない!!!」

 

 

木曾が捕まり古鷹、金剛、鈴谷、熊野が慌てて主砲をカナに向けて放とうとするが何故か躊躇ってしまう

それもそのはず今木曾はカナに捕まっている状態、下手に撃てば木曾に当たってしまう

 

 

「今助けます!!木曾!!」

 

 

「貴様!!これ以上はやらせない!!」

 

 

「駄目ぇぇぇ!!!」

 

 

「やらせや…しません!!」

 

 

磯風達が慌てて立ち上がりカナに駆け寄ろうとするが間に合うわけがないがその横を一人の艦娘が全速力で駆け抜けていきカナもその存在には気付けていなかった

 

 

「二人目、さてと言い残す事はあるかしら?軽巡?」

 

 

「………ハハ、なら一言だけ」

 

 

「何かしら?」

 

 

今から砲撃されると分かっていながら木曾は嘲笑うかの様に笑うと一言だけ告げる

 

 

「繋げた希望は……決して消えない消せない

お前はここで必ず死ぬんだ、お前はあの希望に勝てやしない

先に言っておいてやるよ……お前が死ぬのを先に待っててやるよ!!ザマァみろ!!!」

 

 

「……へぇ?……口だけは達者見たいねこの雑魚が!!!」

 

 

カナは苛つき木曾へ接射放とうとするが

 

 

「駄目ぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

それよりも先に古鷹が砲撃し再びカナの脚を狙うように放つが

 

 

「見え見えね、本当にお馬鹿さん」

 

 

その脚に主砲を伸ばしガードするとニヤリと笑いそのまま木曾に接射を行いカナは爆煙に包まれる

 

 

「………木曾……木曾ぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

不知火の叫び声と古鷹の絶叫が響き渡るとカナが主砲を戻し爆煙の中から木曾が蹴り飛ばされてくる

 

 

「………不味いデース…この状況は本当に不味いデース!!」

 

 

「こんなのどうしろってのさ!!!」

 

 

蹴り飛ばされてきた木曾はマントが破れ艤装もほとんど破壊されており腹部が抉れ身体も焼け焦げていた

もうこの戦闘では戦えないほどの傷を負いその姿を見た金剛達は焦りと恐怖を感じる

 

 

「アハハハハハ!全く雑魚がいきがるからこうなるのよ!!!アハハハハハあー、笑えるわ!!!」

 

 

「カナぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「ガ…………ハッ………!」

 

 

 

カナが笑っていると木曾が辛うじて動けるのか身体を動かし頭だけをカナへと向ける

 

 

「木曾!」

 

 

「木曾さん!!」

 

 

「あら?動けたの?笑えるわ、あれだけたんかきっといてこれだもんねぇ?アハハ!」

 

 

木曾は声こそ上げられないが何とか動く腕をカナへと向けると人差し指を差し向ける

 

 

「なぁによ?まだその状態で私に挑むつもりー?アハハ笑えてくるわね!!」

 

 

砲撃を受けボロボロの状態にも関わらず何とか動き微笑むと掠れた声で告げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頼……ん………だ………ぞ……希望(叢雲)

 

 

「は?あんた何いってーーー」

 

 

カナがすっとんきょうな声で聞くと爆煙を切り裂き一人の艦娘がカナへと襲い掛かる

 

 

「カナぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「え!む、叢雲!?」

 

 

「いつの間にあんなところに!?」

 

 

「さっき、確かに前を走っていたが何故このタイミングで!?」

 

 

「なっ!いつの間に!!」

 

 

叢雲は薙刀を振るうとカナはそれを交わすのだがそれすらもさせないように一人でカナを追い詰めようと全力で走る

(不味い!今戦うのは本当に不味い!!)

 

 

カナは突然現れた叢雲に恐れを抱き全速力で逃げようとするが叢雲は全く逃がそうとせず距離を詰めると先程カナが砲撃した右半身をに回り込む

 

 

「なっ!こ、コイツなんで!!」

 

 

右半身に回り込んだ叢雲に驚きながらも慌てて正面を捉えようとするとそれよりも叢雲が早く追い付かない

(やっぱり!木曾の読み通り!コイツ半身が使えなくなってる!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「叢雲聞いてくれ、アイツの弱点を見付けたんだ」

 

 

「は?弱点?」

 

 

突然そう言われた叢雲は驚き困惑していると木曾はカナを指差しながら答えてくれる

 

 

「今、奴が夕立を接射した直後左半身の艤装が傾いたんだ

変だと思ってその左半身に攻撃を仕掛けたんだが奴の防御がかなり落ち、そして動きが鈍くなってたんだ

恐らくだが、奴の接射にはかなりのリスクがある

艦娘を一撃で仕留められる代わりにかなりの反動がありそれは奴の半身を動けなくするんだと思う」

 

 

「まさかそんな!……でもあり得ない話じゃない

奴の主砲は明らかに別物だし、あんなのポンポン撃てるのが可笑しいもんね」

 

 

「だから奴がもう一度あれをやったとき斬り込んでくれないか?

どうやらお前の斬撃はアイツに効くみたいだからな」

 

 

「……ちょっと待ってそうなると一人接射されないといけないわよね?そんなの」

 

 

「俺がやる」

 

 

「……は?」

 

 

「俺がわざと捕まってアイツに接射を撃たせ隙を作る」

 

 

「……は?」

 

 

「だから、叢雲お前が奴を倒してくれ

俺にはそれが出来ないから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当!何が希望よ!!何がお前だけが傷を付けられるだよ!!」

 

 

叢雲は涙を流すのを堪えながら薙刀を振るい右半身が使えなくなっているカナを追い詰めていく

(この私の弱点を見抜いた!?まさか!あの軽巡が!?)

 

 

 

「本当!本当に!馬鹿なんだから!!自己犠牲なんてしちゃって!!でも!!」

 

 

カナが完全に慌てている中叢雲は薙刀を力一杯握り締めるとその右半身を切り裂きに掛かる

 

 

「あんたが繋げてくれた希望は!!私が繋げるわよ木曾!!!」

 

 

「このぉ!!叢雲!!」

 

 

何とか左腕の艤装でその刃を弾き飛ばすが叢雲は艤装に付いていた碇と鎖を取り出すとそれをカナの右腕に投げるとぐるぐるとそれを巻いていくと勢いよく艤装で腕を引っ張る

 

 

「離せ!!離せぇぇぇ!」

 

 

「良くも!木曾と夕立をやってくれたわね!!

これはそのお返しよ!!斬り飛ばして上げるわ!!!」

 

 

「辞めろぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

動かない右腕を近付けると鎖をほどき薙刀の刃を突き立て全力でそれを斬り上げるとカナの右腕が宙を舞う

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!腕が!!腕がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「やりました!!飛行場姫の腕を!!」

 

 

「叢雲ー!!」

 

 

右腕から大量の出血しているが叢雲は更に追撃をしようとする

 

 

 

「あんたは私が倒す!!この命に変えても!!」

 

 

 

 

 

 





次回

それぞれの死闘

木曾が自らを犠牲にする変わりにカナを倒す希望を繋げそれを叢雲が斬り開いた
死闘が続く中、各々が力を振り絞り強敵に挑む

イベント始まったー!イエーイ!!
ですがまだやってなーい!!!
今晩からやらないとなぁ……


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